二章 十五話 ヒトと天狗
────グラド(にーさま)視点
吸血鬼の坊主はまだ籠り続けてるが、冬坊が神調べの間に行ったきり帰ってこない。それなのに、先代だけが山から降りてきた。
「先代、冬坊は?」
「ここで暫く遊ぶと言っていたのだが。来てないのか」
あいつのテンションならここを通ればわかるはずなんだが。
「来てないんだ。だからこれから探そうかと思ったんだ」
「いや……当代を呼ぶからいい。それどころじゃないしな」
「当代は修行中じゃ」
何事だ。先代がこんなに焦るなんて。
「修行なんていいんだ。今呼んでおかないと大変なことになる」
修行?
「なにが起こるんだ」
「……暫くわしは審議会の準備でここを離れる。それだけでもわかるだろう?それに、急がないと世界が滅ぶ」
神調べで審議会ものの案件があったのか?
……ん、待て、世界が滅ぶ?
「ああ?!なんだよそれ、いったい誰がそんな事」
「わかんねえか?冬坊が世界を終わらせるんだよ」
なんでそうなるんだよ。あいつはそんな事する人間じゃないだろ?
「詳しく説明してくれよっ!親代わりの俺にだって知る権利はあるはずだろ!?」
「……この手紙を見てみい。封は絶対に切るなよ。……あいつ、また呪いの腕上げやがったからな」
「先代、今すぐ山を降りる許可をくれ」
「それは当代に言え。わしの管轄じゃあない。それに、山を降りるなら人化の術は必須だからな。それまでに修行を積んどけ。少しだけだが、終わりが来るまでは時間があるはずだ」




