一章 三十三話 王界
────冬陽視点
光に包まれたのはなんだったんだろう。空気の質が違う。目を開けて辺りを見回すと僕の隣には秋斗が、少し離れた場所に実家に帰ってたはずの夏希と春がいた。
てかなんで大晦日なのさ。なんで僕たちなのさ。もっと、もっといろいろあるでしょ。あと何かが起きるなら別の日にしてよ。てか別の人達にやってよ。一応チューハイとかも出してたのに飲めなかったじゃん。久しぶりに寛いでたのに。まあ年越しそばを無事に食べられた時点でよかったのかな。
……てかここどこだよ。
『ここは王界。試練に見合う者らよ。突然呼び寄せて悪かったな』
そう声を発する機械がある。その後ろには石碑も。機械は若干タヌキみたいで……かわ、いい?可愛らしい見た目だけどなんか全然可愛くないんだけど。なんかおもしろい。
「その王とやらは一体何者なんよ」
「我は改変の元凶により生み出された、神と精霊の中間種。神へと人の功績を伝え、来世を正しき形で定める補佐をする者だ」
「んで、なにするんよ」
夏希なんかこいつのことめっちゃ敵視してるね。ついでにイライラしてる。わかる。秋斗もちょい怪訝そうに見てるし。こいつなんかあるんだろか。
「個別に試練を、団体で試験を受けてもらう。その結果で、報酬と証を与える。これを受けずにここから元の地点へ戻るのもいいが、チャンスは今回だけだ。後が控えているからな」
あっ、こいつ嫌い。わざわざそれ言う?ヘイト稼ぐのが目的だったりする??
『報酬貰えるなら……やっとく?』
春も嫌そうな声だ。ってか僕念話の能力使いっぱなしだったんだ。けどその方が良さそうだね。今回みたいなことあったら面倒だし。
「報酬ってなんなんですか?」
「能力だ」
「……え?」
「主より能力の創造権限を一部預かっている。試練・試験を通して評価値に見合うレベルの最適な能力を授けよう」
皆に目をやり、今のうちに体調管理などのコンディションを整える能力を使っておく。
『……やって損はないよね』
『そう思うならやる?』
『冬陽がそれでいいなら。でも、追々面倒事に巻き込まれるかもしれんよ?』
『だな。それがいつになるかはわからねーけど、まあメリットの方が強いし……いっか』
「そか、なら受けます」
「了解した。では、健闘を祈る」
僕らの足元では大きな魔方陣が光り出した。
思わず目を瞑る。またかよ。




