04話 獣人の砦
アルト達が向かう王都までの途中に、遥か昔、神話の時代真央の太刀の反乱を防ぐために立てられた北から南へと大きく伸びる壁が有り、その中央に堅牢な砦が建てられた場所【獣人の砦があった。
この獣人の砦は現在獣人を主とした天魔国軍の第二軍の駐屯地になっていた。先の代官は貧しいものにも分け隔てなく接し、軍の兵糧などを分けるなど住民に慕われていた。現在は病気を理由にやめた代官に変わり、新たに猪の獣人ウージン子爵がその任についていた。
ウージン子爵は王弟ともつながりが有り、その後ろ盾を背景に軍の運営費を着服し、またその資金を使い監査官をもその配下としていた。
腐敗して行く第二軍にそれでも軍としての体裁が整っていたのには訳があった。それが先代の副官をしていた現在防衛長官を務めるゲイル男爵である。彼は狼の獣人でその武力で不正と戦っていたが、次第に増えるウージン派により身動きを制限されることになっていた。
そこで立ち上がったのが住民の勇士からなる義勇軍であり、ウージン子爵は彼らを反乱軍として執拗にその存在を狙っていた。
今日もウージンの私兵たちは住人を威圧しながら見回りと言う名の憂さ晴らしに明け暮れている。道路に面した焦点に並ぶ野菜を蹴り飛ばし店主に因縁をつけている。そんな店の反対側の路地で隠れるように覗き込む青年がいた。犬の獣人である彼の首には義勇軍の証である刻印がされたスカーフがまかれていた。思わず飛び出そうとする彼の手を後ろに居た気弱な犬の獣人が掴み口を開く。
「ジャミルやめろ、ここでは人目が有りすぎる。きっと僕らを誘き出すための罠だ」
「しかしタクト、このままじゃあの八百屋のおっちゃんが・・・」
すると馬車を囲むようにライドバードに跨った傭兵と思しき一団が通る。
「そこの者これはどういうことだ!」
ライドバードから降りて声を上げたアルトはゴロツキに見える私兵たちを睨む。私兵たちは口端を釣り上げ持っていた剣を手ではたきながらアルトへと近づくと
「俺たちゃ第二軍の精鋭だぜ? 坊ちゃんいい加減にしないと痛い目を見るぜ?」
するとアルトを庇う様にライトが割って入り
「こちらにおわせるのがドーパン辺境伯アドルト様の嫡子アルト様と知っての言葉ととらえて良いのだな?」
私兵は自分達の雇い主より身分の高い貴族それもその嫡子に剣を向けたことで顔をしかめる。詰め寄った私兵とは別の私兵が引きつる私兵を無理やり謝らせその場から一目散に逃げだした。




