29話 旅の一座
フレアス族の一座を救出したアルト達は場所を移し身の上を聞いていた。
彼女達はとある事情(今現在は話せない)から悪徳貴族に狙われ、命からがら北にある死の海峡を渡り、やっとの思いでこの大陸に来たと聞かされアルト達は道場の表情を見せていたが、その後の話を聞きその表情を怒りへと一変させた。
「貴様らが! 貴様らがいなければ姉さんの部隊は!・・・」
突然起こりだしたアルトに一座のことも達がローズの後ろへと隠れるように回る。ハフマンは危険を察知して間へと入り
「何をそんなに怒っているんですか?」
「貴女方を助けるために、アルト様の姉君・・・ドーパン辺境伯の娘ナディア様が犠牲になったのです。」
混乱するハフマンにライトが小声で声を掛けるとローズを初めとした一座の者たちの顔に驚きと共に、アルトへどう声を掛けたらいいか分からないと言った表情に変わった。
「それで、あんたらはこんなとこに来てどうするつもりだったんだ?」
レフトがアルトを抑えながら背中越しに声を掛ける。
「・・・天魔王様にお目通り願い、支援していただきたく・・・」
「まさか! 王弟殿下に会いに行かれるんですか?」
ローズの言葉にライトが自身の考えを口にするとハフマンが頷く。
「・・・そうや。」
それを聞いたライトはため息をつき言葉を紡ぐ。
「はぁ、最悪ですね。」
「何や! 最悪ってどういうことや!」
ハフマンが慌てて声を荒げる。ライトは更に言葉を続ける。
「何も分かっていないようなんで教えてあげますが、今現在起きている【ゴブリンの氾濫】、これは王弟殿下が背後で暗躍している可能性があるのですよ? つまり、国王陛下と敵対した勢力となります。」
「それにいい噂は聞かないぜ。犯罪組織と裏で繋がり、15年前の事件にも関わっているって話だからな。」
ライトの言葉に続くようにレフトが声を発し、レフトのその言葉にローズたちは小首を傾げる。
「・・・王都襲撃事件。15年前国王陛下の留守に【黒水】と呼ばれた犯罪組織が城を襲撃して王妃様や2人の御子が行方不明になった事件だ。世界的にも有名な話だと思うが?」
呟くようにアルトが言葉を発した。ローズたちはアルトの言葉に自分達がどんな相手に助けを求めようとしていたか知り青ざめた。
「それでどうする気だ?」
レフトはアルトがある程度落ち着いたと確認して、その場で振り返りローズたちを見据えた。
ローズとハフマンは顔を見合わせ首を振り更に顔を曇らせる。




