#1 趣味に没頭してやなこと忘れましょう
西暦20XX年、日本の田舎にあるとある通学路。
「ぐすん」
その通学路を一人の男子高校生が足を引きずながら下校していた。
よく見ると彼の体は痣と生傷だらけ。半泣き状態で体を労わりながらめそめそと下校していた。
小柄な体格。むすっとした顔と坊主頭が特徴的な彼の名はワタル。所謂いじめられっ子だ。
極端に気が弱く、何かにつけいじめっ子に毎日いじめられ悔しい思いをしていた。
この説明では彼がいじめられるような人間には思えないが。彼がいじめられる原因はそのむすっといた顔である。そのせいでその悪ガキたちに目を付けられていじめられっ子になるに至る。
なんとも不憫ですな。
「ちきしょう! いつか仕返ししてやるからな」
しかしこの男、臆病なくせに夢見がち。いじめっ子がいないと平気で毒を吐く。
案外人格に問題がある人。
無論非力な彼にそんなことができる訳もなく。胸ふさがる日々を送るばかり。
普通の人間ならいじめのストレスに押し潰されてどうにかなってしまいそうだがて。彼にはストレスの捌け口があった。
「あーあ……。帰ってプラモでも作っか」
実はワタルは模型作りが趣味。つまりは趣味に没頭することでストレス発散してたのです。なので意外とストレスに強かったりする。
また彼は幼い頃から手先の器用な子供で本格的な模型作りもお茶の子さいさい。プロモデラー顔負けな天才肌。不器用そうな見た目なのに人は見かけによりませんね。
そしてワタルは家に帰宅するのでした。