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ここのところ、毎日ブックマークが増えてますね!
みんなどこから見つけてくるんだろ?
「ちょっと! あんた何勝手に帰ってんのよ! あたしのこと忘れてたんじゃないわよね!」
スカートタイプの白を基調としたワンピースを着たミルフィがツカツカと歩いて来てる。
うん。腰元から下に広がる花柄が清楚。なんかお嬢様だ。
「な、何こいつ……あんたこんな魔物も持ってたの!? それにそっちは天使じゃない!」
「お初にお目にかかります、ミルフィーユ様」
「よろしくお願いいたします」
丁寧な挨拶をするミリア、それに続くジョージ。
「あのでかいアラクネ種、戦闘するかと思ったら服飾専用なのね! どうよこれ?」
そう言って、この場でクルっと回る。
「普段着も作ったのか」
「すごいわねあの魔物。採寸もしないでどんどん服を作るんだもん」
「似合うよ」
「もっと褒めなさいよ!」
両手を振り下ろし、キーキー言いそうな感じだ。
「ミルフィの髪色とマッチしてて、すごい可愛いよ」
「そ、そう? それならいいんだけど」
ちょろい。
「靴も貰っちゃった! でもハイヒール? って靴は履きにくいわね」
「あれを履くと足が細くて長く見えるし背も高く見えるぞ。どうだこのシヴィーの足」
執事ルックのシヴィーだが、足には長めのヒール。
「うう、でも歩くと転ぶんだもん。それに走れないし」
「走るな、ドレスは靴も大事なんだ」
オシャレは足元からだ。
「いいじゃない。それに普通の靴でも合うドレスにしたんだから!」
「へえ? どんなの?」
「秘密っ!」
花開く笑顔できっぱり言う。
「……じゃあ本番の楽しみにしておくよ。お前もウチのシヴィーにビビるなよ?」
綺麗担当はシヴィーにお任せだ。
「う、その従者とは比較しないでよ! 系統よ! 系統が違うのよ!」
シヴィーと比較されるのはイヤらしい。
「昨日は泊まったんだっけ。食事は口に合ったか?」
オレはダンジョンに戻っていたから不在だったのでシエルに全部お願いしたのだ。
食事だけして帰る予定だったが、結局こっちで寝てしまったので泊めたと言っていた。
「おいしかった! それに家具もすっごいわね! あんたどんだけDPつぎ込んでるのよ」
「生活環境を整えるのには全力だ」
屋敷の家具やソファにベッドもドワーフ種とアラクネ達が張り切ったからすごい。
ベッドの低反発っぷりもすごいぞ。
「侵入者対策に必死でそういう方向にはDPが使えないのよ……羨ましい」
「うちは防衛にDPをかけたのは最初だけだなぁ」
謎解きの扉を作ってからと言うもの、防衛を考えて設置したのはコロとコロの部屋くらいか? あと待ち伏せモンスターがいたな。忘れちゃ可哀想だ。
「何それ! ズルいじゃない!」
「ズルいも何もないよ」
扱い的には侵入者がいっぱいだもの。
「それに人型が多いわ。人間からセルキーにブラウニー、それに天使!」
人に指をさすんじゃありません。
「ご飯が美味しいのが特にいいわね! あたしなんか毎日自分で作るのに……」
「こっちは調理専用の魔物がいるからな。まあ見たら食欲無くすかも知れないけど」
あいつは顔が怖い。
「何に作らせてるのよ……まあいいわ、美味しいし。見た事のない果物や食べ物も多くてびっくりね。ケーキとかぷりん? 魔物みたいな名前の癖に美味しかったわ! あれスライムが素材じゃないわよね?」
「牛乳と卵と砂糖と……あとは忘れたけど、スライムみたいなのは入ってないよ」
ウチのスライムに食用はいない!
「ドレスとか服とかと一緒にお弁当も持って帰るか? 今日は帰るんだろ?」
「もちろん帰るわよ。やっぱり自分のダンジョンが気になるし……お弁当って?」
お弁当を知らないだと!?
「えっと、箱の中におかずやらを詰めて持って帰るかって意味だ」
「いいの!? 貰うわよ!? あ、でも……」
「ん?」
「うちの他の魔物にも食べさせてあげたいから、多めに貰っていい?」
「ああ、構わないけど。魔法の袋とか収納系の装備あるか?」
洋服も手で持って帰るとシワになるかも知れないし、ハーピィに持たせたら破れそうだ。
「あるわよ。いまジャルが取りに行ってるわ」
時間がかかりそうだ。
「服や食事までありがと。それにあのアラクネすごいわね? あたしガーターで吊るさない靴下なんて初めて見たわ」
「ああ……」
白いソックスを履いているミルフィ。そう言えばこの世界、紐で縛るかボタンで止めるくらいの技術しかないんだったな。
「……どこ見てるのよ! すけべ!」
「いたいっ!」
グーで殴らないで欲しい!
 




