21話 思わぬ朗報
「くそっ! このままではドーパンの食糧が・・・」
アルトが呟いたその言葉にネモが小首を傾げ
「食糧なら間に合っているはずだぞ? ドーパンから我領へナディア殿が使者として来宝な」
アルトはライトとレフトと顔を見合わせその瞳を見開く
「姉上は! 姉上は無事なのですか?」
ネモへと詰め寄るアルトをネモの脇に居たジャックが止める。
「おっと、それ以上は近づかないで貰おうか?」
「なっ!・・・」
アルトはジャックを怒鳴りつけようとして自分が何をしようとしていたか思いいたり踏みとどまった。
「ああ、安心したまえナディア殿は健康そのものであったよ」
「そう・・・ですか。教えて頂きありがとうございます」
ほっとした顔でアルトが引き下がると今度はナハトが口を開く
「食料をクルスから運べたと言う事は北回りですか?」
「ん? ああそうだよ。北にある小国を通って我領へと来ている」
ほほえましくアルトを眺めていたネモはナハトの言葉に答えた。
「小国? ドーパンの先には小国があったのですか? そんな情報は・・・」
「ああ、知らなくて当然だね。我々リーフエルフの者でも族長かその側近しか知らないことでもあるし、でも勉強熱心なナハト卿なら耳にしたことが有るかもしれないね」
意味ありげにそう言われたナハトは顎に手を置き考え込む・・・暫く静かに時間が流れナハトが驚愕の表情で呟いた。
「まさか! テンマ国創国の1人であるあの方がいる?」
ナハトの言葉にネモは静かに頷いた。
「そう、私や妹の御師匠様が居る地だね」
更にこのネモの言葉にナハトは驚愕して
「まさか!・・・王妃様はその地に?」
「ああ、怪我の影響で歩けないらしいがね」
ネモの言葉にナハトは気が抜けた様にその場で蹲り
「良かった。我父が取り返しのつかぬことをして、俺はどう王家に報いればよいかと考えていたが・・・生きておられたか。それではお2人の御子様も?」
「うむ、今その小国で王をやっているのがクレス様だ。ナディア殿を助けたのもそのクレス様だよ」
アルトがその言葉とネモの微笑む顔に反応した。
「あの伯爵? つかぬことを窺いますが・・・」
「ああ、ナディア殿はクレス様と婚約が内定しているよ。アドルト殿もマリナ殿も体操喜んでいたそうだ」
アルトは少し拗ねた様に口を紡ぐとネモがにんまりした表情で
「クックク、アルト殿はまさかシスコンというやつなのかい?」
それまで真面目な話をして重々しい空気だったのが一変笑い声に包まれるのであった。




