二章 十話 夢の色
────冬陽視点
あれから亘さんに美味しい野菜のことを改めて話したり、憐ちゃんの事を話して、いくつか約束をしてから、僕らは家に転移で帰った。家で何をしていたのかは覚えていないけど、僕は今真っ黒の夢を見ている。
変化の無い夢の中に別の色を見つけた。
あの灰色に届くように、もがく。もがく。
もがいていると、だんだん灰色が近づいてきて、いきなり何かに引っ張られた。
引っ張られた先、灰色の空間には、中学生くらいの少女が立っていた。
「こんばんは」
「こんにちは。貴方に、伝言をしに来たの」
「貴女は誰」
「私は私。貴方じゃない」
確かに、それだけで十分だと思った。
「そう。……何をしに来たの?」
「……████████████。███████████████。」
「……なに?」
夢の中、意識が薄れる。掠れる。
「もう██が無いの。███をあげる。これを████」
彼女は何を言っているの?
「そして最後に████に█って。█はきようだ……ら…………に……」
もう時間がない……。僕は起きないといけないんだ。目覚める瞬間、別の声を聞いた。
『決して、その柘榴を口にしてはいけないよ』
それにはノイズが走ることもない。なぜならそれは……。ああ、もうもたない。
灰色から解き放たれた瞬間、がばっと起き上がる。早く行かなきゃ。忘れる前に伝えなきゃ。能力で体の疲れを抜いて、身体能力や感覚を底上げして真っ黒な部屋を出て、そのまま急いで階段を走りながら、ある程度一階が近づいたら床目掛けて飛び降りて、勢いを生かしてリビングへ急ぐ。
「夏希!おはよ!早く行こ!!」
「どこいくんよ……。ご飯は?また暫く無くてもいいん?」
「あっ…………えっと、ごめん。でも、行き先に宛が出来たんだ」
「夢の中の子が確かにそう伝えたんやな?」
「わかんない。けど、絶対そうだっていう確信はある。ほら、もらった地図だってあるよ」
めっちゃ滲んでるけど、まあ、記憶を頼りに行けばいい。
「んじゃあその罪柘榴を探しますか」
「うん。とりあえずね、ここ、一番近いとこ。お社が見えたんだ。だから、地図の通りに神社巡りをすれば良いんじゃないかな?」
たぶん、そういうことであってると思う。
「ほー、そんじゃ手始めに亘さんたちの近くにある神社にでも行きますか」
────????視点
男か女か、判別出来ない声で静かに呟く。
「さあ、育て」
ゆっくりと両手を前に出し、符を口に出す。
『彼の者らの罪を吸え【罪柘榴】』
こうして、世界で実は育つ。
埋め込まれた新たな歪みは、世界に馴染む。
まるで、始めから存在していたかのように。
人知れず、歪みはどんどん重なっていく。
でも、最後に手を下すのは、彼だから。
次話更新→8/31 00:00




