4話 消えない下火(修正版)
私立入試の為、投稿が大変遅れました。申し訳ありません。
(一章完結後に一部修正を行い、読みやすくしました)
2040年3月18日:デモ隊進行ルート跡
「何が起きている、敵はいないはずだろう!?」
独り言のように涼は叫んだ。
デモ隊より受けた魔導照射による被弾。陸上部隊が使えないいま、撤退を行うこともできず、民間人を巻き込んでの攻撃ができないため、敵魔導師に対して有効な攻撃を行うことができてない現状、小隊を組んでいた二人の部下が離脱し、涼自身も満身創痍だった。
「っ、そこかっ!?」
魔法が炸裂する。
殺傷能力をなくし、暴徒鎮圧の為に調整された魔法だ。
が、しかし、それでは魔導師を倒すには力が足らなかった。
「くそっ、アンナ!通信はいつ使えるようになる!?」
「わかりません!ですがこのままだと!」
二人が吠えたとき、
『…秋月小隊長、応答を!』
魔法によるECMが行われ、途絶えていた通信が回復した。
「ようやく電子戦が始まったか!現在の状況は!?」
『小隊長の部隊を含む4小隊が戦闘不能もしくは戦闘継続困難に陥り、継戦可能な部隊は残り4部隊です!』
「嘘だろ!?」
彼は驚愕した。仮にも世界最強レベルの魔導師を擁するAZRAの魔導師部隊がこうも容易く倒されるなど、考えてすらいなかったからだ。
しかし、依然として敵はまだいる。
戦いはまだ、続きそうだ。
同時刻:前線指揮所
「敵残存戦力、未だ多数と思われます!」
「デモ参加市民の避難、間もなく完了します!」
指揮所内は混乱していた。
当初考えられていなかった場所での戦闘。
少数と思われていた魔導師への増援。
偽装されていた協会の魔導師の位置。
全て、嵌められた。
「殺傷武器、魔法の使用を許可する!なんとしても敵を殲滅しろ!」
「ですが、一般人の避難がまだ…」
「この時点で残っている市民は、敵の協力者及び捕虜と断定する!」
部隊指揮官、大岡海聖は苛ついていた。
それもそのはずだ、自分の指揮するAZRA最高戦力と謳われていた部隊がわずか少数の魔導師に押されていたからだ。
結局、この戦いは、勃発から5時間後、完全に鎮圧された。
同年3月19日:日本国内でのワイドショー番組
『昨日の戦い、やっぱまずいですよほんとに。』
『確かにねぇ、敗戦したからって、安保条約まで破棄してアメリカさんと関係切らんくても良かったんとちゃいます?』
『AZRAは政府から要請受けてたみたいやけど、政府が頼ったところがあれじゃぁねー。』
『だから、やはり魔法協会を…』
関西人ではないので関西弁が正しいかはわかりません。