二章 二十六話 罪代
────夏希視点
くっそ。なんも前に進まん。
『押して駄目なら引いてみろ、じゃ』
いや、俺の罪に溺れたって何の意味もないだろ。
『魔女殿の罪に溺れればいいじゃろ。おそらく、呑まれ次第自らの罪も混ざってくるはずじゃ。罪とはそういうものだからな』
……それならやってみるか。何かあったら困るし、精霊界に避難しててな。
『はいじゃ』
もう一度、冬陽の罪に直に触れる。抵抗する気が無いからか、直ぐに染まっていく。侵食される気持ち悪さに呑まれて、やがて何も見えなくなる。……前より、罪の濃度が上がってる?
っ!来た、俺の罪。くすんだ色が蠢き出す。ああ、無性にいらいらする。
おい俺の罪。お前は誰を縛っている?俺に許しも得ず、デメリットしか与えないでいられるとでも?
……ふざけんな。
『染めろ。染めろ。染め上げろ。命を対価に染め上げろ。俺のために、力を全て燃やし尽くせ。消えない痕と約束のために』
代償を睹して、力を練り、染め上げる。
……ああ、わかった。始めからこうすれば良かったんだ。意識が薄れていく中、俺は式を完成させる答えを見つけた。
『主よ。平気かの?』
「あ、あ。大丈夫。ははっ、ノヴァ、俺やっと見つけたわ。【罪代】」
ああ、力がみなぎる。全能感が溢れてくる。やば、なんかめっちゃ気持ちいい。
『ほう。吸血鬼としての位が上がったのう。限りなく始祖に近いぞ。羽も生えた。試してみるといいのじゃ』
なんやこれ。ハードモードがめっちゃ簡単にいけるわ。これならもうよさそう。天狗さんに置き手紙書いて下山しますか。
山から離れ久しぶりに街に戻ると、そこには地獄が広がっていた。
……バグのことをすっかり忘れとった。って人が襲われてる!?助けんと!!
それなりに近寄ったところで急停止する。バグも人も関係なく切り裂く、とてもやばいやつがいたから。
『……春殿が暴走しておるな。これは放っておいてもおかなくてもやばい気がするのじゃ』
「よなあ。……あれ、罪を吸収して、力を強固なものにしとらん?」
『罪とはそういうものじゃからのう。集めれば集めるほど濃度が増して、力が増して、のめり込んで、償いきれなくなった罪に最後には呑まれてしまうのじゃ』
「春やばない?」
『いや、罪を扱えているからまだ大丈夫じゃ。まだ、じゃがな』
「んじゃあ、はやい内に止めた方がいいよな」
領域に1名様ご招待っと。




