#29 トトイス特殊部隊
さて、今日のお話は、つい先日に山で建設された大阪城から、物語を始めよう。
「ふーむ……」
朝もはよから、城の殿様部屋でワタルがむっすりとした表情で、ふんぞり返って胡坐をかいている。その近くで側近みたく正座しているトトイス。
ちょっと前までなよなよしてたワタルも、今では威張り腐って城主気取り。人間、環境が変われば変わってしまうものです。
「トトイスよ、我が軍団は奇襲を受けたんだってな」
「さようでやんす」
トトイスはポーカーフェイスで緊張感なくこくりと頷く。表情から伺えるように、トトイスはあまり気にしてない模様。
「泣く子も黙る我が軍団が泣かされて何とも思わんのか!!」
無表情なトトイスにワタルは声を荒げ、怒りをぶちまける。一応は部下がやられたことを気にしている。
「大丈夫でやんす。対策はとってあるでやんすから」
トトイスは立ち上がるとドヤ顔。
「対策? どんなだ?」
けれどもワタルは疑いの眼を向ける。
「説明するでやんす。ダルワルス、入ってくるでやんす!」
「だー!」
トトイスが呼ぶと、叫び声と共にふすまを開けて、中世ヨーロッパ風を身にまとった外見年齢が十六歳ぐらいの長身女が入ってくる。
女は無表情気味な涼し気な眼差しに、雪を思わせるような白い髪。髪型は少しウェーブがかったロングヘアー。秋田美人を思わせる色白肌。
左腕には魔人の紋章が記された赤い腕章。
守りたくなる感を漂わせる小動物的な女の子なのだが、身長は二メートルもある。なんだか外見イメージと大きさが一致しない。
また、女に続いて同じ中世ヨーロッパ風の衣装を着たゴブリン二十人が足並みそろえて行進しながら入ってくる。
「俺達は!」
ダルワルスは殿様部屋に入るなり、掛け声を上げる。なお、声質はガラガラ声の酷いもの。例に漏れず中身は男だった。
「「「「トトイス特殊部隊!」」」」
それに続いてゴブリンたちも声を揃えて掛け声を上げる。
「気に入らなねえのは?」
そして、ダルワルスがまた叫ぶ。
「「「「エスポア軍団!」」」」
で、またゴブリンたちが続く。
「パワフルなのは?」
で、ダルワルスがまた叫ぶ。
「「「「俺たちだ!」」」」
ゴブリンたちが最後にそう叫ぶと行進をやめ、俺とトトイスに敬礼した。
「トトイスよ、この茶番はなんだ?」
「士気を上げるためのシュプレヒコールでやんす」
ニコニコ顔でこびへつらいに大きく出る。
「これで士気が上がるか?」
俺にはこんな馬鹿騒ぎで士気が上がるとは到底思えない。
しかし、メンバーが生き生きしてる姿を見ると、心ならずも認めざるをえない。
「まあ、いいか」
「ワタル様が喜んでくれて嬉しいでやんす」
ワタルは喜んでいるようには見えなかったが、トトイスは満足気。
てか、さり気なくワタルのこと様付けで呼んでるよ!? メッキがボロボロと剥がれていくかのごとく、神としての品格がどんどん剥がれていく。やることなすことにまったくカリスマ性が感じられません。 (ま、最初から神々しさは殆どなかったが……)
「実は第二弾もあるでやんす♪」
「まだいるんか!?」
「入ってくるでやんす、ゼイバス!」
俺が言い終わる前にトトイスが仲間を呼ぶ。すると、またぞろぞろと新しい仲間が部屋に入ってくる。
今度は元気がある、発育の良い金髪セミロングの碧眼の西洋人美少女。引き連れてきたのは緑の兵隊二十人。
ゼイバスとか呼ばれるそいつは、外見年齢は十二歳前後の幼女であった。
ゼイバスはダルワルスと同じ服と腕章を身につけていたが、体格は大きく異なり低身長。二人が並ぶと、六十センチは身長差がありそうだ。
なお、ゼイバスの声も男。
「俺達は!」
「「「「トトイス特殊部隊!」」」」
「ダサいのは?」
「「「「エスポア軍団!」」」」
「エネルギッシュな!」
「「「「俺たちだ!」」」」
こいつらもダルワルスたちと同様にシュプレヒコール。ムダにテンションの高い奴らだ。
「どうでやんすか、ワタル様? 第二弾も中々いいもんでやんすでしょ♪」
「一体、第何弾までやるつもりだ?」
「第四弾まであるでやんす。見たいでやんすか?」
「もうええわ! さっさと作戦を説明しろ」
いい加減うざったいので、さっさと作戦を説明するように最速。
「はいでやんす。てめえらの作戦はエスポアに味方する人間を探す事や」
トトイスは作戦を説明しながら、ラセツの描い太似顔絵のコピーを特殊部隊に配る。
「つまり、捕らえてエスポアの居場所を吐かせる訳ですね」
「ピンポーン」
ダルワルスの解釈が正しいことをトトイスは、クイズ番組の正解音みたいに表現。てか、口でそんな音発音できるなんて地味にスゲーな。
「作戦が分かったなら、早速作戦を実行するでやんす」
「「ははあ! かしこまりました」」
ダルワルスとゼイバスはトトイスにピッと敬礼。そして、ダルワルスはタルワールを背負い、ゼイバスはサーベルを腰に差す。
「「行って参ります」」
準備が整うと、ダルワルスとゼイバスは声を揃えて、部下の緑の兵隊とゴブリンを引き連れて出発。情報集めに商店街に向かうのでした。




