07話 湖の小屋
クレスは廊下を歩きながらその頬を伝う涙を袖で拭い目の前の扉を開く
開いた扉の先、部屋の中央の魔法陣がまばゆい光を放ち、その手前にクレアが待ち構えていた。
「もう良いのか?」
「はい。別れは済ませてきました。」
「そうか・・・場所は天魔国の北東部にある湖の畔にある小屋だ。好きに使え。」
「何から何まで有難うございますクレア師匠。」
クレスは静かに頭を下げ魔法陣へと歩み入る。
「無理はする出ないぞ? いつでも帰ってきてよいのだからな。」
「はい。でも僕は出来る限り世界を見て回りたいと思います。」
クレスが満面の笑みでそう言うと魔法陣が更に光り輝き、クレスを包む。
クレスが最後にもう一度深々と頭を下げたところでその姿が消えた。
「お前の息子は行ってしまったぞ?」
「はい。別れは済ませました。それにもう会えないわけだはありません。」
車椅子に乗ったクレスティーネがクレアの後ろから現れた。
「・・・そうか・・・」
クレアとクレスティーネは魔法陣の光が収まるまでその光を見つめていた。
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光が収まるとクレスは薄暗い窓などない部屋に居た。
「え~と確か昼間だよね・・・」
「クレス様、地下室ではないかと思われます。」
暗がりでキョロキョロと辺りを探るクレスへホークが語り掛け
「あちらに会談が有ります。」
ホークの翼が指す方向へクレスは顔を向けた。暗がりに慣れ始めたのか部屋の様子がクレスにも分かるよになり、クレスは階段へ向け歩き出した。
クレスは階段を上がり、上がった先にある扉を開け、扉の先へと歩み出ると背後の扉が光を放つ。振り返った先にクレスが見たモノは石の壁であった。
「【解析】・・・なるほど【幻術】・・・それに【結界】」
クレスが壁に手をかざすと扉が現れる。
「クレス様、どうやら認証された者以外この扉が現れることが無いようですね。」
そう言ってクレスの肩より飛び立ったホークが近づいても壁のままであった。
「さて、この小屋の設備でも確認するとしようかな。」
クレスが歩き出すとその肩にホークが舞い降り小屋の設備を確認するために移動を開始した。
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リビングのようなテーブルの置かれた一室でクレスは椅子に座り
「寝室に台所、トイレにお風呂。作業部屋にその奥が倉庫かな?」
「その様ですね。トイレは水洗で魔力を流せば【分解】が発動・・・分解された物は湖へ・・・」
「お風呂も魔力を流せばお湯が出てシャワー付き。台所も魔道具がいっぱいあったね。ほぼ城と同じ設備のようだね。」
クレスとホークが調べたことを口にする。