一章 三十六話 王の試練 秋斗編─縛りと健闘
────秋斗視点
【時間内に旗に触れろ。過程によって評価値が変動し、評価値によって報酬も変動する。健闘を祈る】
未来を片目で見つつ、現在をもう一方の目で見る。フラッグの位置は分かったけど罠多すぎだろ。転移しようとしても弾かれてたし。いや、制限されてるのか。んで、俺を中心とした一畳ぐらいのスペースが見えない壁で囲われてる。それらの解除方法は罠の全攻略、と。
この一畳分のスペースは罠が無い。時間経過、または宣言で罠が起動する。結構数多いな。24種。
てかそれまで猶予ねーや。すべての可能性を辿りきれない。まーいいや。がんばりゃすぐだろ。
いや無理だわ。避けるといってもそこまで動けねーし。いや、でもやるしかないよな。
「さあ、こい!」
手始めに大きな斧が7つ飛んでくる。安地を潰すような配置だが、避ければ問題ない。
7つめの斧を避けた後は、細い針が12本。避ける。
針の次は糸が結び付けられている針が5本。全て避けてエネルギーをそれぞれの糸に流して針ごと柔らかく変化させる。引っかかっても大丈夫なようにな。
その間にも、天井からナイフが落ちてくる。それを避けながら、落ちたナイフを1本手に取り、先程飛んできた針に繋がる糸を切る。
はあー……きっつ。わかってたけどそれ以上に容赦ねーな。
やっと最後の罠か。ってかこれ爆風じゃねーかよ?!さっき見たのとちげーぞ?!
あわてて自分の体をエネルギーで濃いめにコーティングして、その《膜》をふわっふわにして衝撃を殺せるように変化させる。
不可視の壁が解除されて爆風に飛ばされ、壁に打ち付けられる。……よし。痛くない。体の外に出したエネルギーを変換しながら体内に戻す。
表に出してる時は辛いけど、全部消費さえしなければ少しでも体内に戻せるからまだ動ける。でも体外で汚したエネルギーを体内にそのまま戻すのは良くないっぽいから、少しだけエネルギーを使って浄化するっていう手順を入れてるんだ。これを産み出さなきゃたぶんクリアは無理だった。そんなことを考えながら、砂時計に目をやる。
砂はまだ完全に落ちきっておらず、多少残っている。浄化に思った以上の時間がかかっていたようだ。俺は急いで旗の近くに転移し、旗に触れた。
【ミッションクリア……評価値4。能力に頼りすぎだ。真偽を見極める力もそうだが、もっと基礎能力を高めるがよい。最初のスペース、上の方まで囲っていないからそこから出てもよかったのだが気付かなかったのだな。まあ、時間内クリアおめでとう】
長いコメントだこと。そんなの、言われなくとも自分が一番わかってんだよ。




