01話 動き出す王弟
4つの砦、木々で四方を囲まれ堀や町中にある水路から水の都と呼ばれる都市ルイン。その中心にそびえる大きな城では、数々の高級な調度品に囲まれた豪華な一室で、豪華なソファーにそのでっぷりとした体をうずめる男、王弟クロードは兵からの報告を聞きほくそ笑む。
「ブヒヒヒヒッ、パスカル卿」
「準備は整ってございます。後は食料を確保出来れば・・・」
眼鏡を掛け、口髭を生やした優男風のエルフの男パルカスは口髭を撫でる。
「であれば・・・もうあやつらは必要あるまい?」
「あやつらといいますと・・・シーエルフ共のことですか?」
クロードは口端を釣り上げ
「女どもは捕らえ性奴隷とし、男どもは戦闘奴隷にして兄の軍にぶつければ良かろう」
「我は準備が有りますから・・・」
「ドードリの奴に大隊を任せればよかろう? オーク共には後れを取ったようだがシーエルフなら慣れた物であろうよ」
「急ぎ手配いたしましょう」
パスカルは控えていた兵に急いで書いた命令書を渡す。
「これをドードリに届けよ」
「はっ!」
兵士は敬礼をして命令書を受け取り部屋を後にした。
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ルインを南に1日降ると見えてくる川が有り、その河の先がシーエルフに与えられた領土シーマ領である。そこへ向けドードリは側近の部下を引き連れ、配下の者たちと共に進軍していた。
「良いか野郎ども! ある程度はクロード様の為に確保するが、1人に付き1人の性奴隷が報酬として与えられることを忘れるなよ?」
「お頭、それじゃあ、襲っても犯しちゃあだめなんですかい?」
「そう言うこった。それに綺麗どころを集めることが出来ればそれだけで俺らに回る性奴隷もいいものとなる」
ドードリの言葉に側近たちは卑しい笑みを浮かべた。
「男どもはどうするんでっさ!」
1人の男がドードリに聞いて来た。
「皆殺し・・・って言いて~とこだが、戦力にするそうだ」
聞いた男は愚か周囲の男たちも顔をしかめる。
「だがっ! 無理してとらえる必要はね~、生きてさえいれば使いようはある」
ドードリがこういうのには訳がある。パスカルが造る特殊なゴーレム。魔術を使うゴーレムの核にはエルフの心臓が使われていたのである。大っぴらに出来るはずもないそのゴーレムはそんな事も有りそれほどの数は造れていなかった。だが今回の進軍でそれが大幅になされ、自分達の戦力となる。それを知るドードリたちは不気味に笑うのであった。




