32話 帰還
【ドーパン】城壁を囲むように【ゴブリン軍】が南に1個大隊、東に2個大隊、計3個大隊162体のゴブリンが今か今かと最早抑えのきかぬ獣の様に涎を垂らしながら地団駄を踏んでいた。
「このままでは持たないわね。」
マリナが風に髪をなびかせアドルトに声を掛ける。
「フッ何のこれしきの数、数日は持つわ!」
笑みのこぼれるアドルトに、その心情を察したマリナが
「数日ということは、2~3日くらいかしら? それとも・・・」
「3日だ。後3日はどんな攻撃でもびくともせんよ。それ以上は兵の疲労で何とも言えん。」
「そう・・・なら、間に合ったみたいだわ。」
マリナの言葉にアドルトは首を傾げ、マリナの見ている視線の先を見て、顎が外れんばかりに口を開けアドルトは驚いた。
一筋の閃光が東側に展開していた【ゴブリン軍】の後方部隊を襲い薙ぎ払った。次の瞬間には攻撃を受け混乱する【ゴブリン軍】へ赤と青のライドバードを先頭に2小隊が突っ込んで行く。
更に土煙の奥から白い船【ホワイトノア】が姿を見せその船首から再び閃光が走り、城壁前に陣取っていた【ゴブリン軍」の大隊ヘ吸い込まれ【ゴブリン】たちを蹴散らした。
その光景を目の辺りにして固まるアドルトをよそにマリナは杖を高々と掲げ
「援軍が来たわ! 騎馬部隊は突撃準備! 魔術士団は【ゴブリン】を近づけるな! 開門! 開門! 騎馬部隊突撃!!!!」
マリナの号令で動く騎士たち、慌てるように東へと向かう南の【ゴブリン】。
まず門から出た騎馬部隊は混乱する東の戦場へ、更にその騎馬部隊の後ろからライドバード2体に引かれた台車の上に機械弓が乗った物が2台門から出て、南から東へ向かう【ゴブリン】たちへと矢を放つ、その【ゴブリンへ】向け青いライドバードに乗ったデュエルが小隊を率い突撃した。
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戦いを【ドーパン】北の森の中から窺っていた男は慌てた様に駆け出し転ぶ。自身の足元を見ると黒い靴に、黒いズボン、更に上着まで黒い、全身黒ずくめの者が立っていた。顔を布で隠し性別まではうかがい知れないことに、男は自分と同じ裏の存在だと当たりをつける。
「なっ何か用かよっ!」
その場で立とうとすると背後から光る者が首に当たり、肌に触れる冷たさに顔をひきつらせた。
振り返ろうとした男に、目の前にいた者から強烈な蹴りを鳩尾に受け、男は意識を失った。
男が意識を失い倒れると上空より1体の白い鷹の魔物ホークが黒ずくめの男の肩へと乗り
「この者を縛っておきなさい。これらの原因の証人となることでしょう。」




