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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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一章 四十二話 儀式と誤解

時系列的には四十話の次の話です

────夏希視点


冬陽の体の傷は大分塞がった。完全に傷が治って秋の魂と馴染み始めてしまう前に冬陽の魂を体に戻す。暫くは秋斗の人格の1つを冬陽の肉体に入れて、完全な死体になることを妨げていたんだが、もうあの子は秋斗の体に送り届けた。あとは儀式をするだけ。



今回、そのためにいくつか準備することがあった。影狼かげろうを瑠架さんの元へ送って血を分けてもらったり、ちょくちょく冬陽の血を飲んだり……。じゃないと魔女としての力と吸血鬼としての力が薄くなるし、これから行う儀式が失敗しやすくなるんよな。


魔女一族は魂を扱うことを禁忌としていて、吸血鬼は魂は喰らい染めあげるものだとされている。禁忌を破り慣習に背く。それをやるには力が足りないと儀式に魂を喰われちまうんよな。



さて、そろそろ儀式のために陣を描かんとな。瑠架さんの血を絵筆にとって、宙に浮いた冬陽の体をぎりぎり覆える円を書く。本来なら複雑な陣を書かないといけないが、俺はそんなもの知らん。ということで、スピネルに任せる。


「スピネル、後頼むわ」

『それぐらいはやるけど、あんたも人使いが荒いわね』

「しゃーないやろ。俺は魔女やないし」


スピネルは目を閉じ両手を上げる。すると、血が蒼白く発光し血の円に吸い込まれ、蛇の様にのたうち回った。そして、冬陽の体から光が弾けて記号が宙を舞った。


『儀式が終わるまでは周囲に記憶文字が漂うけど、害は無いから気にしないで』


記憶文字。名前の通り、一つ一つの文字に記憶が込められている。なんとなく、それのひとつに手を伸ばす。文字はほどけて広がった。そして、映像を写し出した。


俺が触った記憶文字には事故の映像が込められていた。それは、とても不自然なものだった。


「スピネル、記憶文字は時系列にそって並んでるのか?」

『ええ。夏希、なにか見つけたの?』

「ああ」


あの不自然さに冬陽が気づかない筈がない。幾つか記憶を覗いても、冬陽はそれに気づいていない。……いや、覚えていない?


考えながら記憶を覗いていると、次第に赤い文字が浮かび始めた。そして、透明な文字も浮かんでいることにも気づいた。


「スピネル、赤い文字と透明な文字は?」

『赤色は魔女としての血の記憶で、能力を使った前後の記憶。透明な文字は封印された記憶。……てことは、透明になってる文字があるってことよね。なんで封印された記憶があるのよ』


会話しながら血の記憶に手を伸ばす。


「封印された理由とかわからんの?てか誰が封印してんの?」

『封印は高位の神様たちの仕事よ。理由は人それぞれだからなんとも言えないわ』


冬陽に確認しないといけないことがどんどん増えてく。


「なあ、魔女としてのこいつの能力って『混ぜる』ことと『編集』することじゃないよな」

『ええ。混ぜる方は合っているけど、編集する能力なんかじゃないわよ。はい、陣が馴染んだわ』


まずはこっちだな。


『ノヴァ、魂を陣の中へ』


ノヴァが陣の中へ魂を入れると、蛇がそれを丸のみした。


『蛇が魂を喰らってしまったが、これでいいのかの?』

『ええ。《蛇よ。器に宿れ》』


魂を喰らった蛇は、しゅるしゅると冬陽の体を上り、口から体内に潜り込んだ。記憶文字も体に吸収されていく。


『儀式の手順はこれで終了よ。あとは落ち着くのを待つだけ。夏希、あとは異常が無いように見張ってて』


魂の変質を見るのは吸血鬼の仕事。本当ならこの隙に魂を染め上げてしまいたいところだけど、まあ、真面目に見張りますか。




青い光を放っていた陣が灰色に染まり、冬陽の目が開き、灰色に変色した虹彩に意志が宿った。


「おはよ。調子はどう?」

「んー……だいじょぶ。ね、おろして」

「これからゆっくり降ろすから自分で立ってみ」

「んしょっと。まだ馴染まない感じがするから、思いっきり動いてきていい?」

「その前に傷治さんと」


そういや冬陽、戦闘狂の面が表に出てきたな。奥に潜んでたのは知ってたけど、これでやっと春も満足できる遊び相手が……あっ。


……はあ。


────冬陽視点


あー、傷残ってるんだっけね。全体的に馴染んでないから感覚わかんないんだよね。


「うん。第二世界行ってから治してもらうよ」


ここに扉作ってもいいよね。


「待って、その前に一つだけ確認させて。冬陽、自分の魔女能力は何か言ってみて」

「混ぜる力と編集する力」

「だよな。さっき記憶を覗かして貰ったときに判明したんやけど、冬陽の能力は編集なんかじゃない。干渉や」


干渉?んーと……ああ。


「それやばくない?」


てことは、リュスの能力に干渉して逃げることとかもふつーにできるじゃん。


「やばい。いままで勘違いしてたのもかなりやばい」

「んーー、それが不思議なんだよね。ちっちゃい頃に使ったときには確かに編集だけだったんだよ。でね、今思い出したんだけど、異常なぐらいたくさんの虹を一日で見たことがあるんだ」


綺麗だったけどなんか怖かったなー。


「あー、俺もあるわ。白い虹とか天気雨とか四重の虹とか。周りのやつに聞いても誰も見てないって言うんだよな」

「それそれ。確か、今寄りの能力になったのはそのぐらいかな……?」


空はつながってるんだなー(棒)

うん。絶対おかしいよね。まいっか。


「……この件は後々調べる事にして、引き留めて悪かったな。まだしばらくはここにいるから、こっちにもどってきてくれ。干渉出来るんだからなんでもできるやろ?」

「うん。へーき。ここは抵抗が薄いからやりやすいし」


んじゃ、行きますか。……あれ?

次話更新→7/26 19:00

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