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それゆけ!異世界探検部!!  作者: ガサイハジメ
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第四話【神秘!年上の妹が現れたらあなただったらどうしますか?】

■第三話のおさらい。

 「オリックスの山崎選手」

 俺には二つ離れた妹がいる。もちろん二つ年下だ。自分でも変な事を言っているのは分かっているが、どうしてそのような事を改めて言うのかという事を今から話す事で理解してもらおう。


 ―異世界探検部 部室館


「クラス診断ですか?」


「そ、クラス診断。」


「ユーの魂に刻まれたクラス(役職)が何なのかを預言者の“ヴァンゲリヤ様”見てもらうのさ。」


「なんだか腹を下しそうな名前ですね。」


「それなw」


「という訳で今からまたアナザーバースに行きますよ。今度は逸れないようにして下さいね。」


「は、はい!」




 ―20分後。


「うーん。それは?」


「ユニフォームです!」


「野球のユニフォームっすよね?すっげーピッチピチっすねw」


「松本監督が動きやすい恰好になれと申されたのでユニフォームに着替えました!」


「確かに動きやすそうだね。ちなみに監督じゃなくてギルドマスターね。」


「はい!やっぱりユニフォームを着る事によってこうやってやるぞ!っていう気持ちがより一層ましますね!」


「今日は特にやってやるって事は無いかな…。でもまあいいや。」


 俺は準備運動しながら他の三人を待った。


 最初に現れたのは筋肉マッチョ先輩こと金剛寺先輩だ。上半身裸で下はピッチリとした膝丈程のハーフパンツを履いている。何故か肌はオイルでギラギラしている。


 そして次に現れたのが金髪ツンツンヘアー男こと荒井リュウセイ君いや、シューティングスター君だ。

 白い背中に喧嘩上等と書かれた俗に言う特攻服という物を着ていた。


 最後にサムライガールこと御堂陽菜さんだ…。

 なんというか…すごくパンクな恰好だ。腕や首に棘が付いた革製のアクセサリーをつけている。あれも武器なのだろうか。


「ちゃんとこっちで用意した装備置いてあるのに、全員が全員が思い思いの恰好してくるってある意味凄いね…。」


「監督にお褒め頂き光栄です!」


「褒めてないし、ギルドマスターな。」


 松本監督が手に持っていた長い杖をフルフル回すと、俺を含めて四人の恰好が一瞬で変わった。


「流石にさっきの恰好じゃあ向こうの人々をびっくりさせちゃうし、悪いけどこっちで用意した格好に変えさせてもらったよ。」


「監督は手品もお上手なんですね!」


「手品じゃなくて魔法な。それにギルドマスターだ。」


 松本監督が手品によって着替えさせてくれたのは少し古びた生地で作ら得た薄汚れた服だった。中世ヨーロッパを舞台にした映画等に出てきそうな小汚い服だ。


「流石ミスター松本ですね。一瞬にして服を着替えさせれるという事は我々の肉体の寸法を正確に理解し、元素変換によって元の服を今着ている服に変換しているのですね。」


「そんなところだ。」


「それセクハラ…。」


「え?魔法だよ?」


「魔法で陽菜の体触った。」


「確かに服を変換する時に身体を測定したけど、それは触るという行為とは違うかな。」


「………。」


 御堂は急に涙をポロポロとこぼした。


「え?え?ちょっと待って?え?何この状況?」


「ミスター松本。これは…。」


「まっちゃんが泣かしちゃったw」


「監督…。」


「俺が悪いの?これ俺が悪いの?」




 ―30分後。


「という訳で、松本先生は急遽引率できなくなったので、ヴァンゲリヤ様の元へは私が代理で引率します。」


 松本監督の代わりに、玉木先生が引率してくれる事になった。


「ちなみに私がヒーラーとランサーのダブルクラスホルダーだからって頼り切らないでね。あくまでも私は引率ってだけだから。」


 玉木先生は右手に槍を持ち、鎧を身に付けながらも、必要性が理解できない大胆にスリットの入ったロングスカートを穿いていた。


「あ、あと御堂さん。あまり松本先生をいじめたらダメよ。あの人以外に気が小っちゃいんだから。」


 俺は御堂さんの右手に目薬が握られているのを見逃さなかった。




 ―ディミトロヴァ神殿


 そこは甲子園球場程の広さがあるギリシャとかにありそうな神殿だった。


 神殿の門の前にはヴァンゲリヤ様の従者を名乗る女性が出迎えてくれた。


 どうやらヴァンゲリヤ様は俺たちが来ることを事前に知っているようだった。



「あなたが来るなんて珍しいですね、暴虐と癒しの女神リリアンヌ。」


「その呼び方は恥ずかしいのでお止め下さい。」


 玉木先生、否!リリアンヌ先生は赤面しているようだった。


「それに私がここに来る事はどうせ知ってたんでしょ。」


「ええ、もちろん。でも私の見る未来は100%ではないから、こうして再び会えて嬉しいわ。」


 ヴァンゲリヤ様はその艶やかな金色の髪をなびかせ微笑んでいた。しかし、彼女の目は閉ざさたままだった。


「そしてあなたがホシノタクマね。この場合は初めましてというべきかしら。」


「?」


 俺は神殿の地下にある預言の間に一人通された。そこで俺のクラス(役職)と少し先の未来を教えてくれるのだという。


 預言の間の扉が閉まると、急にヴァンゲリヤ様が俺に抱き着いてきた。


 俺はとっさの事で硬直してしまった。何せ野球野球の日々を送ってきた故に女性にこのような事をされた事はなかったからだ。


「ずっとお会いしとうございました、アーサーお兄様!」


「アーサーお兄様?」


 俺は美しい女性に抱き着かれているのと、急なお兄様発言に混乱していた。


 とりあえず俺はヴァンゲリヤ様の手を振りほどき、少し距離を置いた。


「とは言っても今のあなたはまだ私のお兄様だった頃の記憶を思い出していないのですよね。」


「それはどういうことですか?」


「あなたの前世、アーサー=ロンデマルクは私の兄なのです。」


 俺の前世がヴァンゲリヤ様の兄?余計に頭がこんがらがってきた。もう何がなんだか分からん!


「あれは丁度200年前の事…」


 突然の回想である。とりあえず、ここからは一人称はヴァンゲリヤ様に交代するとしよう。




 私の目がまだ見えていた頃、アーサーお兄様は各地で魔王の軍勢と戦い、次々と奪われていた土地を取り戻していました。


 そして遂にアーサーお兄様は魔王の討伐に成功したのでした。


 しかし、魔王の死後、アーサーお兄様の力に敵わないと感じた魔王の手下であるアモンは、私を人質に取りお兄様をおびき出そうとしたのです。


 私はアモンによって一週間もの間の拷問と魔法による回復、そして拷問といった死ぬことも許されぬ日々を過ごしました。


 私の両目はえぐり取られ、アーサーお兄様の元に送られました。


 アーサーお兄様は私を救うため自らアモンの罠が待ち受ける私が捕らえられている城へ来ました。


 アーサーお兄様は私を助けるために抵抗もせずにアモンの攻撃を受け続けました。


 私はお兄様の苦しむ声を聴き、堪えられなくなり、これ以上お兄様の枷にならぬようにと看守の隙を見て盗んだナイフで自分の喉を切り裂きました。


 そして、お兄様はアモンを倒し、私の元に駆け寄ってきたのです。


 目の見えぬ瀕死の私でも状態は分かる程にお兄様の体は傷だらけでした。


 お兄様は私を抱き上げ、私に禁忌の魔法を唱えたのです。


 お兄様は私を抱きしめたまま息絶えました。


 そして、禁忌の魔法によって私は一命を取り留め、その魔法の影響で不老長寿となったのです。


 更に、目が見えなくなった影響か、私には未来が見えるようになりました。


 それからというもの、多くの人の未来を見てその人のクラスと起こりうる未来を伝えてきたのです。




 ここで一人称が俺に戻るのだが…ってそんな雰囲気じゃないってぐらいに壮絶な話だった…。


「あれから200年間、私はあなたのことを待っていたのです。」


「なんというか…。俺にはそのアーサーさんの記憶がありません。だからなんとも言えないんです。」


「気にしないで下さい。あなたがお兄様の生まれ変わりだとしても、あなたはあなたなのですから。ただ、私にはそんなあなたに伝えないといけないことがあります。」


「あ!そういえばまだクラスについて聞いたなかったですよね。」


「はい、そのクラスに関わるあなたの未来の話です。」


「俺の未来?プロ野球選手ですか!?」


「いえ、それよりも少し前の未来です。」


「どういう意味ですか?」


「これから数年以内に魔王が誕生します。あなたはその魔王を―」


「魔王ってなんですか?」


「え?魔王知らないんですか?」


「ゲームとかのヤツですか?」


「難しい質問ですね。魔王とは何かとは…。絶対悪…という訳でもありませんし、破壊者というべきでしょうか。」


「佐々木選手の異名の“ハマの大魔神”的なやつですかね?相手チームから見たら悪魔の神“魔神”的な?」


「えっと…そのハマの大魔神が何なのかわからないのですが、とりあえずそれでいいです。」


 ヴァンゲリヤ様はあからさまに困った顔をしていた。とりあえず俺は魔王が何なのかを理解した雰囲気を出した。


「とりあえず簡潔にお話すると、その新しく誕生した魔王をあなたが倒すんです。」


「ん?ハマの大魔神を俺が倒すんですか?」


 ヴァンゲリヤ様は右手拳をギューッと握りながら「くーっ!」といった感じの表情を浮かべていた。


「つまりはあなたが勇者になって、魔王を倒すんですよ!」


 俺はヴァンゲリヤ様を怒らせてしまったようだ。


「だからあなたのクラスはブレイバー(勇者)です。」


「ブレイバー?ブレイバーとは何ですか?」


「もういいです!!」




 ―ディミトロヴァ神殿 応接間


「たっちゃんどうだった?」


「黙、預言は他人に話してはならない。」


「え!そうだったんすか!」


「クラスは話していいのよ。」


「クラスはブレイバー?って言われました。」


「ブレイバー!!?」


「それってまぎれもなく勇者ってことじゃないっすか!」


「驚!」


「ミスター星野は勇者様ってわけか!ハッハッハー!」


 みんなは驚いていたようだが、俺にとってはブレイバーと言われても何がなんやらといった感じだった。


 それよりも俺にとって気になったのは引退したハマの大魔神こと佐々木選手がもしかしたら復帰するのかもという事だった。


■続く…

■みんなの異世界探検部のコーナー■

・ギルドマスター ギルド(異世界探検部)の顧問の事。よって松本先生の説明だと「顧問兼顧問」という事になる。

・ダブルクラスホルダー 一つの魂に二つのクラスの素質を持った存在。

・HMB 効率的にマッチョにあれるかもという成分らしい。特に本作品とは関係無いが、金剛寺君はHMBサプリを愛用しているそうだ。

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