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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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一章 最終話 誘拐と融解

────秋斗視点


目を開けると、先ほどまでの黒い世界とは違って、白い世界にいた。まるで、リュスに突然誘拐された時のような気分を覚える。


眼前には金色の線を漂わせる人形ひとがたの存在が。……てかなんだこの金色の線。人間には無い感情パターンだ。『例外』も、一部だけこの線があった。あいつ、人間以外の要素を2つも持ってたのか。


とても、嫌な予感がする。たぶん目の前の存在は生きていない。神の類いなのか定かではないが……どうしたものか。



「あなたは何者なんですか?」

『私は……私の名はアズゴル・アリルリートだよ。アズゴルと呼んでくれ』


一部の線がゆっくりと渦巻き始めた。……これは『困惑』か。


仮にこれを神としよう。神にも感情の膜はあるけど、人とは全く違う。普通の人は表面に色を纏ってる。その色の濃さや占める割合でどんな感情を抱いているのかがわかるんだ。でも、神は金色の線をたくさん纏っていて、それの動き方から感情を感じとれる、んだと思う。


例えば、金の線が部分的に渦巻くと『困惑』。線が斜め下に流れている場合は『悲しみ』。神の感情は、動く線の量が多ければ多い程深く、強い感情らしい。たぶん、これであっていると思う。



『ところで、君は何をみているんだい?私、なのだろうが、何て言うのかな。私の表面をみている、よね。でも、君が虚ろげには見えない。逆に、目に強さを感じる』

「……」


この存在には何も言いたくない。俺の『中』を見透かされそうで嫌だ。とても、不快だ。


『なあ、君を少し見せてもらっても良いかい?』

「嫌です」


──


俺の中には誰も残っていない筈なのに、突然声が聞こえた。


「秋斗、気付いてると思うけど、この人、『神様』だよ」

「秋、だよな? 消えたんだと思ってた」

「秋斗の中で新しく生まれた人格があるでしょ?あれはね、冬くんの願いから生まれた『最後の番人』なんだ。彼、『ゼロ』はね、僕のことを再構築してくれたんだよ。あと、再構築されてから暫く外に出掛けてたんだ」


そっか、まだ樹は枯れていないからか。あの樹に人格が宿っていたとは。


「取り敢えず、この人どーすればいいと思う?全部見られるの凄い不快なんだけど」

「ゼロに任せよ、彼なら何とかしてくれるよ」

「明け渡すか……秋、頼むな」


──


『何故か聞いていいかい?』

「単純に不快だからです。何故なにゆえあなたに私の全てを覗かれなければならないのです」

『また、随分と雰囲気が変わったね』

「私は番人。原初の記憶。ゼロとでもお呼びください。さて、あなた様の要件はなんでしょうか」

『あ、えっと……まず、君たち四人の仲を引き裂いてしまったことへの謝罪を。こちら側の都合で、春くんを連れ去ってしまった。もう暫く遊ばせてやりたかったんだが、例外が相手だからね、保護させてもらった。例外に目をつけられた以上、そちら側に帰すわけにはいかないんだ。本当に、申し訳ない』

「それだけですか?」

『いや、その……君たちは落差が大きいじゃないか、だから君に力を挙げようと思ってね』

「償いのつもりですか。神が人に償うなど、馬鹿馬鹿しい」

『うっ……。その通りだ。面目ない』


──


「えっ?なにこの状況」

「ゼロ君……神様が可哀想なんだけど」

「流石にな……交代しようか」

「私めにお任せを」


声が凄く楽しそうなんですが……。


「ゼロ君楽しそうだね」

「なんだこれ……」


──


「しかも、私にだけ償うおつもりですか?」

『いや、あの、それはだな……』

「いい加減、負けを認めたらどうですか。上位神サマ?」

『……あー!もうやめじゃ!取り繕うのもやめる!!儂の負けじゃ!皆で話そう。秋斗くん、秋くん、出てきてくれるか?器は用意する』


__


「あ、はい」

「なにこの状況」


__


「うちの子がご迷惑をおかけしました」

『心がへし折られるかと思ったわい』

「私は突然現れた不躾な存在にお灸を据えただけですので」

『ごめんなさい』


神様に精神的なダメージ与えてんじゃん。さすが冬陽の残した人格だよ。


「まあまあ、ゼロ君のお陰で助かったけど、まずは神様の話を聞こうよ、ね?」

「だな。謝罪はとりあえず受け取った。だから、その続きから頼むよ」

『助かるわい。君たちに力を与えるという話なんじゃが、秋斗くんを基準としてヒトに最適化した力を此方で用意する。力と君たちの間にバグが起きないようにするには秋斗くんの協力が不可欠なんじゃよ』


協力ねえ。


「僕たちは何をすればいいんですか?」

『わしらの世界、神界に暫く住んで貰いたいんじゃ』

「そちらの世界に行くに当たって、私たちには個別で報酬を準備していただけるのですよね?」

『もちろんじゃ。迷惑料として全く別の力を用意する』

「こちらにも選ぶ権利はありますよね?」

『……申し訳ないんじゃが』

「ほう?」


ゼロが威圧的な笑みを浮かべてる。フォロー入らなきゃ……。


「神様、その理由は?」

『ああ、例外に目をつけられるとそちらもこちらも危ないじゃろ。あと、こっちの理由が主なんだが、何回も儀式無しで人間と接触するのはルール違反なんじゃよ』

「理由はわかりましたけど、今すぐじゃないといけないんですか?」

「でしょうね。なにか事情があって秋人かれが一人の時を狙ったんでしょうし」

「そうじゃ。押し付ける形になって本当にすまないのう」


まあ、強くなれるならいいか。正直、リュスや王との戦いで力不足は痛いほど実感してるし。

ここまでお付き合いありがとうございます。これにて一章は完結となります。次話は登場人物の紹介となりますので、興味の無い方は二章開始をお待ちいただけると幸いです。


さて、区切りもついたことですし、少々図々しいお願いを。感想・評価・ブックマークなど、お待ちしております。


次話更新→8/1 18:00

次章更新開始→8/14 00:00

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