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本当に呼ばないよ?
「牛さんも帰ったし、ミルフィも別室で悲鳴を上げてるし。ここからはオレ達の話をするぞー」
チムのドアップを見たらしいミルフィが悲鳴を上げ、チムとドッキングしたチュムとチェムの姿を見て悲鳴を上げ、そこから再び抜け出した姿を見て悲鳴を上げたらしい。
忙しい娘さんだ。
従者のハーピィことシャオリーの衣装も一緒に作成する為に随行。
ジャルは外で葉っぱをモリモリ食べてる。中々の健啖家だ。
『お待たせしました、マスター』
先ほどトド男との会話をモニターで確認していたフィルが顔を上げた。
指令室がこちらにはないので、小さな会議室の一室にモニターを繋げている。
浮島側にいる、オレとシヴィーとミリアとプチバッフォ。
ダンジョン側にいるフィル、ノイ、エディの5人だ。
「さて、見て貰った通りだが。このままコロを連れて行くのは危険かもしれない。だからミリアか、他の魔物を連れて行こうかと思うんだけど……誰がいいかな」
コロの能力がバレてしまっている以上、対策もある程度されるはずだ。
オレと同格のダンジョンマスターならコロに勝てる魔物を用意するのも、そこまで難しくないだろう。
『そうですね……コロの代わりとなると難しいですが…………』
「アユム様をお守りするだけなら、私一人で十分ですよ?」
『シヴィー、本末転倒ですよ? プチバッフォに言わせれば、従者をきちんと準備出来るかどうかもマスター達の評価に繋がるんですから』
「左様で御座います。連れている魔物で格でも評価されますので、そもそも連れて行かないのは問題外で御座います」
プチバッフォがしみじみと語る。
「うちでコロってどの位の立ち位置なんだろ」
『歩様が名付けされている魔物ですと、コロは下の上といったところでしょうね。トップはシヴィー、その下にチム達、そして銀ちゃんの順ですか』
シヴィー強いっ!
『次いでノイ、エディ、ミリア、私です』
「そこから下にシエル、コロ、星丸、リリア達エルダードライアド。最後に下級魔族の連中ですね」
ぬう、戦闘になることも考えると驚きの人材不足だ。
「いっそのこと誰かに名を与えるか……」
サイズ的にチム達と銀ちゃんは入れない施設もあるから連れて行けない。
ノイなら別に連れて行っていいかも知れないけど、街全体の監視体制に穴が空くのは正直厳しい。エディはすべての情報を網羅できるが、それらを纏めて報告すべき内容とそうでない内容を分けているのはノイだ。
コロと同じく前衛系列の魔物が欲しい事を考えるとミリアなのだが……。
「ミリアはダメですよ? 斎川様」
くっ、プチバッフォガードが固い!
「主に恥を掻かせる可能性のある従者など、此度の件においては価値がありませんからな」
「申し訳ございません……」
美人キャラがそんな滝のように涙を流すんじゃありません。
「んー、前衛タイプの戦闘がこなせる魔物で手の空いてる奴はいるかな……リビングガーディアン達の誰かがいいか」
『コロと同系統の魔物ですから、相手の対策がそのまま刺さりますよ』
「あー、そうだ」
体の材質が同じ金属類だもんな。
「アーリマンとかリザードマンはどうだ?」
「コロと比べると見劣りしますが、その辺りが妥当でしょうね」
あいつら川で魚釣ったり、田んぼの管理したりしてるだけだから手が空いてるはずだ。
『イービルドワーフとドワッジもいるですっ! 彼らも十分前衛として働けるですっ』
「確かに、力は強いよな」
建物を作るのに建材を重機無しで素手で運ぶ彼らの力は頼もしい。
『……名付け前の状態ですと、強さの差が良く分かりませんね。魔物の格でいえばアーリマンよりもドワーフ種達の方が上ですが』
「何も戦闘だけで魔物の格が決まる訳ではないですからね。戦力という意味では、羽虫同士。比較になりません」
シヴィー、羽虫はひどいと思うぞ。
『ふむ、いっそ戦わせてみますか。手の空いている魔物同士で』
『おお、いいですね! 面白そうですっ』
「オロボスに言って回復ポーションを大量に用意させねばなりませんね」
「楽しそうな催し物ですね。ゴース様にも招待状を送りませんと」
え? 神様は呼ばないよ?




