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それゆけ!異世界探検部!!  作者: ガサイハジメ
7/9

第七話【リーアム・ニーソンって知ってますか?】

■第六話のおさらい。

 「どこからがハラスメントに該当するのか難しいね。」


―異世界探検部 部室館 プラクティクスルーム

(※面倒なので以後“訓練の間”に変更)


「訓練の間にようこそ。」


「松本監督突然どうしたんですか?それにここはプラクティクスルームでは?」


「最初から訓練の間だけど?それとギルドマスターな。」


「いやいや、入り口にもほら…って訓練の間になってる…。」


「だから最初から訓練の間だって言ってるじゃないか。星野君もしかしてまだ寝ぼけてるのかな?もう放課後だぞ。」


 釈然としない状況だった。


「なにはともあれ、このプラ…もとい、訓練の間で今日は君の戦闘スタイルを判断しようと思う。」


「ギル…松本監督、戦闘スタイルとはなんですか?」


「今ギルドマスターって言おうとして監督に言い換えたよな!それ天然じゃなくてわざとってこと!」


「松本ギルド、それよりも戦闘スタイルについて教えて下さい。」


「松本ギルドって松本姓だけで構成されたギルドみたいになってるから!」


「戦闘スタイルについてなのですが…。」


「戦闘スタイルっていうのは単純にどんな武器を使って、どんな戦い方をするかって事さ。固定武器特化型クラスの場合はそのクラスにあった武器の使用が最善だけど、君のブレイバーというクラスの場合は特に特化された武器特性が無い故に、君自身で武器を決めて差し支えないんだよ。極端な話、魔法だけで武器を使わないというのもありだ。」


「武器ですか…。正直俺は野球一筋で生きてきたので武器を持ったのも初日のプラ…訓練の間での模擬戦が初めてでして。」


「だと思って、色々と武器を用意してみたよ。」


 確かに気にしてなかったが、松本監督の後ろには色々と物騒なモノが並んでいた。


「私はソーサラーなので基本的には魔法の効力を増幅する杖を使っている。まあこれで殴ったりもできるけど、あまり効果はないね。」


「見たところ剣や斧やハンマーとか、切ったりや叩いたりする武器しかないようですが、拳銃とか自動小銃とかの方が威力もあって遠距離攻撃もできていいんじゃないですか?」


「確かにガンナーってクラスもあるぐらいだし、銃を使うのも一つの手だと思う。しかし、銃っていうのは剣や斧とかに比べると作りも複雑で、素人が扱えるようなものではないよ。」


「リボルバータイプならジャムったりする事もないし、作りも単純ですし良いと思うのですが。」


「君、野球一筋とか言ってた割に銃については詳しいよね…。」


「リーアム・ニーソンの映画が好きなので、映画とかで得た知識ですよ。」


「そ、そうなんだ…。ちなみにリボルバータイプだったらいいかもって話だけど、第一に“銃弾はどうするか”っていうのがあるね。学園の力を使えば銃弾を入手する事は可能だけど、魔物を倒すには一発二発でどうこうなる問題ではないし、そうなるとリボルバータイプだと最大6発。銃弾に魔法を込めて打つというのおありだが、それにしても玉を込めたりと手間がかかる。その分リスクも増えるって訳だ。銃弾にも限りがあるしね。仮に、銃弾を生成魔法で生成するとして、銃弾の精密な形をイメージしたり、火薬を構成ための知識を得たりと、色々と覚える事が多くなる。単純なイメージだけでは銃弾は作れないからね。そういう観点からして、将来的にはともかく、今の君には斬撃や打撃系の武器の方が無難だといえる。」


「そうでしたか。」


「君が銃にこだわるのであれば、銃で魔法の弾丸を打ち出すって手もあるけど、それだったら単純に魔法を直接放った方が早い。銃で魔法を放つというのはあくまでも魔法特性が低いクラスの人間がする事だよ。君の場合はブレイバーだから魔法特性に優れている。だからわざわざ銃を使う必要性はない。」


「わかりました。」


「とりあえず、銃はないけど、他の武器を手に取って感触を確かめてみたらどうだ。」


「はい!」


 俺はまず短剣と呼ばれる30センチ程の刃がついた武器を手に取った。やはり金属で出来ているという事もあり、短剣といえど少し重量感がある。


 次に手に取ったのは片手剣だ。通常、この片手剣を使う際は利き腕に片手剣、反対側に盾を装備し、敵の攻撃を盾で防ぎつつ、攻撃するという物らしい。短剣よりも更に重量感があった。金属バットよりも重く感じた。


 今度は両手剣、刀身が1メートル前後あり、両手で持って扱うものらしい。正直重すぎて扱い切れない。


 次は片手斧、これは片手剣と同じように盾と共に使うらしい。両手斧という物もあるが、これも両手剣どうように重い。その分攻撃力も高そうだ。


 次はハンマー。とにかく重い。こんな物を振り回す人の気が知れない。


 お次は槍だ。リーチが長く、中距離での刺突攻撃が可能だ。棒としての打撃も可能だし、馬の上から扱うには良いとのこと。


 ナギナタ。これは槍と同じように棒の先端に刀身がついている。中距離での刺突や、斬撃が可能との事。慣れるまで扱いが難しい武器との事だ。


 その他にも巨大鎌、鎖鎌、刀、杖、サーベル、ヌンチャク、カギ爪などなど色々な武器があったが、どれもしっくりこなかった。


「やっぱり武器というのはどれも慣れないものですね。って一つ良いのがあるじゃないですか!」


「あれ?そんなの俺置いた覚えないけど?」


「シューティングスターって書かれてますけど?」


「荒井の私物が紛れ込んだか…。」


「やっぱりこれが一番馴染みますね!」


「まあそうだろうよ。だってバットだもん。」


「ただ、この釘が刺さっているのはよろしくないですが。それに少し赤い塗装がついてますし。」


「それは塗装ではないと思うな…。」


 俺が嬉しそうにスイングしていると、松本監督は何かを思いついたようだった。


「ちょっとこれを試してみてくれないか。」


 そう言って松本監督は俺に両手剣を手渡してきた。


「おお!これは結構いい握り心地ですよ!多少重心が先の方にいってしまい振りにくいですが。」


「柄をばっとと同じようにしたんだよ。長さも少し長めにしてね。そして少し刀身を小さめにした。」


「これだったら慣れれば上手く振れるようになれそうです。」


「よしよし。っとまあ振るんじゃなくて、切り付けられるようにならないとダメなんだけどね。とりあえずはこれで良しとしよう。」


 俺が監督から手渡された両手剣で素振りをしていると、今度は他の武器を片付け、何か準備をしだした。



「よし、それではもう一つ君向けの戦闘スタイルを提案しよう。」


「俺向けの戦闘スタイルですか?」


「ああ、その名もカウンタースタイルだ。」


「カウンタースタイル?」


「今から俺が野球ボールサイズの火の玉を投げるから、それをその剣で打ち返しせ。」


「火の玉を打ち返す?そんな事無理じゃないですか。」


「普通に考えたら無理だが、それを可能にする魔法がある。それが“反射魔法”だ。」


「反射魔法?」


「反射魔法とは別名カウンター魔法と言って、相手の放った魔法を跳ね返す魔法だ。」


「なるほど。」


「本来は反射魔法っていうのは相手の魔法が着弾する瞬間に魔法の軌道のベクトルを反転させる魔法故に、タイミングが難しいんだ。」


「タイミングも何も、普通にずっと反射魔法というのを出してればいいんじゃないですか。」


「それがそうもいかないんだよ。反射魔法というのは干渉系魔法と言って、物事の事象に干渉する系統の魔法なのだが、この干渉系魔法っていうのは長時間の展開ができないんだ。何故長時間展開できないかという説明は今は省くが、まあそういう理由で反射魔法っていうのは一瞬しか展開できない。それ故に魔法が着弾した瞬間に展開しないとならないので、タイミングが難しいって訳だ。」


「そんな高度な事を素人の俺に覚えさせようと?」


「いや、反射魔法自体はただ相手の魔法を跳ね返すというイメージだけで出来る。だが、何度もいうようにタイミングが重要となる。しかし、バッティングで飛んでくるボールを打ち返すのに慣れている星野君なら、そのタイミングも上手くつかめるんじゃないかと思うんだ。」


「確かに!火の玉を野球のボールだとイメージすれば打ち返す事も可能です!」


 俺と松本監督は早速特訓を開始した。



「反射魔法の展開の仕方はOKだな。流石ブレイバーってだけあって習得も早いな。ていうことで、早速一球目行くぞ。」


「はい!お願いします!」


 松本監督の杖の先から火の玉が勢いよく飛んできた。


 反射魔法もとい、魔法カウンターは相手の放った魔法が着弾する瞬間に展開する。野球でいう所のインパクト時に力を込めるのと同じだ。


 俺はボールを打つ要領で火の玉に向けて剣の振った。


「カウンタァァァー!!」


 剣が風を切り音がした。しかし、火の玉はもまた切り裂いた。


 つまりは失敗だ…。


「少しタイミングが早かったみたいだな。さあ次々行くぞ!」


「お願いします!」


 その後、俺と松本監督は外が暗くなるまで特訓を続けた。


「ぜぇー、ぜぇー!」


「七割方成功って所かな。まあその残りの3割が命取りになるんだが。まあ初日にしては上々でしょう。」


「ありがとうございます!」



―星野家宅


 俺はその夜、家の庭で素振りをしていた。


「お兄ちゃんもう11時だっていうのにまだやってるの?」


「ああ、あと少しだけ。」


「もう!ぶんぶんうるさくて眠れないんだから、早くやめてよね!」


「ごめん。分かった…。」


 もっとタイミングを…タイミング!タイミング!




―翌日放課後 部室館 訓練の間


「カウンタァァァー!!」


 俺は火の玉を打ち返した。


「すごいじゃないか!二日目にいきなりカウンターをマスターするなんて!」


「いえいえ、松本監督のご指導のお陰です。」


「これで魔法対策は良しとして…早速だけど自分で火の玉出してみようか。」


「え?俺はそんな手品はできませんよ。」


「いや、反射魔法を練習するうちに君は魔法の使い方のコツを掴んだはずだ。あとはイメージだけだ。」


「火のイメージですか…。」


「ライターとかで火遊びとかしたことぐらいはあるだろ。」


「ありません。火遊びは危険ですし。」


「お、おう。そうだな。だが、手持ち花火とかやる時にライターとか使うだろ。」


「チャッ〇マンでつけてました。ライターだと危険なので。」


「なんでもいいけど、あれのスイッチを押すとボって火が出るだろ。そういうイメージだよ。」


「なるほど…。ボっですね…ボ…ボ…ボ………。ボボボーボ・ボー〇ボ?」


 火ではなく、一瞬で鼻毛が異常なぐらい伸びた…。


■続く…

■みんなの異世界探検部のコーナー■

・干渉系魔法 事象に干渉する魔法。例:時間干渉、空間干渉、物理法則干渉等

・戦闘スタイル 読んで字の如く。クラスがアーチャーだからと言って必ずしも弓矢を使う必要はない。

・リーアム・ニーソン 映画【96時間(taken)】や【シンドラーのリスト】等で有名な俳優。特に本編とは関係無い。

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