17話 領主ネモ
クレス達は今【クルス】にある領主の館の談話室へと案内されていた。クレス、ナディア、ライラの3人がここに居た。ムントやアムを始め【ガーディアン】は【ホワイトノア】に残り、その警護に当たっていた。またホークは上空より周囲を窺っていた。
ティアとクレイは別室へと連れて行かれ、【ホワイトノア】を降りる前にクレスに関することは口止めしてある。
「遅い。何をしているんだ。何を!」
苛立ちを見せ始めたライラへナディアが紅茶を入れたティーカップを差し出すと
「ほら、これでも飲んで落ち着きなさい。」
「これが・・・すっすいません。気が付かずに!」
怒鳴り返そうとしてナディアであることに気が付き、慌てて頭を下げる。
「さぁ、冷めないうちに。」
「・・・いただきます。」
ライラは恐る恐る頭を上げ紅茶を口へと持って行き一口飲み
「ふ~」
息を吐き落ち着いた表情へとライラは戻った。
丁度そこへネモが扉を開け入ってくる
「いや~お待せして済まない。こっちもエルフの里が襲撃されたことでごたごたしてしまって、申し訳ない。」
そう言ってネモは軽く頭を下げた。頭を上げるともう、申し訳なさそうな顔ではなく威厳ある男の顔へと変わり席に着く。
「お久しぶりですなナディア嬢。アドルト殿からの書状は読ませてもらった。お金さえ払えば食料の買い付けは許可する。」
「ありがとうございます。」
ネモの許可が出たことでナディアは頭を下げる。
「本来であればティア様の恩人たる貴公らに便宜を図ってやりたいのは山々なのだが・・・」
「いえ、許可を貰えただけでも買い付けがスムーズに進みます。」
ナディアと話をしている最中もネモは隣に座るクレスのことが気になり時折視線を向けていた。ネモとの話は【ドーパン】についてを事細かに聞かれ、一息ついたところで
「おっと、忘れておりましたな。ナディア嬢の隣に座っている男性はどういった方なのですかな?」
「申し遅れました。僕は今回アドルト様よりナディア様の護衛と輸送を依頼された冒険者でございます。」
「うむ、そうか。ではあの【陸上艇】も貴公の持ち物となるのか?」
「ええ、そうなりますね。」
「それは凄い。あれほどの物を手に入れるとなるとさぞかし高名な方なのだろうね。」
そう言いながらネモはランクの高い冒険者の名を頭の中で思い出しては情報と合わずにけし、思い出しては・・・と繰り返していたがついに該当する者がいないことに気が付く。
「失礼とは思うが貴公のランクは幾つになるのだ?」
「【E】です。」
クレスが答えるとネモはカクンと体勢を崩し、驚くのであった。




