01話 ガフ傭兵団
【ゴブリン軍】の包囲を破り【ドーパン】へと帰還した【ホワイトノア】が熱烈な歓迎を受けている頃、アルスたちは街道を南西へと向け気まずい雰囲気の中、ローズたちと共に走っていた。
ローズはアルトに言われたことを考え両手で自分の身体を抱きしめ顔色を悪くしていた。
「気にするなとはいいまへん。ただわてらが生き延びてるちゅうんは、話にあったナディア様ちゅうことを覚えとったらええ」
馬車を走らせながらハフマンが振り向きもせずローズへと語りかけた。
「そう・・・そうですね」
ローズの傍で寝る子供たちの頭をなでながらローズは答える。すると前方より戦いの音が聞こえてきた。
「貴女方はここで待っていてください」
「俺らが行って様子を見てくる」
レフトとライトは【ライドバード】へと指示を出し加速して行く。レフトとライトの駆ける先にはディーネ族とドワーフ族の傭兵と思しき一団が【オーク】と抗戦していた。
そんな中、ディーネ族にしては珍しい金髪の髪の短い屈強な女性ロザンヌが【バトルアクス】を振り回し、【オーク】を縦に両断し、地面に当たるかと思われたその刃先が弾かれた様に上がりクルリと回り背後から襲い来る【オーク】を横に切り離す。
「どこの者たちだ? かなりつえ~ぞ」
「ああ、自分もそう思う」
2人がその強さに放心していると背後からアルトに声を掛けられる。
「あの方達は・・・ナハト様が仰っていた集団じゃないのか?」
アルトの言葉に2人は顔を見合わせ頷く。すると余裕が出来たのかロザンヌがアルト達の下へ駆けよる。
「悪いな、もうすぐ終わるから待ってな」
ロザンヌはそう告げるとまた戦場へと踵を返す。そこへアルトが声を掛ける。
「あっあの! 貴女方は【ガフ傭兵団】ではありませんか?」
アルトの言葉にロザンヌはその場で止まり振り返る
「だったら何なんだい?」
ゴクリとつばを飲み込みアルトは声を上げる。
「ナハト様から【ガフ傭兵団】団長への手紙を預かってます」
「わかった。んでも後にしな!」
ロザンヌはそう言い捨て全力で駆けだした。オークを蹴散らしながら進み2本の角の生えた兜をかぶるディーネ族の大柄な男へと近づき何かを告げている。時折こちらを指さしていることから自分達のことを説明しているのだとアルト達は理解する。
戦いが終わり討伐部位である耳と魔石、そして【オーク】の肉の中でもひと際美味しいとされる部分の肉を切り取り荷物に積み込むとアルト達の下へと集まって来た。総勢36名の2個中隊程ある集団であった。




