20話 王弟とゴブリンと
この20日間(2旬)の間ドーパン軍もまた目まぐるしく動いていた。
北からの大部隊が通って来たであろう場所はリバレストが出来たことでその進攻を止め、少ない防衛戦力を残してドーパンを守ることが出来るようになったドーパン軍は、その戦力の大半を南の街道を封鎖しているゴブリン軍へと向けていた。
リバレストの影響で2つに分かれる形となっていたゴブリン軍だが、完全に孤立しているわけではなく西にそびえたつ山々を迂回しながら南へと向かっていた。だがそんなゴブリン軍を見逃すドーパン軍ではなかった。トルーパ率いる小隊がクレスの協力のもと作り上げた戦闘艇を用い長距離からの射撃で侵攻を阻む。更に戦闘艇はもう1隻あり、またライドバード2体で運ぶ戦馬車が2台あり、そちらは騎士や兵士と言った物たちが乗り込み封鎖しているゴブリン軍の中でも孤立気味のゴブリンの集団を強襲していた。
襲われたことに気が付いた他のゴブリンの集団が援軍に駆けつけるも、その機動力を生かした戦闘艇や戦馬車によりすぐに離脱してしまい、後を追えば被害を出し、助けに行かねば襲われていた集団は全滅と被害を出す一方となっていた。
そんな中アルト達はガードナ領主ナハトの屋敷へと戻って来ていた。
「よくぞ戻られた。丁度先日ガフたちも戻ったところだ」
ナハトは執務室へと入ったアルトに近づきその両手を握りアルトを歓迎して迎えた。
「申し訳ございません」
アルトは勢いよく謝る。何のことか分からないナハトはアルトの後ろに控えるライトとレフトへと視線を向ける。
「第2軍の援軍がここへと到着するのがかなり遅れる件を謝っているのかと」
ライトが重い口を開き静かに理由を告げると
「それについては私が説明しよう」
そう言って執務室へと入って来たのは緑色の長い髪をなびかせたエルフ族の男ネモであった。
「ネモ伯爵?」
「今回の一見王弟であるクロードが黒幕に居て反乱の準備を整えていることが分かったのだ」
ネモの言葉にナハトは察しがついた。昨日もたらされたガフからの情報でそれが分かっていたからである。だが動くのが早すぎると考えてネモを見据えると
「更にスカイエルフの族長であるパルカスめが康応しておる」
その言葉でナハトは全てを理解した。獣人の砦の第二軍が動かせないのはそれに対する物であるのだと
「総司令である俺の名より陛下の命の方が優先されるからな」
「更にウージンが王弟と繋がっていたのも痛いだろう」
ナハトは不正の裏に王弟が絡んでいたと知り更に顔をしかめた。




