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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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一章 二十六話 いつものとおり

────春視点


んー、ねむ。てかライン入ってる。冬くんからだ。



……まあ、しょうがないか。いつもどーり訓練しに行こーかな?


でも、これ皆に教えなきゃ。でも眠い。あと三十分経ったら起きよ。うん、そうしよう……。




「おはよ……」


欠伸が出るほど眠い。ベッドの上に戻りたい。お布団にくるまれたい。


「おはよー」

「おはよ。相変わらず朝弱いね」


夏希もなんか元気ない。めずらしー。唯一朝強いのに。


「だってお布団が放してくれないから……」

「はいはい……。ところで、二日酔いに効く薬の在処ありか知らん?」


そういえば昨日荒れてたもんね。そりゃ元気ないわ。


「あー、買ってこようか?」

「助かる。お礼に昼ご飯好きなもの作ったげる」

「おー……。決まり次第連絡するー」


朝じゃなくてお昼っていうところ、よくわかってるよねー。


「朝フレークよね?」

「うん。でも自分でやるよ」

「そか」


しゃらしゃらとフレークを皿に降らせる。お茶をコップに注ぐ。そんなたくさんいれないように気を付ける。


「なー、冬陽遅くね?」

「しんぱいしょー。……あ、今日もう起きてるよ。ライン来てた。用事があって帰って来るの遅いんだって」


あ、牛乳……。あとで買ってこよ。しゃくしゃく、とそのまま食べる。うまー。


「あ、ごめん牛乳きれてたか」

「ん……だいじょーぶ。ついでに買ってくるよ」


そのまま食べるのも好きだしね。それに、起きてすぐそこまでの量食べる気ないし。


「ごちそうさまー。んじゃちょっと買い物行ってくるねー」


玄関から出て、空気を操ってホバリングしてみたり、空気を固めて足場にして、空中で三角飛びしてみたりする。


だんだん目が覚めてきた頃、薬局に着いた。地面に降りて、普通に入店してお目当てのものを買う。一瞬財布忘れたかと思った。


それから近くのスーパーに行く。

んー、静かだなあ。静かなのは好きだけど面白味に欠けるなー。つまんない。


ちょっと前までは馬鹿な人達もたくさんいたけど、大体逃げてったか大人しくなった。隠れみのが無くなったからって、遠慮なんかしないで普通に堂々としてればいいのに。


スーパーで牛乳をカゴに入れて、お昼ご飯について考える。んー。ねむ。


トマト系がいいかな。温まりたい。大分暑さも無くなってきたし、まだ早いけどお鍋食べたい。絹豆腐好きなんだよね。あー、冷奴いいね。んん?んー、どうしよ。あー、ミルク系もいいね。


和洋折衷よりは纏めたい派なんだよね。よし決めた。


トマト系のスープにミルクリゾット。リゾットに豆腐を潰して混ぜてもらおう。クリーミーに……いやそれなら豆乳でいいね。豆乳買おう。夏希豆乳好きだった気がするし。


お昼ご飯についてたっぷり考えた後、必要な食材と調味料、それに、とりあえず冷蔵庫に入りそうな量の食べ物たちをカートに入れる。


会計のときに少し驚かれた。『持てます?』って。

気遣ってくれたけど、こう見えて僕そんな力弱くないからこれぐらいなら普通に平気なんだよね。


さて、帰ろうか。帰りは出来るだけ急ぐ。夏希に薬届けないといけないし。



「ただいまー。秋斗くん、夏希は?」

「そこでのびてる」


ほんとだ。床にべたーーんってしてる。


「夏希、薬買ってきたよ。飲める?」

「ありがとー」


んー、たまには自分で作ろうかな。こんな状態で作らせるのもあれだし。


「夏希、僕今日は自分でご飯作る」

「おー、なんかごめんな。でも助かる。ちょっと行かないといけない所があってな。春は今日も島行くん?」


また行くんだ。いったいどこに行ってるんだろ。


「うん。もう少しで新しいことが出来そうなとこまで来てるから、頑張ってくる」

「そっか。無理は禁物やぞ?」

「ありがと」


……今日中にカタをつけるよ。


────秋斗視点


あー、だる。春たちの話全然聞いてなかったわー。朝つら。眠気覚めねー。俺今日なにするんだっけ。


……とりあえず、あの島に春を置いてきて、暫く付き合って、そこで眠気が覚めてなかったら寝よ。今日なんか無理だわ。


しっかし、なんで俺たちは無人島を買って改造いろいろしたんだろ。まあ冬陽が寝てなければこんな事にはなっていないのは分かりきってるけど。


まあ、あれだ。広告収入って凄いよな。



「ねえ!!あーきーとーくーん!!」

「……あっ、どした?」

「話全然聞いてなかったでしょーー!もう昼だよー?寝ぼけすぎ!」

「あーー……すまん。島行くか」


────春視点


能力を伸ばす方向を増やそうとしてるんだけど、これが結構難しい。


風や空気を操ることは出来る。空気を物質として固めることも出来る。……まあ、固めるの難しいから苦手だけど。


けど、水みたいに集まって押す力が弱い。水みたいに弾力を与えることが難しい。包む事が難しい。だって、とにかく切り刻むことに特化してるから。


もっともっと密集させたいんだけど、何かが足りない。絶対に感覚的なもの。物質とか見えるものじゃない。それに触れるんだけど、どう使っていいかわかんない。引っ張ろうとしても指の間から零れちゃう感じ。


あー無理、じれったい。


「秋斗くん!」

「おー……?」


眠そう。でも少し付き合ってもらお。


竹刀しないとって。ちょっとだけ手伝ってよ」

「……あい」


秋斗くんの纏う雰囲気が変わる。少しだけ鋭くなった。僕も集中しよ。あの声が聞こえるぐらい。


『面白い子』

『人なのに』

『あのヒトと同じ』

『強く』

『力』

『ははは』

『フフフ』


色々な声が聞こえるけど、この声はどこか違ってる。


『力が欲しいの?』

『もう持ってるのに』


持ってる?僕が?


『あなたが』

『あなたのじゃない力が』

『まだ使えないんだ』

『教えてあげる』


優しい歌が聞こえた。なにこれ。なんでこんなに…………。


────秋斗視点


「秋斗」


静かに春は俺の名前を呼んだ。


「なんだよ」

「ごめん……試させて」


風に乗って春が迫る。剣がどう動くかはわかる。それを弾くように、受け流すように剣と体を動かす。


……やばい切られるっ!?

慌てて転移する。春が追撃してくる。いつもより速いし、やばい。色……色が多い。駄目だ。俺が少しでも潜ってたら秋が人格ごと斬られちまう。


一時いっとき上空に転移して、その間に秋と完全に交代して意識を体に馴染ませる。眠いからって半分ずつ表に出てたんだが。秋の意識をあるべき場所へ、精神世界もとの場所に戻す。


落ちながら、未来を探る。全部斬られる。同じ竹刀なのに、同じじゃない。包丁を持ってきても竹刀に《《切られる》》。折るならまだわかる。でも切るのはまじ意味わかんねえ。


目眩まし……して、上手く誘導すれば斬られない。春の限界はいつもと違って割と近い。それまで持たせられれば俺の勝ちっぽい。


家の貯蔵庫に転移していくつかのトマトとココナッツをすぐとれる場所に用意する。ココナッツだけを持って島に転移。


まずった。地上に出た瞬間春がやばい動きをしたので空に転移。そして春が飛びかかってくる。……よし、ここでココナッツを春に投げつけて家に転移。トマトを2つ持って島の上空に転移。春めがけてトマトを時間差をつけながら投げる。


切った。……え、なにその竹刀。トマト綺麗に切れてるしココナッツまで真っ二つなんだけど。


「おい春!待て、待てって!!なんだよその竹刀!」


……って、一瞬いつもの春に戻ったけど、また、いやさっきよりやばい。圧が増した。うん、無理。てかさっきの限界ここかよ。


「冬陽!!」

「呼んだ?」


にょきっと、何もないところから冬陽が生えてきた。最高。さすが冬陽。


「春止めて」

「あーい」


冬陽はなぜかキュウリを春に投げつけていた。

するといつの間にか春は正気に戻ってキュウリをかじっていた。


「なにこれ美味しい」

「でしょ」


なんで満足げなの。まあでも助かった。

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