06話 動き出した者たち
「悪いが出発には準備が有る。準備が終わり次第駆けつけるとナハト閣下にお伝えください」
「準備ってのはこの砦に巣くうガンを取り除くって事かい?」
準備が有るからとその場を離れようとしたゲイルにディーネ族の大女ロザンヌが声を掛けた。
「何故それを・・・」
「ガフ傭兵団っていえばわかるかい?」
ゲイルはその傭兵団に聞き覚えがあり眉毛がピクリと動く。
「ナハト閣下が良く使う精兵の傭兵団だな」
「こっちもかなり急ぎなんでな。手が必要ならあたいらが手を貸すぜ」
「良いのか?」
「あたいが良いって言ってんだ。勿論アルトも良いだろ?」
2人の視線がアルトへと注がれる。
「ああ、早ければ早い程ドーパンの皆を助けることが出来るからな」
「って訳だ。それでどうする?」
ゲイルは考える。アルトは仮にも嫡子そんな者を明らかに激戦とされる自分達に付いて来させる訳にはと・・・
「分かった。え~と」
「あたいはロザンヌだ」
言いよどむゲイルにそれを察したロザンヌが名乗りを上げる。
「ロザンヌ殿は我らと共にウージン子爵邸へ、アルト殿は義勇軍と合流してこの砦から逃げようとする者たちを捉えてくれ」
「了解した」
「ああ分かったよ。アルトには部下がいるが・・・」
そこで馬車の中から事態を見守っていたローズが顔を出した。
「私たちがアルト様に力添えを致します」
「良いのか?」
「ここで、この国に恩を売っておくのも大事ですわ」
ロザンヌの問いにハフマンが答える。
「んじゃあアルト無茶すんじゃないよ。あんたはまだまだ未熟なんだから」
「分かっているさ」
ロザンヌは視線をレフトとライトへと向ける。向けられた二人は何もいわずにロザンヌの意思を受け取り頷く。
「そっちの嬢ちゃんたちも無茶するんじゃないよ」
「分かっております」
「って訳だ」
再びロザンヌがゲイルへと向き直る。
「よし、ロザンヌ殿はこっちだ。アルト殿達は東の兵舎を訊ねてくれ」
そう言って返事も聞かずにゲイルは駆けだす。後を追う様にロザンヌ達も駆け出し
「アルト様、私たちも行きましょう」
「わっ分かっている。レフト、ライト先行してくれ」
「ハッ」
「りょ~かいっと」
・・・・・・・・・・・・・・・
ウージン子爵邸
「なにぃぃ!! ドーパンの子せがれが来ているだと! そんな情報は・・・」
室内で先ほど暴れていた私兵から話を聞いたウージンは部屋の中を右へ左へと繰り返し歩きながら考えをまとめていた。
「ドクマ! ドクマは居ないか!」
すると黒ずくめの男がスッと姿を現す。




