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予定より遅くなりました。

申し訳ありません!



なんどか土煙が上がる。

その度に体に傷がつき血が流れる。

そして自分の魔力で強化してもらった体に更に身体強化を施して突喊した。


「うぁぁああぁぁぁ!!」


目の前に迫る人の頭部ほどもある拳に左手の剣を添えコマのように回転しながらいなす。

正面を向いた時に右手の剣で斬るしかしこの剣は弾かれ体のバランスを崩す、それでも無理矢理に力を入れてバランスを整えて左手の剣で斬りつける。

そして最後に右手の剣に魔力を集中してさせ強化を施して両方の剣で斬りつけそのまま回避行動をとった。


《異形》はタタラを踏み後退した。

田崎は右手の剣をチラッと見て確認すると刃こぼれが始まり使い物にならなくなって来ていた。


(あと斬り結べて3度って所か、しかも攻撃用に使えないから防御用……壊れたらいよいよ覚悟を決めないといけないな)


苦笑いを浮かべると両方の剣を強く握り締め《異形》を睨みつけた。

その《異形》は斬られた箇所を極小の結晶で覆うい傷を癒すとまた動き出した。

《異形》が後退してから傷を癒すまでこの間たったの4秒だった。


「ブァァァァァァァ!!!」


重苦しい砲声と共に《異形》が走り出すと腕をまるで弓矢を射るが如く引き絞った。

限界まで引き絞りその拳を放つと槍のような鋭さをもって田崎を襲った。


予想以上の攻撃方法に咄嗟に魔力を右腕と剣に集中させて防御行動をとった。


パァァァン……


とてつも無く大きい空気を叩く音がしたあたりに響いた。

腕を振り抜いたままに姿勢の《異形》を見てこれを好機と見た田崎はすぐ様右手の剣を《異形》に向けて振った。





「………あ?」


違和感が田崎を襲った。それはさっきまであったはずの右手が振り抜いた肘の先に付いていなかったのだ。


「…っぐぅぅ!」


肘から先がない事を自覚すると同時にジワジワと痛みを覚えて来た。


このままでは《異形》にやられると考えた田崎は大きく飛び去り足に思い切り力を入れて跳躍した。

近くにあった1本の大木の枝にそのまま着地をすると止血をするための道具を取り出して治療を開始した。


腰の道具箱から太めのゴム紐を取り出すと端を口で掴むと空いた左手で右腕をぐるぐると強めに巻き止血すると次は小さな瓶を取り出し蓋を開けると中の液体をぐいっと煽った。

それは通常の痛み止めより遥かに効果が強い代物だが魔法的なアレで副作用をなるべく少なくした物だった。



「………っふぅぅぅぅ。おいなんじゃ今のは」


息も絶え絶えな感じで眼下の《異形》に話しかけた。

今の攻撃方法は《異形》にとっても疲れるものなのかはたまた余裕の態度なのかこちらをじっと見ているようだった。


(こいつ……まさか相手の魔力を吸い取って自身の糧にしている?)


魔力で目を強化すると本来なら見えないものも見えてくるもので、田崎は周辺の魔力の流れを見ていた。

魔力で強化した武器で攻撃するとそこには微量の魔力が滞空するが《異形》はそれを体に取り込んでいた。


田崎は今の状況を冷静に分析をし、自分があとどれだけ千斗が来るまで耐えられるか考えていた。

考えた結果導き出された答えが



「5分……もう5分だけ付き合って貰うぞ!」


残った左腕の短剣を握り直し千斗が来るまでの時間稼ぎを開始した。








只野side


今田崎さんが戦っているはずなのにやけに静かだった。

魔力を目に集中して魔力の可視化をして田崎さんの魔力の軌跡を探した。

右左と走りながら探しているとどうやら左手の方にそれっぽい魔力を感じたので走る。


「木々が邪魔だな!」


向かいながら邪魔な木々を風の刃で切り倒し進む。

身体強化を自身に施しているので徐々にその戦闘の音が聞こえてきた。


どうやら周りの木をなぎ倒したり岩盤をひっくり返すような脳筋の戦いをしているのでは無く田崎さんが剣でアサシンの如く隙を突く戦いをしているみたいだった。

対して《異形》は田崎さんの攻撃を受けると何かしらの反撃を静かに行なっているようだった。


そして田崎さんの姿を視界に入れると瞬間強化し、一瞬で《異形》に肉薄すると腕より破壊力が高い脚で蹴りを放ち田崎さんから離すと追撃で魔力に雷属性を付与した塊を20ほどぶつけた。


「トール・バレットォオ!!」


ズドドドドド!!!


土煙が上がり姿が見えなくなった。


「田崎さん大丈夫です……か」


俺は田崎さんに安否を確認する為に話しかけその姿を見ると目を見開いた。

震える声で何があったのかを聞くとその答えが返ってきた。


「よっ!、この腕の事なら気にすんな。モンスターを狩っていればいずれ起こった事だ。それが今だっただけの話なんだ。お前のせいじゃない」


「でも……」


「でもは無しだ。そんな時間はない」


「……分かりました」


そこで俺は他の2人の安否を聞いた。

すると衝撃的な答えを聞いてしまった。


「池沼はあの《異形》に頭を潰されちまった、環田は背骨をやられたのか動かなくなっちまったよ。まだ生きてるかもしれねぇから早くこいつを何とかしないと本当に手遅れになるかもしれねぇ!」


田崎さんは苦しそうな声音で真剣そう語った。

その言葉に俺は1人でも多く助ける為に覚悟を決めると


「シュァアァァアァ!!!」


土煙の中から無傷だが雷によって手足が痺れたのか緩慢な動作の《異形》現れた。


「まずはアイツですね」


「俺も全力は尽くすがこの有り様だ。あまり役にはたたん。だからアイツの牽制に集中するから千斗君はひたすらダメージを与えてくれ」


「了解!!」


俺の返事を合図にして一気飛び上がると木の幹を足場として《異形》の周りの飛び回ると俺を撃墜しようと手を持ち上げるが田崎さんがそこで攻撃を仕掛け一瞬意識を逸らすと俺は《異形》の上体上部に氷属性を付与したかかと落としを決めるとその体を氷で固め動きを制限した。


しかしそんなものは効かぬとばかりに身体を膨張させてまとわり付いていた氷を弾き飛ばした。

そこで雷の痺れが取れたの本格的に動き出した。


「っ?!田崎さん!」


《異形》はまず明らかに弱っている田崎さんを集中的に狙うようになった。

流石の俺も田崎さんを守りながら戦闘を行うのは難しい過ぎた。


最初は石礫が飛んで来てそれで頬を切るくらいだったが今は明らかにそんなものでは済まなくなってきている。

そもそも俺が田崎さんと別れる直前よりコイツは大きくなっているし、コイツの俺が駆けつけた時より反応速度が更に速くなっている。

この短時間で明らかに成長していた。


あまりの変化に俺と田崎さんのコイツに対する反応は鈍くなっていた。


「ブァァァアアァァァァ!!!!!」


そして《異形》が腕を引き絞る動作をした。これは先ほど田崎の右肘から先を奪った攻撃だ。

田崎はこれに過敏に反応して千斗に忠告を飛ばした。


「千斗避けろぉ!これはやばい!!」


「はい!」


咄嗟にそう返事を返し脚に魔力を込め跳躍をした。

その《異形》の放った拳は千斗はすんでの所で回避することに成功したが田崎はそういかなかった。


ズドン!


拳は空を切らずに地面を叩いた。

それは無茶苦茶に放ったものではなく鋭い一撃の為岩盤をひっくり返さずに一部だけを深く削りとっていた。




「ぐ、ぁあ……」


しかし削られたのは地面だけではなくこれまで片手で善戦をしていた田崎の足も含まれていた。


「そんな……田崎さん!!」


「すまねぇ、環田を頼むっ」


それは悟った表情でとても柔らかかった。


「田崎さーー「ァァアァァァァ!!」」


ズドンン!

ブチュッッ……パキィッ


それは無慈悲にも振り下ろされた。

限界まで振り上げられた《異形》の脚は容赦なく田崎をただのもの言わぬ骸に変えた。


「だざきさぁぁぁん!!」


スンスン


ピクリと《異形》は何かに反応し無い鼻をヒクヒクさせ当たりをキョロキョロし始めた。


「お"い!お前の相手を俺だよ!!!ぶっ殺してやるからかかって来いよ!」


掠れた声に殺意を滲ませながら《異形》に話しかけても反応は返って来なかった。

そこから何度か声を掛けるがピクリとも反応は返って来なかった。

徐々に焦燥感が募り、言葉が通じぬ相手に必死に話しかけ気を晒そうする。


「おい!!相手は俺だって言ってるだろ?!なぜ相手にしない!!」


攻撃も仕掛けながら話しかけたが反応は結局返ってくる事は無かったが何かに気付いたのかある一定の方向をじっと見つめていた。


何をしているんだと最初は疑問に変わったが最悪の予想が浮かび上がり焦燥感は限界になった。

《異形》の向く方向そこは


千斗の相棒ルシールが降りた山の麓だった。

まさか?!と思い咄嗟に探知魔法を広げると数百メートル離れた位置に何故かルシールの魔力反応があった。


「なんで?!」


《異形》の口が歪に曲がるとそのルシールがいるであろう場所に向けて全力で走り出した。


「おい?!相手は俺だろうが!!」


文句を垂れても《異形》は止まらない


「くそっ!なんで戻ってきた!ルシールゥゥゥ!!」


俺はひたすら《異形》を追いかけるしかなかった。









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