一章 二十九話 こたつって最高じゃね?
────冬陽視点
「あったかー、ぽかぽかー、あったかー、ぽかぽかー……」
「こたつさいこー」
「かまくらとかゆきだるま作りに行こーよー」
「だって外吹雪じゃん。あったかー、ぽかぽかー……」
「吹雪だからこそ外で遊びたくない??」
「今なら吹雪なんていつでも作れるじゃん……それよりこたつでぬーくぬっくしたいー」
「そーだそーだ」
夏希が鍋を持ってきた。
「はーい、鍋できたでー。冬陽、外に遊びに行ってもいいんやぞ。鍋のシメ、一口ぐらいは残しとくから」
一口だけ?!
「お鍋だー!ぽかぽっかー!冬くんばいばーい」
「ばいばーい。いっただっきまーす!!」
「僕も食べたい!こら、そこ、僕にもこたつ入らせてよっ!!」
「おいしー!」
「ぽかぽかー」
「あー……無理。本当最高。俺駄目人間になる」
「よし。おでん味噌も出来たし、おでんも味染みたからもう食べてもいいよ」
「冬陽も何気に料理上手いよな」
「な」
夏希の方がやばいからね。けど褒められるのは少しうれしい。
「僕もデザート系なら作れるよ!……でも、ぽかぽかーかーらでたくなーい」
「そーれーなー」
「春になったらみんなの誕生日プレゼントとしてケーキ作ったげる!だいぶ遅れてるけど、他の季節は色々と無理だから春ねー」
「まじー?」
「まじまじー。どんなのたべたいー?」
「俺フルーツタルトー」
「僕は……一口のやつ。イチゴたくさん使って。育てておくから」
副業が農家さんになりそう。
「あっずるい」
「だよね。フルーツたくさんの種類育てておくわ」
「まじ神」
幸い、種を集めるぐらいの伝手はある。
「夏希はー?」
「和菓子……作れる?」
「大丈夫だよー!親戚の和菓子屋さんでちっちゃい頃修行してたから!」
春やっば……。やっば……!
「春まじ神。それなら大福とどら焼きとあんみつと」
「待った待った!修行してたのちっちゃい頃だから、勘を戻すのに時間かかりそうで、たまに食後のデザートとして作ってもいい?いきなりはちょっと怖いから練習させて!」
「神かよ。さいこーやん」
「ごちそうさまでしたー。さてと、冬はやっぱりおこたでみかんだよね!冬くんみかんたくさんだして!」
「篭に盛っておいたやつがあるからそれ出すね。ほい」
「ありがとー。いただきまーす!」
「てか食べてばっかりだね」
「たまには訓練も休まないとねー。昨日教えてもらった技術がちょっとやばすぎてねー。あれは根詰めるとやばいやつでね?……だからお外嫌ー!!」
「えーー。んじゃあその技術とやら教えてー」
「えー。形容しがたいからむりー」
えー。食い下がったら教えてくれるかな。
「えー。それでもいいからー。ひーまーなーのぉーー」
「えー。じゃあ、自分の中に潜って、奥の方に何層かない?」
なんだ、そっちの方向か。
「僕の場合潜れないから無理かー」
「潜れないの?」
「うん。深いとこを意識するのはぎりぎりできるんだけど、潜ろうとすると弾かれるんだ。それに、外から壁を埋め込まれてる感じなんだよね」
邪魔で邪魔で仕方ないんだよね。
「……?みせてー」
春は自分の額を僕の額にくっつけた。そして、目を閉じ、集中する。また不思議な技能持ってるね……。
「んや、ほんとだ。これじゃ無理だね」
「あ」
「ん?どしたの??」
「いや、掴めたから。これ表面に出して大丈夫なのか……?」
秋斗はこの会話を聞いて、しれっとそれを掴んでいた。
「うん。一気にやり過ぎるのはだめだけど、少しずつ切り離す量を増やしていく感じじゃないと……やばい」
「あー、わかったわ。うん。とりあえず掌に出してみるな」
秋斗の掌に林檎大の赤い球が現れた。
「えーずるいー」
「け、結構すんなり出来るんだね……」
「ああ。できた。これ自由に使っていいんだろ?」
「うん。人によって性質が違うらしいから気を付けてね」
「そこはだいじょぶでしょ。秋斗だし」
「おう。性質は理解してる。このこたつに使うな」
「はっ?!まって!これ僕の!!」
秋斗は躊躇わずに赤い球をこたつに浸透させた。
暫くすると、絨毯もこたつ布団もふわふわになった。
「こりゃいい」
「なにこれー!」
春は目を輝かせ寝転がった。
「さすが秋斗。昔からやらかす方向が決まってるだけはあるよね」
「なんかあったん?」
「夏希お疲れー。夏希もこたつでぬくぬくしなー。さっきよりやばいよー」
「……?!こりゃええわ……」
「あったかー、ぽかぽかー、ぬくぬくー、ふわふわー、あったかー、ぬくぬくー、ぽかぽかー、ふわふわー……」
「ふわふわー」
「わっふわふー」
「わっふわふー」
春と秋斗は不思議な声を上げていた。それをBGMに、夏希と僕は話していた。
「んでやらかす方向が決まってるとは?」
「昔から何かあっても不思議といい方向に物事を運んでくれるんだ。だから、秋斗の力なら悪い方向に運ぶことはないだろーなー、っていう話」
「ほー……。しっかし、床も布団もふっかふかやな」
「ね。やっぱりこたつって最高じゃね?」
「最高だと思う」




