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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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一章 十五話 過保護

────冬陽視点


みんなが通常世界に戻ってきたのを確認して扉を消す。


「さてと、戻ってきたわね。皆さんには今から身に付けてもらいたいものがあるの」


要さんが木製の腕輪を配った。この腕輪、能力が付与されてるね。……特殊探知かな。うん。ってか僕の腕輪ダミーじゃん。自由に動いていいって意味だよね。


「これを手首に着けて。そうすれば腕輪を着けている人間が透明化してもどこにいるか見えるようになるわ」



みんな着けたのを確認して、灰崎さんは話を続けた。


「これから陽那さんに岩西の透明化をみんなに付与して貰いたいんだけど、出来る?」

「私に能力をかけて貰えれば、それを元に付与出来るんですけど……。岩西さんは人に能力をかけられますか?部分的でいいんです」

「ああ、触っていれば使える。手をかしてくれ」


岩さんが陽那さんの手を触ると、陽菜さんが透けた。うっすらと見えるけど、これならぶつかったりとかの事故は起こらなそう。


「ありがとうございます。これから、皆さんに付与します」



「じゃあ、これから敵を鎮圧しに行くわ。場所は東区の外れにある廃墟群よ。各自でそこに向かって。空を飛んでもいいし、歩いていってもいいわ。歩いていく人は風迅を付与してもらって。念話は今から使えるから、廃墟に着いたら私に報告を」




「シオンさん、私たちと一緒に空を飛んで行きませんか?」


陽那さんたち兄妹は空を飛んで行くんだね。せっかくだからついてこっか。


「折角なので、お願いします」

「シオンさん、よろしく。陽那、頼むね」

「うん。ちょっと待っててください」


羽が生えた気がする。念じれば自動で動いて、飛ぼうと思えばすっ、て浮ける。


「シオンさん。違和感とかある? 動かし方とかは……大丈夫そうだね」

「はい、慣れたので大丈夫ですよ」

「早いですね。じゃあ、風迅もかけますよ」


あ、まじで?……これやばい。でも、素の状態でも以外といける。思考速度とか反応速度とかを能力で上げれば全然余裕なんだけどね。というよりも、風迅よりそっちの方が早く動けるんだけど。


「はい、お待たせしました。慣れました」

「……じゃあ、行きますか」




僕たちは空を飛んで廃墟に向かう最中。念話に慣れておくために念話で会話していた。


『そういえば、倉田さんどこに行ったんでしょうかね』

『あー、忘れてた。どうしよ』

『え?』


心の声が乗っかっちゃった。


『もう一人の協力者のリオンって人いるじゃないですか。あれ双子の弟なんですよ。さっきの声は弟です』


これどうやって話を逸らせばいいんだ。


『声もそっくりですね』


声を変える能力なんて持ってないからねぇ。口調で誤魔化すか。


『声変わりする前はもうちょっと違いがわかりやすかったんですけどね』

『聞き分けが凄く難しいですね……』

『ところで、須藤さんって須藤グループと関係あるの?』

『あー、一応ね。本家とは少し離れてるんだけど、その家系に属してる』

『じゃあ、夏希と親戚なんだ』

『分かれすぎててどこの人かわからないけど、多分ね』

『あ、廃墟みっけ。先に行ってるよ。姉ちゃんも』


猿芝居悲しい。ま、いいけど。部分探知と付与能力切って先に着かなきゃ。




よし、着いた。波で探知とか出来るかな。あ、音の波あるじゃん。盗聴……はいいや。ジャミング張って近づいてみよ。


男の人が5人いて、4人は寝ている。起きている1人はつまらなさそうにゲーム機で遊んでいた。折角だし、遊ぼうかな。


自分にかかっている能力を全部解除して、偽装用に大きめのリュックサックを作って背負ってから廃墟に近づく。


「すいませーん、誰かいませんかー?」


風で木や植物を揺らして音をだす。


「はーい、どうしました?」


男の人がこっちに来た。少し警戒してるっぽいけど大丈夫そう。


「山で迷ってしまって……休ませてもらっても大丈夫ですか?」

「あ、どうぞどうぞ。飲み物も食べ物もなくてもてなせないですが」


いい人そう。


「いえ、食べ物とかはあるので、もしよければ一緒にお茶しません?」

「ぜひ!」


僕は廃墟群の中でもしっかり掃除がされている部屋に招かれた。


「どうしてこんなところで生活してるんです?」

「いやね、僕の家隔離範囲外なんですよ。で、友達と一緒にここで生活してるんです。あなたはなんで山から来たんですか?」

「私は山奥の神社に参拝に行ったんですけど、帰りに川で遊んでたら流されちゃって」


苦笑混じりに話すと男の人は顔色を変えた。


「それ大丈夫だったんですか?!」

「はは、私一応治癒系統の能力者なんですよ」

「それならよかったです。でも、念には念を入れたいんで、ちょっといいですか?」


なんかガチめに心配されてる。


「はい……?」


あ、なんか体がぽかぽかしてきた。


「特に悪いところは無さそうですね。本当によかったです」


体調管理……?便利な能力だなあ。だから食料がなくても健康なんだ。


「ありがとうございます?」

「あっ、ごめんなさい!僕の能力は人の体調を整えたり、どこか悪いところがないかとか、病気にかかってないかとかを調べられるんですよ」

「じゃあお礼しなくちゃですね。何か料理作りますよ。なにがいいです?」

「……!ハンバーグ、とかってー……作れますか?」


こんなところで生肉なんかもってる訳無いけど、まあいっか。


「ちょっと待っててくださいな」


さて、時間かかりそうだからこの廃墟群の外は時間止めとこ。長い1日の始まりだ。




「そういえば、さっきお友達と一緒に住んでるって言ってましたよね。その人たちはどこかに行ってるんですか?」

「あー、今はみんな夢の世界で遊んでるよ。……って、忘れてた!あいつら今日帰ってくるんだった」

「今日?」


どんな能力かな。使ってるって教えられるか自分で気付かないとコレクション出来ないんだよね。


「シュウト……友達がさ、自分の空想の世界に遊びに行ける能力で、俺以外のみんなと異世界で冒険者とか勇者やってんだ」


ハブられてんじゃん。このまま喰らわれるのも可哀想だし、保護してあげよっかな。


「ね、久しぶりにふっかふかのベッドで寝たくない?」

「は?」

「私のお願いを聞いてくれたら、住むところとご飯を提供してあげるよ」




「ありがとね。あとはこの扉の先に進むだけで《幸せな夢》が見られるよ」

「……いってきます」


よし、制圧終わった。扉を消す。もうそろそろ外の時間を動かさないと。しっかし、色々と能力貰えたなあ。使い勝手が微妙な能力もあったけど、まだまだ足りないなぁ。


あ、亜羅汰さんが1人でこっち来た。


「なあ、そこで縛られてる4人どうした?」

「リオンがぱぱっと縛って行きました。それで、今は色々話を聞いてたんです」

「彼らはなんて」

「この廃墟群には俺たちの他にも住人がいる。今は食料を集めに外へ出ている頃だろう、って言ってました」

「……はあ。とりあえず空に戻るよ。君、付与要らないんでしょ」


あ、バレてる。能力使ってる所見られてたかな。



『さて、こっちで話すけど、君は何者?』

『一般人の協力者です』

『じゃなくて、なんで性別まで偽って行動してるのって意味』

『この白い髪、地毛なんですよ。染めてないんです。髪が伸びた状態の人はだいたい女って勘違いするんで、女のロールプレイしてみただけです』

『まあいいや。うちの妹に手出したら殺すから』

『会ったばかりの人に手なんか出さないよ。当たり前でしょ。過保護過ぎると嫌われるよ』


つい、秋斗に話す感じで話しちゃった。けど別にいいか。


『しょうがねーだろ。うちの一族にいる限り命を狙われる可能性があるんだから』


素だと口悪いなこいつ。


『そりゃこっちも狙われる理由があるからわかるけど。ま、妹さんには秘密にしといてね。わざわざ怯えさせるのも嫌だから。あと、これ僕の連絡先。こっちは同居人の連絡先で、僕に繋がんなかったらこっちにかけて』

『は?』

『妹さんとか、危険な目に晒したくない相手がいて、守り切れなくなったら連絡ちょうだい。さっきみたいにうってつけの世界があるから。詳しい話は僕の同居人に聞いて。それじゃ、僕あっちで色々見てくるから』


夏希の親戚らしいし、妹さんが心配だから声はかけとくけど、どうなるかな。

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