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いつかの夢と僕らの日常  作者: 古屋
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一章 十二話 暴走

前話で書いた内容

・『秋斗』が多重人格で、昔はたくさん人格があったけど幼少期に冬陽が統合したこと。

・交代中の記憶は大体が共有されていること。

・現在は主人格の『秋斗』と、交代人格の『秋』、『空』とあともう一人の合計四人であること。

・交代人格は友好的。兄弟のような関係であること。


・『空』が発情(?)したため、冬陽が丸め込んで意識を奪い、蓄積された疲労を軽減した。


以上です。各人格の性格にも触れていましたが、一章終了後に登場人物をまとめますのでその時に。

────夏希視点


「と、まあ、そんなかんじやから、今日は諦め、春。俺、ちゃんと薬飲ませておいたから、暫くは毎日会えるんやし。な?」


薬飲んだところなんて見てないけど、嘘も方便ってな。


「うん。今までよりは気が楽だよ。でも……ね?」

「……もしかして、稽古に付き合え、と?」

「うん、ダメ?」


俺、今日死ぬかもしれない。


「いや、なら地下室行こか」




たくさんの透明の風の刃が俺に向かって飛んでくる。見えないけれど、それがどう動いているかぐらいはわかる。その感覚に従って避けまくる。あんなもん当たったら普通に死ぬし。


「ははっ、夏くん避けるの上手いねー!早く攻撃してきなよ……っ!」

「知っとるやろ、俺の能力。殺さないようにするには、重力を少しずつかけていくことしか出来ないんよ」


ほんと殺すことには特化してるんやけど、痛めつけるだけに留めるのは疲れるんよね。


「でもさっ、始めてから、もうすぐ20分だよ!なんでっ、当たらないのさっ!なにか、僕に隠してたりしない?」


隠し事してるんはそっちちゃうの?


「なんも隠してへんよ。ただ、見えるだけやし」

『なあ、お主らは殺し合いをしているのか?あやつ、お主に尋常ではない数の風の刃を飛ばしてきているが……』


ただの稽古や。相手方は暴走してきてるけど。


『ああ、そういうことであったか。しかし、奇怪きっかいじゃのう。お主ら、魔女の血族ではないくせに、精霊に好かれておるわ。なにかワケありか?』


俺が言えることやないよ。てか知らんし。


『くくっ、じゃろうな。しかし、あやつの攻撃、だんだん酷くなってきておるな。精霊たちも加勢しておるし』


もしかして、ふよふよ浮いてるのは全て精霊か?


『そうじゃ、驚きじゃのう。契約者でもない者に従うとは。……もしやあいつ。精霊王の素質があるのかのぅ』


魔女の次は精霊王かよ。一般人は俺だけなんか、このグループ。……くそ、流石に辛いな。



『いやいやいや、お主も十分化け物じゃろーて。面白そうじゃ。わらわが力を貸してやろう』

「悪いな。もうそろそろ終わりにさせてやるから」

『わらわの力は器。手始めに銃のようなものと考えるのじゃ。銃弾にお主の能力を乗せて、とにかく放ってみるのじゃ』

「ああ、わかった。っ!」


銃に能力を込めた弾を装填して、春に当たらないよう狙い、引き金を引く。瞬間、ダンッという音とともに春の体が壁に思い切り打ち付けられていた。


「春!大丈夫か!?」



────冬陽視点


「ふー。気疲れが……やばい」


《アレ》、あまり使わないようにしてるから慣れてなさすぎて凄い疲れるんだよね。


「ん……冬陽?」


あ、秋斗が起きた。


「どうしたの?秋斗」


……さっきよりは、大丈夫そう。よかった。


「……なんか、体が軽いし、記憶飛んでんだけど。知らない?」


あー。……誤魔化そ。


「僕は知らないよ。空が出て来てさ。うるさかったからさ、思いっきり縛ってからマッサージしてただけだよ」


ヤバい、早口になっちゃった。


「嘘つき。いかがわしくて気持ちいいことするのかと思ったからついてったのに、この体支配しやがって。ただのマッサージとか、酷くねえか……」


ふう、よかった。ちゃんと《編集》されてる。でも、秋くんと空が一気に表に出てない??ま、いっか。


「空、帰れ」


つい口が滑っちゃった。


「あー、ごめん。なんか、あいつ出てきやすくなってるみたいで」


あ、支配権限戻してもらわなきゃ。術施しても支配権限戻さないことにはね。


「ちゃんと支配権限奪っとかないとだめだよ」


あの子達聞き分けいいから……大丈夫だよね?


「あ、本当だ。あいつに六割持ってかれてる。」


これなら大丈夫そう。


「……ねぇ、落ち着いた?」


バランスは大丈夫かな?


「……ああ、だいぶ落ち着いた。暫くは大丈夫」


まだ無理そうかな…………?地下室の空間固定が不安定になってる。


「そっか。ならさ、少し待っててもらえる?地下室行ってくる」


大丈夫?


「……鍵は開けておくよ」


ありがと、秋斗。できるだけ急いで帰ってくるね。



「スピネル、地下室の様子は?」

『あー、春?が倒れてる』

「ありがと」


秋斗の部屋から出て地下室のへ転移する。


「冬陽、春が!」

『主よ、少しは落ち着かんか。春殿は気を失ってるだけじゃ』


倒れた春の横に夏希がいて狼狽えてる。しかもスピネルみたいな子もいる。


「そっか。一応治癒能力使っておくね」

『ん?お主、魔女の血族じゃな。まだ、覚醒はしてないようだが……。もしや男か?』


もしやってなんだよ。僕、性別間違われるの嫌いなんだけどなあ。今日で何回目だろ。


「あんたのお陰で助かった。あんた、名前は?」

『あくまで魔女を守るか。くくく、面白いのう。わらわは紅蓮のノアと呼ばれておる。ノアという名の精霊は多いため、主が新たに名をつけてくれてもいいぞ』


この子はスピネルと違って名前があるんだね。


「主?俺のことか?」

『そうじゃ、先ほど契約したではないか。契約無しでわらわの力は使えぬしのう』

「そっか。……ならノヴァな」


赤髪に似合うね。


『そうか、ならばわらわは今からノヴァと名乗ろう。よろしくな、主よ。高貴なる魔女殿にも自己紹介をしなければな。わらわはノヴァ。無属性の精霊姫クイーンじゃ。成り行きで魔女殿の友人と契約を結んだ。これからよろしくのう』


属性ってなに。精霊姫ってなに。


「よろしく。ノヴァ。……さて、これで大丈夫だと思うよ。あとは頼んだよ。僕は戻らないと」

「ああ、わかった。……頑張れよ。冬陽」


色々気になることはあるけれど、今は秋斗が心配だから後回し。

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