03話 シーマ領の罠
翌朝ドードリは炊き出しなどで上がる湯気や煙が上がらない帰途に警戒を強め、部下の中から精鋭のみの小隊と共に橋を渡った。
「ちっ! やはりもぬけの殻か! 探せ! どっかにしくじった馬鹿どもの痕跡があるはずだ!」
ドードリの苛立ちを含んだ怒鳴り声に部下たちは周囲へと散る。10分から20分近くの時が流れたのち地下牢と思われる場所に囚われた2人を救出したと報告を受けたドードリは顔を赤鬼のように赤く怒気を含んだ表情に変えた瞬間、そのドードリの嗅覚に何かが燃える匂いが漂って来た。
「退け! この場から引け!」
ドードリは急ぎ端を引き返すと兵舎周辺から火の手が無数に上がる。
「頭、これは一体・・・」
「罠だ、どっかのバカ2人がしくじって罠を仕掛けられたんだよ」
そう言って顎を動かした先には血を流し死んでいる2人の姿があった。
「火が消えたら一気にシーマまで行くぞ!」
ドードリの言っている言葉側がらずに互いに顔を見合わせている側近たちに
「分からね~のか? エルフ共に気づかれているんだ! 対策を立てられる前に一気に落とすんだよ!」
いや待ってなんていられね~か・・・1個中隊を先行させ、もう1個中隊に火を消させて進むしかね~な。
「今のは無しだ! 半分は今から川を渡って街を目指せ! もう半分はあの日を消しその後を追う! いいな!」
側近たちは頷き動き出す。
・・・・・・・・・・・・・・・
一方その頃森の奥へと入り込んだ斥候部隊は街が外壁を残しもぬけの殻であることを確認していた。
「どういうことだ?」
男が考え込んでいると部下の1人が駆け込んでくる。
「リーダー! アレを!」
部下の指さす方角を見ると黒い煙が上がっているのが見える。
ちっ! やっぱり罠が仕掛けられていたか・・・このままじゃ俺たちは頭になぶりごろされる。
「探せ! 何でもいい! 情報や罠を調べ上げろ!」
リーダーである男の表情に焦りの表情が浮かぶ。そんな中、1人また一人と消息が分からぬまま部下の者たちが消えて行く。
リーダーの男は死を覚悟して声を張り上げた。
「くっ! 仕方がない! 撤退するぞ!」
その声に続くものは最早2人しかいなかった。4人は東の倉庫付近、3人は西の海岸付近それぞれが隠された罠により鉄格子内へと捕らえられその意識を魔術により奪われていたのである。彼らが撤退を開始すると街の門が大きな音を立て破られるのであった。




