27話 出発
とんとん拍子でクレイの方は決まるとティアーネが口を開く
「なるほど【竜牙】は元々天魔王直属であったからのう。であれば私の方からは、里から内政に強い者を6名送る。勿論戦闘も可能な者たちをじゃ。」
するとウィルナーは悔しそうに
「儂の方も1小隊は送りたいが、遠すぎる上に防衛戦に備えねばならぬ。」
「いえ、敵の背後に協力してくれる戦力があるだけでも今の僕たちにはありがたいです。」
クレスは戦略的にそこに存在するだけで有り難いと言うとウィルスは
「爺を【シーマ】へ送ったら俺の小隊だけでも必ず向かう! 必ずだ!」
「無理はせんでも良いぞ? リーフだけで十分じゃよ。」
からかう様にティアーネが口を挟む。
「俺の小隊は元々クレス様の為に作られた小隊だ。行方不明になってからはその捜索に重点を置いているから防衛には差し支えん。」
すると1人取り残されたような立場のネモが口を開く
「なら私は、愚か者どもを王都にでも運ぶとするか。クレイ殿王都まで付いて来てもらっても良いか?」
「ええ、王都にも元メンバーがいるはずですからね。」
そこから彼らの行動は早かった。復旧作業もままならないまま、まず昼過ぎにティアーネが里へと向かう。夕方になり準備の整ったその他の者たちが王都と【ドーパン】へ向け出発する。
「こんなに貰ってよろしいのですか?」
【クルス】の城門前で物資を受け取るクレスはネモにそう告げる
各種Cランクまでの魔石を10個づつ、それに6体分のデスベアーの各種部位、鋼のインゴット20個、【ドーパン】の住人が1か月は大丈夫なほどの食糧。午前中にムントやアムが買い付けた分を合わせると2か月分は持つ計算となる。
「今回ティア様を救ってもらった分と館襲撃時での分を合わせると少ないくらいなんだがな・・・」
「分かりました。有り難くいただいておきます。」
「そうしてくれ。次は【ドーパン】解放戦か愚弟討伐戦で会おう。」
「はい。」
クレスが返事をするとネモは馬車へと乗り込む。
「ティア、行ってくる。」
「はい。クレイも体には気をつけて。」
ティアは意を決してクレイの唇に自身の唇を重ねる。ジャックが口を尖らせ口笛を吹く。
ティアは頬を染めながら唇を放すと、クレイは真っ赤になりながら【ライドバード】へと跨る。
「ほら、あんたも冷やかしてないで行きなさい。」
パーラはジャックの背中を軽くけり上げる。
「って~な。お前もちゃんとティナ様を守れよ。」
「それはこっちのセリフよ。」
ジャックとパーラはどちらともなく笑い拳を重ねた。




