07話 獣人の砦の戦い
王弟軍の兵糧が置かれた場所から勢いよく火の手が上がる。王弟軍は慌てて消火活動に当たっている隙にジャミルたちはゴーレム用の装備や騎士たちの鎧を数多く盗み出していた。
暗闇を走るそれらの人影に周辺を警戒していた見張りの兵士達が気づきドラを鳴らす。
術者達は慌てるようにゴーレムを起動させるが、そこへ国王軍のゴーレムが襲い掛かった。
「くそっ! 王国軍の夜襲だ! さっさと迎撃に移れ!」
指揮官の騎士風のエルフの男が声を荒げ、誰かを探すように周囲を見渡す。
「パルカス様は何処に!」
「侯爵様はご自分のテントにて就寝中でございます」
エルフの男は顔をしかめ、周囲に視線を送り
「こんな惨状でよくも眠れるものだ。兎に角ゴーレムの起動を急がせろ!」
指示を出すと1人の兵士が駆け寄り
「団長! 大変であります」
「何事だ!」
「武具を修めていたテントの見張りが殺害され、かなりの数の武具が持ち去られております」
エルフの男は伝令の言葉に口を大きく開けしばらく固まる。
「なっ・・・なぜそれを早くに伝えない! 取り返さねば明日からの戦いに支障をきたすぞ!」
「ふっ不可能にございます! 賊が持ち去ると共に国王軍のゴーレムの襲撃に会い・・・」
顔を引きつらせ何とか言葉を発した伝令の言葉にエルフの男は考える。
何と言う事だ。それでは兵糧の焼き討ち、武具の略奪、そして夜襲・・・これらを我々はただただ手をこまねき・・・ええ~い
「何としても被害を抑えよ! 第一に消火・・・いや迎撃! 第二に消火だ! 余裕のある部隊は賊の捜索! 急げ! 急ぐのだ!」
エルフの男の言葉に伝令の兵士やその他の兵士たちも慌てて動き出す。だが男にはもはや手遅れであることが分かっていた。それゆえの迎撃指示であったのだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
朝日が昇りこれから軍議を開こうとパルカスは自身のテントから出ると、朝日に目がくらみ、焦げた匂いが鼻をつく。
食事でも失敗したのか? 愚か者は罰せねばならんな・・・
日の光に目が鳴れパルカスは目を開けると更に瞳を見開き辺りを見渡す。
「何じゃこれはぁぁぁぁ!!!」
テントは焼け、ゴーレムたちは破損し、中には倒され地に臥し動かなくなっているものまで視界に入った。まるで戦闘に負けた敗軍の様に・・・
!? 夜襲を受けた? これほどの被害を受け我は寝ていたのか?・・・あっいや防音付与のテントだからか・・・
そう、パルカスのテントは防音がなされ、毎夜奴隷の女性を連れ込みことにふけっているために部下たちから指摘を受け処置を施していたのであった。




