#7 男の性
「これでレミちゃんが俺のものに……。ゴクリ!」
いきなりだが庭で生唾ごっくん。それと言うのも俺は魔法の窯で美少女フィギュア・レミを実体化させようとしているからだ。
事の切っ掛けは自分の軍団に華が必要だと考えたから。
言っちゃあ難だが自分の軍団を結成したものの、メンバーは皆男の兵隊。そこに華はない。
だから秘書的なポジション、つまりは側女が欲しい。そこで美少女フィギュアを実体化させようとしてる訳。
「はあっはあっ……!」
しかし緊張と興奮から過呼吸気味。プライズフィギュア (金がないのでハイクオリティーなスケールフィギュアが買えないため) とは言え、美少女を実体化させるをのは胸が高鳴る。
だからと言って何時までも手を拱いていては前進なんてない。
「すーーーーっ。はぁ~~」
深呼吸して呼吸を整えると、自らを奮い立たせて窯にフィギュアを入れる。
そしてスイッチオン。窯が勢いよく動き出して喧しい作業音が鳴り響く。数秒後、爆発音と共にレミちゃんが誕生。
「やった! 成功だ」
俺の大好きなキャラクターであるレミちゃんが現実世界に実体化した。
突っ立ったその姿は作品内での上品で容姿端麗なそれと変わらない。美しい茶髪も忠実に再現されている。
ただ、残念なとこは割安なプライズフィギュア特有の塗装の省略されてることだ。お陰でレミちゃんのアイドルコスチュームの色が残念なことに。
と言うのも、魔法の窯で実体化した模型は元々の出来によっての実体化した時の容姿に反映されるので完成度が高ければ高いほどいい。また、模型の出来によってスペックが上下する為、必ずしも原作設定通りのスペックを発揮できる訳ではない。
そもそもフィギュアの製造コストを吊り上げる理由の一つは塗装だ。これがもっともコストが関わってくる工程で、塗装の工程は色数を増やせば増やすほどコストも増えていく。故にスケールフィギュアの値段は高い。
逆にプライズフィギュアは塗装されてない箇所や、簡便なもので済まされているケースが多くなっているので安い。
であるからして、本当はスケールフィギュアが欲しかったけど、金のない俺はプライズフィギュアデ妥協するしかないのだ。
とは言えこれはこれで満足。大好きなレミちゃんが二次元の壁を越えてレミちゃん俺の目の前に現れてくれたのだから。
「うーむ……」
縁側に腰かけて突っ立ってるレミちゃんの姿をまじまじと眺めるも、だんだんと触れたい我慢できなくなってくる。
「……レミちゃん。俺の膝に座ってくれないか」
こんな命令してしまう。
自分でもどうかしてると思った。だけど男の本能がそれを許さなかった。
「イエス、マイマスター」
幸いなことに魔法の窯から実体化した模型は生み出した者の命令に忠実。レミちゃんは二つ返事で俺の膝の上に座る。
「おぉぉぉぉぉぉー♪」
密着するレミの感触にワタルは思わず興奮。鼻息も荒くなる。
定上レミは十七歳の女の子だが、ワタルのやってることは金持ちが膝の上のネコを撫ぜるそれとよく似ていた。
端から見たら変態だな。ま、幸いなことに彼の両親は共働きでこの時間は家に居ない。それに友達もおらず。だから人目を気にする必要はない。 「思う存分レミちゃんといちゃつける」 そう高を括って楽しんでいると。
「おう、ワタル。新しい戦力作ったんか?」
突然トトイスがテレポーテーションで俺の目の前に現れる。
「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!」
予想外のトトイスの出現に俺は驚き、言葉にならないような叫び声を上げる。
「あ! お楽しみ中やったか。もういっぺん出掛けてくるでやんす」
俺たちを見るなりトトイスは一瞬で状況を把握。再びテレポーテーションでどこかに移動した。
「なんで無駄に察しがいいんだよ!!」
間の悪いトトイスに文句言ったが、そのトトイスははるか遠くに逃げていた。
変に気遣いされたせいで、すっかりモチベーションが下がった。
止む無くその日は大人しくするのだった……。




