#5 あげるけどギブアンドテイク
「ハッハッハッ!!」
魔法の窯の凄さを知った後、ワタルは狂喜していた。
「なんやよー分からんが喜んでるようやな」
そのようなにニタニタと気色悪い笑みを浮かべるワタルに、トトイスは腕組してうんうんと頷く。彼も満足そうな素振り。
「もっと喜ばしたるわ。この窯やるでぇ」
「マジか!!」
トトイスの一言にワタルの目がギラつく。それは親が 「おもちゃを買ってあげる」 と言ってもらった時のちびっ子の目とよく似ていた。
「ホントだな! マジでくれるんだよな! 後で返せとか言わんよな?」
興奮状態になったワタルはトトイスにグイグイと詰め寄ると激しい質問攻め。押して押して押して押しまくる。その光景はまるで相撲でも取ってるかのようである。
「んなことするかい!」
しつこい質問をうざったく感じたのかトトイスはワタルを両手でプッシュ。突き飛ばす。
「オワッ!」
突き飛ばされたワタルは後ろに尻餅をつく。
「わいも男や。男に二言はないでやんす!」
トトイスは歌舞伎役者みたいな独特な動きで、男気のあることを口にする。
てか、トトイスの性別は男だったのか……。
「ヨッシャ!」
一方ワタルは魔法の窯が手に入ることが確実になると尻餅をついたままガッツポーズ。本当に嬉しそうに狂喜の声を上げる。
「いやぁ、ホントいい物をありがとう。あんた神様だぁ♪」
魔法の窯を貰ったワタルは喜びから顔ニタニタ。
感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げる。
顔こそ緩みきっただらしないものでしたが、感謝の気持ちが本物であることはその言動からうかがうことができる。
「別にお礼なんてええわ。そのかわりに地球を侵略しようとする悪の神・エスポアとエスポアに味方する者を抹殺してほしいんや」
「おう!? そういうことか……」
トトイスが魔法の窯をくれる理由を理解した。彼は遠回しに交換条件ギブアンドテイクを要求したのだと。
考えてみたら、あんないい物をタダでくれるなんて話が出来過ぎている。彼が見返りを求めるのも当然のこと。なんら不思議なことはない。
危険の伴うであることは想像に難しくない。今ならクーリニングオフも間に合うかもしれん。
だが俺は……。
「謹んでお受けいたします。私わたくしはトトイス様の忠実な僕しもべです」
恩義から跪き、あえて引き受ける。あの魔法の窯にはそれだけの価値があると踏んだからだ。それは今後、どのような困難が待ち構えていようとも。
それに悪党をのさばらせておく訳にもいかん。俺の正義感がそれを許さんからだ。
「やったでやんす♪ しっかり働いてもらうでやんす」
引き受けてくれると知るなりトトイスは声も高らかにバンザイ。
かくして俺はトトイスの僕しもべとなるのであった。