02話 空間魔術
ソファーを自らの手で運んでいるのを見たクレスは
「はぁ~、ホーク。」
短くそう呟くと外からホークが飛び込んできてソファーの上に止る。
「お呼びでしょうかクレス様。」
「・・・【アイテムボックス】があるんだから運んであげれば?」
「おお、そうでございましたな。【アイテムボックス】」
ホークが言葉を紡ぐとソファーが消え去る。
「おっと。」
持っている物がなくなりバランスを崩した2人が、互いに支え合う。
「どっどどどこを触っているですか! このエロ猫が!」
真っ赤になってどもるアムを見るとムントの手がそのふくよかな胸に押し当てられていた。
「わわわわ、誤解だ! 誤解だから! ねっ! ねっ! 落ち着こう。」
ムントは素早くはなれ手を前に出しアタフタとする。
次の瞬間、バチンッ!と大きな音が鳴り響き、ムントの頬に赤く可愛らしい手形がくっきりと付いた。
「ん? 何をして・・・ぷっアハハハハッ♪」
ムントの頬を見てライラが噴き出し笑い出す。
「「ライラ様!!!」」
笑うライラへ講義を口にしようとして2人の声がハモると、顔を見合わせさらに赤くなる。
「クックククッ♪・・・貴方たちは自分を笑い死にさせる気か。」
「貴方達、クーに迷惑をかけているのが分からないのですか?」
頬を膨らませたナディアがライラの後ろに立っていた。
「・・・それは良いから、ディアも荷物を運ぶのなら【アイテムボックス】を使いなよ。」
そう言って右手をひらひらとさせクレスは奥へと消えた。
言われたナディアはと言うと両手でポンッと叩き納得していた。
「【アイテムボックス】・・・やっぱり便利よね。」
私物を入れたトランクをナディアが【アイテムボックス】へ収納するとホーク以外の面々がポカンと口を開けていた。
「何? 私何か変なことしたのかしら?」
「いえ、何もしてはいないと思いますが、私が察するに【アイテムボックス】をナディア様がお使いになったからではないかと。」
「ああ、便利よねこの【アイテムボックス】」
すると一足先に我に返ったムントが口を開く
「いやいや、【空間魔術】ですよ? 覚えたとしても魔力が足りずに【アイテムボックス】なんて作れる方など稀ですから。」
ムントの言葉にアムとライラは頷く
「それは【魔力共有】のスキルを持っているから・・・」
ナディアのこの言葉に再びライラたちは驚きの表情を浮かべた。




