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今日もまた短く2500文字程度です。
今俺たちが向かっている場所の正式な名称は冒険者専用運動場という。
常時平均的な高校の体育館の空間が8つ存在している。
俺達4人は受付を済ませると比較的空いている場所に向かう。そこにはそこそこの数の人がそれぞれの得意武器と思わしき木刀を持ち切り結んでいた。
「へーこんな所だったんだ。一度も来た事ないから新鮮だなぁ」
「なんだ来た事ないのか。あれだけ強いのならこういう所に入り浸ってると思ったが…」
「自主練で大体なんとかなる。それ以上を手に入れたいなら神様にでも助けて貰わないとな」
3人は入り口壁にいくつも掛けてある様々なサイズの木刀を取るとどれを使うか聞いてきた。
俺は基本的にサイズが変わる剣を戦いの中で臨機応変に使用するから木刀では練習になるか分からないと伝えた。
「ならば普段使う剣の長さと同じ木刀を使えそうすれば多少の鍛錬になる。というか刀身が伸縮する剣など聞いた事ないな。ドロップアイテムか?どのランク帯のモンスターを狩って手に入れた!」
「おち、落ち着け!これの入手方法は教えられないからぁ!首じまるぅ!ミンナモミテルゥゥ……」
首を絞められ顔面蒼白になりながら諭すと吾妻さんは顔を赤くし首から手を離してくれた。
「す、すまない。余りにも珍しい物だったからついな」
「ロマンのある武器が好きすぎだろ……」
荒波の呆れたような呟きに吾妻は更に顔を赤くして俯いてしまった。
どうすればいいか分からなくなりとりあえず普段使う剣の長さと同等の物を2本取り出した。
周りを見て空いている場所に陣取り軽く準備運動を開始した。
「そういえばさ聞かなかったけど剣は全く使えないのか?魔法使いだから接近された時の護身目的って訳じゃないみたいだけど?」
「まぁ護身ていうよりか実践的な目的だな。全く使えないって訳じゃないけど俺が使える技はさっき放った剣を交差させてから放つアレだけ。あれは一瞬の突破力はあるげとタメが必要なんだよ。だから我流でやってちゃダメかなーって」
「なるほどじゃあ適任は吾妻だな、吾妻ぁ!どうやら適任はお前みたいだ!」
「……え?」
いまだに入り口で座り込み顔を赤くしていた吾妻がようやくこちらに向いた。
「吾妻さんは魔法で身体強化は使える?使えるなら使ってやりたいんだけど……」
「一応身体強化くらいは使える。ただ魔法特化の君と比べたら見劣りはするな。教えるなら私の身体強化に合わせてくれると助かる。悪い所が見つかったらその都度戦いを止めてアドバイスを言う。それでいいか?何か要望があれば言ってくれ。じゃあ構えよう」
俺達はそれぞれの獲物を構えた。
吾妻さんはどうやら刀一本で戦うタイプの冒険者らしい。構えはお手本のように綺麗だった。
対しては背筋を伸ばし半身になり左手の剣を前に突き出し水平に構え、右手の剣を弓を引き絞るようにして構えた。
荒波は割と堂々とした構えに「ヒュ〜!」と綺麗な口笛を鳴らし赤城ちゃんはなんかキラキラした目でこちらを見ていた。
対面にいる吾妻さんはというと少し訝しむ表情だった。どうやらこの構えが実践でどう使うのか想像出来ないらしい。
よし始めるぞと体の力を抜いて構えた瞬間に周りのギャラリーの内誰かが俺の構えを馬鹿にしたように笑って来た。
「ギャハハハハハハハ!!あいつアニメとかでしか見ないような剣の替えをしてるぜ!冒険者の戦い方しらないのかなーー?!」
「Bランク帯にアニメの剣術で挑むってどんだけ頭お花畑なんだ…!!」
1人は明らかな嘲笑、もう1人は嘲笑している訳ではないがまさかここでこの構えをする奴がいると思わなかったのかただただ笑っていた。
俺を馬鹿にする奴には苛立ちを覚えたが深呼吸をして心を落ち着けた。
「大丈夫か?」
吾妻さんが俺を気遣って声を掛けてくれた。
頷いて大丈夫だという事を吾妻さんに伝える今度こそ完全に構えた。
俺と吾妻さんの2人の呼吸が偶然重なった時同時に地面を蹴り斬りかかる。
まず右の剣を振り下ろすと吾妻さんは強く踏み込み剣で斬りあげて俺の一撃を払う。
そして次は左の剣で横薙ぎの一閃を放つ、それを軽やかなステップで避けるとすかさず踏み込み斬り上げを放ってきた。
それを両手の剣で抑えると下半身を捻って蹴りを放つがサイドステップで移動しながら剣ごと体を捻った後片手だけで目で追うのがやっとなほどの突きを放ってくる。
ギリギリで顔を逸らして回避すると大きく後退して体勢を整える。
この一連の攻防は周りの人達が一瞬で黙ってしまうくらいだった。
「なるほど、剣の拙い部分を身体強化と体術で補っているわけか。剣の腕自体は普通より上程度だけど体術も併用する事で達人にも通用する感じかな?」
「まぁね。体術は趣味で続けてるからそれが良かったみたいだ」
「身体強化に余裕を残してこれなら実力では完全に私の負けだな」
「現時点ではそうかも知れませんが1年後2年後は分かりませんよ?」
「どうせお前も強くなるだろうに。それでどうする?私目線だと体術で補っているなら文句はないが続けるか?」
(吾妻さんはまだ奥の手を見せていないからな……)
「続けましょう!剣を交えるだけでも互いを高めるはずですから」
「そうか……ではいくぞ!!」
吾妻さんは先の攻防よりも更に身体強化をして斬り掛かって来た。
半身になって避けると吾妻さんは剣から片手を離し肘打ちを放つ。
肘打ちに対応出来ずに数メートル飛ばされる。
更に追い込むように鋭く速く剣を横に振り斬り掛かってくるが俺も身体強化の倍率を上げ片手で受け止めた。
もう片方の手で突きを見舞うが避けられてしまう。
一瞬その体勢で止まるとそこから俺達は一気に加速して剣を交えた。
俺が斬りかかり、吾妻さんがそれを払うともう片方の剣で斬りかかる。それすらも避ける回し蹴りを放つ。
本能的に危険を感じ片足で回転をしながら跳躍するとその体の下を剣が通る。
空中で体勢を整えるとかかと落としをするが避けられた。
何度も何度も何度も斬り結ぶ内に俺は頭の中が真っ白になりつい、神雷を使ってないとはいえ最大限近くの身体強化を使いたった一つの技を放ってしまった。
左手の持つ剣が吾妻さんの胴を捉え、右手に持つ剣は左手を捉えて上に斬りあげた。
その際にパキッと嫌な音がなり壁際まで吹き飛んだ。
ドン!という壁に叩きつけられる音を響かせると同時に俺は正気に戻り慌てて吾妻さんに駆け寄った。
途中から木刀の表現を普通に剣に変えていますがただ間違えたのではなく主人公が真剣になったという表現です!
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