06話 旅立ち
準備が終わったクレスは自室に戻りベッドに腰掛け窓の外、星々が煌めく夜空を眺めていた。
「いよいよ下界か・・・それに父様の納める国どんな方だろう。母様の話ではとても強く優しい方だとか・・・それに姉様・・・楽しみだな。」
「クレス様、楽しみなのはわかりますが、警戒するべき者もいるとか・・・」
「クロード公爵・・・僕の叔父にあたる者だね。」
「はい。まずはレベルを最低でも【5】出来れば【6】はほしいですね。」
ホークの言葉にクレスは頷きアイテムボックスの中身を思い浮かべた。
「まずは2体の【ガーディアン】、次が3体の【ライドバード】。ここまでを1旬の間に終らせたいとこだね。」
【1旬】10日、【1月】3旬(30日)
「遅くとも2旬以内と言ったところですか。」
「そう、そして近くの町へ行く・・・母様は【ドーパン】が良いだろうって話だけど。」
「王の親友・・・元近衛騎士が納める地ですか。」
「ふわぁ~・・・今日はもう寝よう。明日は母様に挨拶してクレア師匠に・・・Zzz」
話している最中もウトウトと頭を上下に揺らしていたクレスがとうとう眠りについた。
「お休みなさいませクレス様。」
ホークはそう口にして部屋の明かりを消すのであった。
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翌朝
クレスは今日当たりのよい中庭がある部屋へと来ている。
クレスの前には椅子に座りクレスへと微笑みを向ける母クレスティーネの姿があった。
クレスティーネの座る椅子には大小様々な車輪が付き、その後ろにはクレアに創られ、エプロンドレスに身を包んだオートマタが控えていた。
「まあまあ、貴方がクレスの御供ですね? 【ホワイトファルコン】かしら? ウチのクレスをよろしくね。」
「お任せを。この命に代えてクレス様をお守りいたします。」
クレスティーネの言葉にホークは答え、片方の翼を器用に折り曲げ頭を下げた。
「それでは母様、行ってまいります。」
「はい、行ってらっしゃい。気をつけるのですよ? あっそれといい娘が出来たら必ず連れてきて母さんに紹介してね。」
「なっ何を言っているのですか母様! 僕はもう行きます。」
クレスティーネの言葉に真っ赤な顔で答え踵を返すクレスを不意にクレスティーネが優しく背中から包み込んだ。
「母様?」
「本当に大きくなって・・・辛くなったらいつでも戻ってきてよいのよ? ここは貴方の家でもあるのですから・・・」
「はい。母様・・・」
クレスとクレスティーネの瞳から一滴涙が流れる。