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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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二章 五話 美味しいご飯と秘密のお話

────冬陽視点


「なつきーお腹すいたー」

「なに言ってんの、一昨日ご飯食べたでしょ」

「毎日食べさせてあげなよ!昨日もこの話した気がするけどさ!!!」

「やて色々無かったやん。一旦家に帰るにしても冬陽さっきまで転移使えなかったんやし、そもそも鍋とかを異空間袋に入れ忘れたんやからしゃーないやろ」


おっしゃるとおりです……。能力使わなくても異空間にアクセス出来る袋は作ってあったんだけどね、色々な場所にリンクさせるの忘れてたんだよね……。はあ。


「……おーなーかーすーいーたー!!」

「うるさっ……耳元で大きな声だすなや……」

「おーい!おまえら腹へってんのかー?」


?!

どこからか救いの声らしきものが……!!幻聴でもいいからこたえなきゃ!


「めちゃめちゃへってますー!!」

「ならこっちこいよー!作ってやるから!!」


いた!まじで!?神様かよ……!


「夏希行くよ!【転移】」


こりゃあの人の所に転移するしかないよね!!




高3くらいの少年の元に夏希ごと転移して声をあげる。


「おまたせしました!お恵みください!!」

「はえーな!?てかめっちゃがっついてくんのな……どんだけ腹へってんだよ」

「チトセセンパイどーしたんすかー?」

「客だー!わたりさんに飯二人分追加お願いしてくれー!」

「わかったっす!」


……なんか見たことあるんだよなー。この……えっと、だれだっけ?声を潜めて、というよりも、夏希の耳元でささやく。


「夏希この人見たことない?」

「初対面」

「んー……」

「さ、あっちだ。案内するよ」


まあいいか。お腹すいた。




チトセくんに案内された先には、昔ながら縁側えんがわがある、雰囲気の良い大きな家があった。そして、居間には小さな女の子とチトセくんと同じぐらいの女の子がいた。


「ナギ、並べるの手伝って」

「わかったっす!れんちゃんはいつも偉いっすね!」

「ん……?みんな頑張ってるから、私も出来ることやってるだけだよ」

「憐ちゃんが一番頑張ってると思うっす。無理して怪我しちゃだめっすよ?って、うわあ!?」

「【限定・重力操作】」


ナギと呼ばれた女の子はなにかに躓いて転んだ。てか言ったそばから自分がお皿を空に放った。夏希が重力を操作したからお皿が割れることはなかったけど。


えっと、とても見事なフラグ回収能力ですね……?


「ナギまたお皿落とした」


あっ、いつもこんなんなんだ……。


「い、いや、今回は割れてないんでセーフっす!?」

「アウトだろ……」

「あっセンパイ!って横の人たち誰っすか?」

「この人たちが腹へって困ってたから亘さんに飯頼んでもらったんだよ」

「あー、こんにちは」

「こんにちは」

「こんにちはっす」


憐と呼ばれた子は『てとてと』とキッチンがあるであろう奥へ駆けていった。


「あれ、憐ちゃんどうしたんっすかね?」


────丸山まるやま れん視点


チトセが連れてきた二人の男の人。一人に見覚えがある。警察署に居た人。あの人は駄目。わたりに知らせるために急ぐ。


「亘……!亘!!おにーさんも!」


亘の近くにはおにーさんが居た。おにーさんも見覚えがあるはず。


「憐、どうしたんだ?」

「警察署に居た人が来たの!おにーさんも見た人!」

「あー、あの時のか。とおる、とりあえず見てきてくれ」

「おう。憐ちゃんはここで待っててな。危ないかもしれないから」

「私も行く!」

「憐、ちょっと待っててくれないか。もうすぐ出来るから。あ、いや、ナギ呼んできてくれ」


────冬陽視点


あ、憐ちゃんが大人呼んできた。


「おにーさん、どう?」

「あ?……あー、もしかして眼鏡かけてない方か?」

「そう。あの人。あ、ナギ、亘が呼んでた」

「亘さんがっすか?行ってくるっす」


ナギさんは首をかしげつつ奥へ行った。


「あの、どこかでお会いしたことありましたっけ?」

「警察署」


……ああ、脱獄しようとしてた人たちか。それで、チトセくんは洞窟の子だ。やっと思い出した。


「あー、ああ、おにーさんたち脱獄出来たんですね。おめでとうございます」

「ん?知り合いなんか?」

「一回目警察に遊びに行った時に会ったんだよ。んで、今さっき奥から出てきた人が異空間創造の人」


いつもお世話になってます。この人には本当に頭が上がらない。


「ほー……。うちのがご迷惑をおかけしました。それと、いつもお世話になっております」


二人揃って頭を下げる。


「は?」

「おーい!飯出来たぞ!てめーらも運ぶの手伝え!」


ご飯?!手伝う!!!!!




亘さんが作ったご飯はちょっとあり得ないくらい美味しかった。亘さんの能力がとても料理が上手くなるやつらしくて、亘さんに夏希がめっちゃがっついてた。


なんか色々知ってそうな亘さんに僕も色々聞きたかったんだけど無理そうだから、今は異空間創造の能力者の徹さんと話している。


「いやー、あの時はごめんなさい?」

「いいや、あの後すぐに変なやつに助けられたんだよ。だから気にしなくていい」

「変なやつ?」

「目が青色で、退屈そうで、なんか意味わからん事言うやつ」


リュスかな?


「なんて?」

「折角のチャンスだし助けてあげる。もっと育ってここまで来てね、だってよ」


リュスか。


「あれ、怖かった。おにーさんと同じくらい」

「俺?」

「徹じゃない」


僕の事ずってみてるんだけど。


「……んん?僕?」

「うん。おにーさん何」

「何って」

「何者?」


人間?魔女?それとも幽霊?


「んー……なんだろ。人間?幽霊?」

「怖いからそれ以上こっち来ないで」

「冬陽さんなにしたんすか?憐ちゃんがここまで言うのは珍しいっすよ??」

「あの眼鏡かけてるおにーさんも同じ感じがする」



僕とリュスと夏希が同じ?僕たちが何をしたって言うの?……なんだこの気持ち。やっぱり、何かある。


「僕らが同じ……何かをした……」

「例えればね、真っ黒な鎖で繋がれてる感じ。ずっと、いつでも深いところに引きずり込もうとしてるの。ずり、ずりって。1度、落ちて見るのも良いかもよ?」


鳥肌が立つ。きっとこの子の言葉も全て正しい。落ちてみる……。


「どうすれば鎖を千切れると思う?」

「普通に千切れはするけどまた結ばれるよ。鎖は《証》だから」


落ちる。堕ちる。《あの時》怨嗟に呑み込まれればよかったの?そんなの絶対にやだ。


「憐ちゃん、君は█を知ってるの?」

「知らないよ。ただ、人の█が見えるだけ」


また頭に霞がかかる。また消される。今度は消されていく感覚も認識できる。怖い。視界が眩む。その時ぱんっ、と音が聞こえた気がした。


「冬陽おにーさん。それがあなたの鎖だよ」


意識が晴れる。今回は覚えている。そして、前回があったことも思い出した。


「今、君は何かをしたの?」

「おにーさんの鎖を促しただけ。█に触れれば鎖は強く反応するの」

「そうだ。思い出した。ときどき、聞こえているのに頭で認識できない、理解できない言葉があるんだ」


今も。ねえ、僕らは何の話をしているの?


「鎖に遮られてるの。おにーさん、もうそろそろ時間動かすね。負荷を無くしてくれてありがとう」



「そう、なの?僕にはわからなかったよ」


能力を使っていたことも、使ってくれていたことも。きっと全部本当の事なんだろう。今だって、周りの声が戻ったから。


「そうだろうね。ねえ、おにーさんが自由に遊べるようになったらまた会おうね。それで、今度は色んな所に連れてって。それで、他の人を助けよう。私が居れば、おにーさんはもっと優しくなれるから」

「んー?よくわかんないっすけど憐ちゃんは優しい子っすね!」

「そうだね。うん。憐ちゃん、ありがとう。……そうだ、お礼に僕からプレゼントさせて。【限定・能力譲渡・覚醒】」

「かくせい?」

「覚醒。一回だけ使える、真実に気づける能力」


これは、君がもっていて。少しだけはっきりとしない、ほんの少しの虚ろな意識の部分で、それがいいと思ったんだ。


「……ありがとう。おにーさんはもう行っちゃうんでしょ?」

「いや、夏希次第かな」


あんなにがっついてる夏希を妨げたくはないし。おやつ食べれるかもだし。おやつ食べたいし。お腹すいたし。……そうだ。


「……ねえ、憐ちゃん。今、僕と一緒に来ない?君の力があると助かるんだけど」

「まだだめ。旅の途中で出会うことになってるから」

「え?」

「おにーさんはこの国を巡らないといけないの。█を……どす黒い闇を軽くするために。闇を軽くすれば、求めている答えがわかるよ」

「まって、どういうこと??」

「覚醒、ありがとうね。おかげで、わかったの。私の役割が」


憐ちゃんは悲しそうに笑みを浮かべた。


「全ては運命。定められていたの。███によって」

次話更新→8/26 00:00

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