#8 俺は番長! でも苦労人になった
「♪~」
不良共をゾロゾロとひっ連れて、俺は肩で風を切るように商店街を歩いていた。
トトイスと出会って半月後。魔法の窯で作った軍団のお陰で俺はいつも間にか町内の不良グループのトップになっていた。
もう町内で誰も俺に逆らうことなんてできない。
今まで俺をいじめ続けた奴らを今度は俺がいじめる番だ。
手始めに不良共から集金する。
俺が一言脅しをかければ不良共は嫌でも金をよこす。最初のうちは集金を拒否した奴もいた。だが、俺のバックにつく兵士たちにぶちのめされれば次から素直になる。
そうなりゃこっちのもんだ。後は好きにやれる。そうやって不良共から金を巻き上げる訳だ。
「なんだよ、これだけ?」
しかし思ったよりも額が少ない。
「すいません」
俺を怒らせないように頭を下げるが、そんなもんで俺の気が済むか。
「チッ!」
「テェッ!」
「手ェ抜くなよ。次からはもっと持ってこいよな!」
と思ったところで金額が増えるわけでもなし。腹いせに俺は不良の足を蹴っ飛ばし発破をかける。そうやって毎週集金をしてる訳だ。
もはや俺が暴れるのに理由はない。ただ胸がスカッとするからやるだけのこと。
魔法の窯のお陰で俺は十六歳にして町内一の大番長。自分のカリスマ性に惚れ惚れするな。
「ま、こんなもんか」
集金を終えると直ちに不良共を解散させる。
「よし」
そして誰もいなくなったのを確認すると、俺はそそくさとスーパーマーケットに向かった。
スーパーに入ると待たしてあるレミちゃんと合流し、一番大きいカートを持って来て片っ端から食料品を積み込みレジにてお会計。番長になった俺だが、無論代金は払う。、
この食料品、もちろん食べる為に買うのだが。到底一人で食べきれる量ではない。
じゃあ誰が食べるのかって? それは実体化した模型たちのエネルギーだ。
実は魔法の窯で実体化した模型も人間同様に定期的な食料摂取を必要とする。食べた物の消化率は100%、動物のように糞尿は一切排出しなくてもすむが、基本的に人間と同じものを食べるので、これが結構馬鹿にならない。それと言うのも兵士を無計画に増産して三十人にしてしまったから。
そんなこともあって不良共から金を巻き上げて食料に変えてる訳。人の面倒を見る大変さを身をもって知るに至る。
まあ、住居場所はレミちゃん以外はホームレス生活させてるが……。
「五万六千五十九円になります」
そうこうしてるうちに会計がが終わる。今回もかなりの金額になっちまった。
まあこれも仕方のない事。そう自分に言い聞かさてレジ袋に詰め込んだ食料をレミちゃんと一緒に運ぶのであった。
あー、何か効率的な財源確保のいい方法はないものか……。