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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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二章 十九話 願い種③果実の種

────秋斗視点


マンションを出てあたりをきょろきょろしていると、遠くから冬陽くんが歩いてきた。なんでここにいるの??


「あ、冬陽くーん!」

「あきと!久しぶりー、さっきまで何してたの?」

「みんなで遊んでた!冬陽くんも一緒に遊ぼ!……あ、司にーちゃん」

「おう。冬陽、ちょっといいか」

「僕はいいけど」

「んじゃ秋斗は少し待っててくれよな」

「えーーー」


連れてかれちゃった。つまーんなーいのー。


──


「司くんどーしたの?」

「……いや、な?もう俺たちは消えるべきだと思ってるんだよ」

「え?……どういうこと??」

「秋斗は表に出てる時間が少ない分、精神がまだ幼い。その分こっちで勉強できてるからいいのかもしれないが、流石にもうやばいんだ」

「それじゃわかんないよ」

「……遅かれ早かれ、秋斗の体は大人になる。それに合わせて、精神も成熟しなければならない。けど、俺たちが残っていれば、秋斗は大人にはなれない。ここまではわかるか?」

「うん。何となくわかるよ」

「んじゃ続けるぞ。かといって、秋斗以外の人格をいきなり消してしまうと秋斗がやばいんだ」

「やばいんだ」

「やばいんだ。てかもともとが危ういから俺たちが補佐役としているんだし」

「……要するに、補佐役を何人か残して人格を結合していけばいいんだね?」

「ああ。頼めないか?冬陽の言うことならあいつらも聞いてくれると思うんだ」

「………………わかった。司くんの頼みなら、やってみるよ。でもその前に、みんなと一緒に遊ぼうよ。いい思い出になると思うんだ」


──


「ありがとう。ほら、これお礼だ。桃、好きだったよな?『美味しくなあれ』ってみんなの願いが込められてるからあり得ないくらい美味しいぞ」

「ありがとう。司にーちゃん」

「おう。それじゃあな、秋斗」



みんなは消えてお星さまになった。最後にみんなで遊んだけど、やっぱり楽しかった。僕はみんなが大好きなのに。こんなことになるなら、一人でよかったのに。


司にーちゃんなら『泣くな、弱虫』って言って、優しく慰めてくれるんだろうな。


「秋斗、ごめんね」

「……っ、いいんだ。にーちゃんたちからも、あーちゃんからも話されていた事だから」


ありがとう。冬陽くんだって辛いのに。


「でも、わかるでしょ?みんなここにいる」

「わかる、よ。消えたときと違って暖かいままだから。それに、ほら、空にたくさんの星があるでしょ。あれがみんなだってわかるんだ」

「……いい子いい子。ね、みんなからのお礼に桃を貰ったんだったよね。一緒に食べよう?」




美味し、かった。涙は止まったけど、やっぱり寂しい。


「この種に僕からの願いを籠めてここに埋めたいんだけど、いい?」

「……うん」

「それじゃあ、ちょっと待っててね」


冬陽くんは大きな桃の種を両手で握って、しばらく見つめていた。


「……よし。秋斗も穴掘るの手伝って」


僕も、願いを込めよう。みんなの残したこの種に。




種を埋め終わった僕たちは、小高い丘の上で星を見てた。そして、約束したんだ。


【僕が隣にいられるうちは、僕が君を守るから。君が僕を思ってくれているように、僕も君の事を思っているから。だから、僕の前では無理しないでね】


これが、あの日交わした俺《僕》らの約束。

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