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筆がのったので昨日より1000文字多く4000文字となっています!





「おい!逃げろ!!こんなの勝てっこない!殺されるのがオチだぞ!」


「でもここで止めないと被害が出るんですよ?嫌じゃないですかそんなの」


「なら俺が時間を稼ぐ!だから!」


俺は彼女を助ける為魔力を脚に集中させ強化をすると力いっぱい地面を蹴り手を伸ばした。

だけどその伸ばした手は彼女きてに届く事は無かった。


「私が居なくても頑張ってね?」


彼女が走り出すと掴めそうだった肩がなくなり俺はバランスを崩して転んでしまった。


「うぐっ!」


そんなに痛くないのですぐに彼女を目で追いかけると必死に敵の攻撃を避けながらボウガンや魔銃を使っている姿があった。

もう一度逃げろと告げる為に息吸った時にそれは起こり俺は動けなくなった。


「よし!なんとか……うわぁ!!」


敵の攻撃をギリギリで避けた彼女は安堵の表情をしていたしかしその表情が絶望に変わったのは次の瞬間だった。

敵の振り抜いた腕の脇からもう一本の黒い腕が勢いよく生えて来て彼女を掴み思い切り地面に叩きつけた。


「ぎっっ!!!」


持ち上げられた彼女の目は本当に見えているのかと心配になるほどに虚だった。

そして片方の脇からも腕を生やすと彼女を掴み握りしめた。

バキバキバキバキィィィ


「ぃあああぃぁぁぁぁぁ!!!」


骨の折れる音と彼女の悲鳴が辺に響いた。

俺は直ぐ立ち上がり助けようと魔法を準備したが僅かに敵の方が早かった。


口だけの大きな上半身を開くとなんの躊躇いもなく彼女の頭を噛み砕いた。

その瞬間に弱々しく抵抗していた腕は垂れ下がり響いていた声も聞こえなくなった。


「……………は?」


何も分からなくなった。

理解できたのは1年、たった1年だが仲良く冒険者をしていた彼女が本当に嘘偽りなく死んでしまった事だけだった。


「……あ……あ!」


嗚咽が漏れ出てくる。


「ああああああ!!ルシールゥゥゥ!!!」


この日俺は大切な人を失った。


何故こうなったのだろうか











それは2時間前に遡る。


(前回のルシールとパーティーを組んでから丁度2週間がたったけど魔力量増加の鍛錬をしても約1%しか増えなかった。そろそろ打ち止めかな?)


俺は前世の記憶があるので効率的な魔力量増加の鍛錬を暇な時よくやっている。

おかげ単純な魔力の質、量共に前世の倍近くまで上がっていた。


「待ち合わせはここって約束したし暇だからゲームでもして待つか」


そのままスマホを取り出してアプリゲームを始めた。

原作がエロゲでありながら何万人にも愛されている超人気アプリだ。

これの為に冒険者で金を稼いでいるまである。

20分ほど遊んでいると待ち合わせにルシールが到着した。

その背中にはそこそこでかいバッグを背負っている。


「何入れて来た?」


「今回は少し力入れてきた。魔銃を4丁、魔弾薬も20ほど、後は肩慣らし用の折り畳み式ボウガンのホールディングボウガンも2丁持ってきてるよ。ボウガンの矢は小型だから沢山持ってこれたよ、何本だったかな。確か2つの矢筒の中に70ずつくらいかな」


思い出すような仕草をしながらルシールが答えた。

どうやらかなり入念な準備をしてきているようだった。


「1人で戦争でもするんですか?」


いつもならしないようなしっかりとした準備にこのセリフが口をついて出た。

それを聞いたルシールは「アハハハハ!!」と笑いながら「こんな装備で戦争出来んわ!」と当たり前のことを返してきた。当然俺はそんな事百も承知である。


「そっちは何用意してきたの?」


話題逸らす様に俺が何を準備して来たのか聞いた。


「そうだな。俺の場合は元がタダだからな特に用意は無い。強いて言うなら魔力が減った時のために魔力回復の手段として魔石をすり潰して抹茶ジュースに溶かしたのを用意してる。味が変わらないからかなり美味しく飲めるしそこそこ魔力も回復するから世の中の人にはこのポーションはオススメだと言いたい」


「魔石すり潰したのを混ぜた飲み物飲めるのはアンタくらいや、平均の何倍も有るとかおかしいよ。平均的な冒険者が飲んだらゲロで地面汚すよ?」


俺は失敬な!とプリプリ怒りながらルシール手招きし目的地なら向かった。


移動手段は電車の乗り継ぎだ。

目的地は郊外の外れにある山の近くだった。

ルシールに伝えていなかったが俺が利用している冒険者専用施設の仲間と連絡を取り一緒に討伐する事になった。

それを電車に乗っている時に説明すると楽しみ!!と意気込んでいた。

そいつら見た目がゴツく、ヤ◎ザと見間違えられる様な風貌だが見た目に反してかなり優しい人達だ。

こいつらなら信用出来ると就職してしばらくして確信して連絡を取る様になった。

ルシールとパーティー組まない時などは偶にパーティーを組んでいる。


ルシールと話していると目的についた。

電車から降りるとこの郊外の近辺の地形を説明をしながら見た目ヤ◎ザ達の待つ所に向かって歩き出した。


目的地の山の麓に着くと見た目ヤ◎ザの人が数人既に準備を完了して待っていた。


「田崎さんお久しぶりです」


「いや〜千斗君やルシーちゃんと一緒に仕事できて嬉しいよ。俺達は基本的に前衛しかいないから中衛、後衛の2人がいると安心感が段違いだ!」


「ルシーちゃーん!絶対守るからねー!!!」


「だいしゅきーーー!!」


何故女であるルシールを男共の連れて来ても事件に発展しないかといったら理由は1つ。

ルシールのファンクラブが存在し、世の中の数あるファンクラブの中でも有数の民度の高さなのだ。

ルシールちゃんを悲しませる奴は調教するぞ?という脅し文句がファンサイトの1番上に書かれている。

それ故か誰もルシールを手を出していない。

過去に手を出そうとして準備段階でボコボコにされた人がいるらしい。

執念だな。


俺は腰部や大腿部にポーションをセット準備完了。

ルシールは大腿部と腰部に魔銃を2丁ずつセット、左手にホールディングボウガンをセット矢筒を右腕部に2個セットした矢は引き抜くと取れる仕組みになっている為激しく動いても中々落ちない様になっている。

魔弾薬(魔石)は左右の胸ポケットに収納している。


準備が完了すると俺達は山の中に入った。





「はぁぁぁ!!」


ザンッ!!!


「ふっ!」


シュパン!


「オラァァ!」


バキィィイ!


一緒に同行している田崎さん達はルシールなら前で少しでもいい格好をしようと張り切ってモンスターを斬ったり、大型のボウガンで撃ったり、鉄昆で思い切り叩きつけモンスターの体の骨を砕いて再起不能にしていた。


「思ったやり皆さん強いんですねー」


「一応施設が進めた危険度ランクがあるじゃん?」


「あ、上がSから下がGまでのあれ?」


「それのCランクをまだ一度も失敗する事なく活動してるんだよ。討伐系ならCランク帯の中でも上位だと思うよ。ただ採取とかはGランクにも劣る不器用さ!」


「ギャップがあってなんか可愛いじゃないですか!」


「「「だろーーーー!!!」」」


ルシールの言葉に3人が各々の武器をいい感じに構えた状態で反応を示した。


「あの見た目で可愛いだと?!?!目薬を買え!高いのを買え!買ってやる!」


「「「HA HA HA!モテないからといって僻むなよ」」」


「こ、殺す!!」


「もう!騒ぐとモンスターが来ちゃいますよー!」


若干猫を被ったルシールが俺達に声をかけた事で騒ぎを中断した。


ルシールを見ると右腕部の矢筒から矢を一気に数本取り出し右手に持つボウガンにセットし撃つまた矢をセットし撃つを繰り返して行い。

近くに寄って来ていたゴブリンの頭を1発で射抜き合計10体ほどの死体が転がった。


「おじさん達と千斗君が騒いでいた間にやって来てたゴブリンとかは私が片付けておいたよ!」


「あ〜すまん」


「「「ぬへへへへへ〜」」」


俺は素直にルシールに謝ったがこの三馬鹿はルシールに怒られているというのにデレデレしている。

最早怒られるのもご褒美なのではなかろうか?


「お詫びとして次は全部俺が引き受けるよ」


「分かった」


「すまねぇな千斗君!」


田崎さんはガハハハと大声で笑っていた。

お前のせいだぞ?という視線を向けるとフイッと目を逸らされた。



ゴブリンのしょっぼいドロップ品を回収すると山の中の探索を再開した。

山道を歩いているとふと思い出したかの様にルシールが口を開いた。


「そういえば最近見た事もないモンスターが現れて猛威を振るっているみたいですねー」


「見た事もないモンスター?」


「見た事がないっていうか正確には姿を変えるモンスターみたいです」


「ルシールちゃんそのモンスターは何処らへんを縄張りにしてるんだい?」


田崎さんはルシールに質問をするとルシールはスマホを取り出し検索をした。

検索内容がヒットしたのか話し出した。


「最初に目撃されたのが1ヶ月前の群馬県の山間部らしいですね。そこから徐々に南下し2日前にはこことは少し離れた山に出現したらしいです。それ以外の情報はまだ出ていません」


「うーむ」


田崎さんがここに来て初めて真面目な顔をして思案していた。

考えが纏まると顎に当てていた手を下ろした。


「もしかしてこの山にも来ているかもしれないから後1度だけ千斗君のパフォーマンスを見てから帰ろう。もし帰りに遭遇してしまった場合は俺達3人が足止めをするからルシールちゃんと千斗君は麓まで降りて助けを呼んでくれ。いいね」


俺は田崎さんの考えに賛成なので返事を返した。

ルシールは少し不安そうな表情をしていたが田崎さん達が腕をまくり上げ力こぶを作る動作をすると表情を和らげた。


そして俺達は改めて探索を再開した。






この後に起こる絶望の事など何一つしらずに










「面白い」「続きが気になる」と思ったり、この作品を気に入っていただけたら、是非このページの下にあるブックマーク、評価、レビューをお願いします。

自分のモチベーションが上がりますので、よろしくお願いします!

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