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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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三章 一話 変更と微かな抵抗

僕は一人で街を歩いていた。久野先生に差し入れを持って研究室へ行くために。転移すればすぐ着くけど、あの改変の後、表の世界で能力を使うことは控えているから。


歩いていると、突然世界に音が響いた。きっと、とても大きな音。頭が割れるようなのに、とても心地のいい不思議な音。


音に呑まれて意識が朦朧とする。バリン、と確かになにかが割れた。密かに日本全土を覆っていた不可侵の結界が割れたことだけは微かに認識できた。なんで、あんなものがあったんだっけ。《聞かされていた》のに、なんだろ、考えられない。


音は僕らに語りかける。男か女か、この言語は果たして本当に言葉なのか。それすらもわからないけれど、違和感は全く生じない、でも、不思議と理解できる、不思議な音。


『意思ある者よ、この福音ふくいんが聞こえるか。さあ、救済の時間だ。我々によって変更は為され、世界をわかつ境界は壊れた。新たな世界に飲み込まれろ。全ては等しく落ちるべきだ』


声とともに、なにかが体に染み渡る。そして、耐えきれず落ちていく。何故、耐えきれないのか、僕にはわからない。……無の衝撃?崩壊?わからない。けど、これは始まり。僕は、僕はなんだっけ。


考える。思い出す。というより、もう一度定義する。




僕は冬。季節に成るには要素が足りない。春夏秋冬、集まってこそ季節。四季。


僕は陽。太陽ほど大きくはないけど、僕は世界を暖かく照らす。意思あるものは温度を求める。


僕の肉体は仮初め。元々の体との繋がりは一度断たれた。だからこそ、僕は魂そのもの。魂の形は僕次第。集まってきた意思を包む。季節も包む。僕が僕であるために、今度こそ手放さない。


概念は僕とともにある。落ちていく中で僕は僕を保ち続ける。


心地のいい崩壊の音はもう聞こえない。そして、元の色だって見えない。でも大丈夫。黒の中で僕は明るい白になる。



ぼくが干渉を受ける。ちぎられても、僕は包み続ける。大丈夫。千切られても、元に戻す方法は知ってる。僕は守る。千切られたぼくと《もう一度》手を繋ぐ。光の範囲が広がる。僕の中央には、もう一度大樹が宿る。あれが少しでも残っている限り、僕は存在している。


大丈夫。全ては安定を求めて定着する。もうすぐ、安定するんだ。

お久しぶりです。まだ三章を書いている途中なのですが、このお話の形は揺るがなさそうなので投稿します。次話投稿時期は未定ですが、気長にお待ちいただけると幸いです。

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