38話 対応する黒狼
「良い。アルトも座れ。」
レフトに抑えられながらアルトがソファーへと腰を降ろす。
「今後について話させてもらう。」
唐突に発せられたナハトの言葉にアルトは顔を上げ、ナハトを見つめる。
「まずは、恐らく【ドーパン】は包囲されている。これは良いな?」
アルトを初めレフトとライトも頷く
「その包囲が思った以上に厚いこともアゼルの部隊が戻ってきたことで分かると思う。」
これについても頷く
「ならアルト、貴様がしなければならないことは何だ?」
アルトが顎に手を当て考え出す。
「・・・味方・・・戦力を集めるですか?」
「そうだ。だがそれはここ【ガードナ】のみで集まる物なのか?」
アルトは悔しさに顔をしかめ
「・・・無理だと思います。」
「ほぉ、それはなぜか聞いても良いか?」
「・・・アゼル殿の部隊は中隊規模・・・それが2度【ゴブリン】の中隊規模との戦いとなった。最後にはもう1つの中隊規模の【ゴブリン】に襲われていることから、【ゴブリン】は何らかの意思により行動を起こしていると見て良い。」
「なっ! そんな知恵が【ゴブリン】にあるわけがない!」
黙ってナハトの後ろで立っていたアゼルが声を荒げる。
そんなアゼルにライトが視線を向け
「あるからこそアゼル殿、貴方の部隊が敗走するに至ったかと思いますが? まさかアゼル殿の部隊は、ただの【ゴブリン】ごときに後れを取るほど弱いと?」
その言葉にアゼルはライトを睨み付け拳を作り震える。
「・・・よさぬか。味方同士で争っても仕方がない。」
ナハトの低い声にアゼルは目を見開き顔を青ざめ
「もっ申し訳ございません。」
アゼルは深く頭を下げる。
「でだ。元々この地に居た傭兵団に依頼を出そうと思う。」
「なるほどね・・・俺たちにその使者を頼みたいってわけだな。」
軽い口調で目上のナハトへ声を掛けるレフトにライトが睨み付け
「レフト! 敬語を使え! 相手は侯爵様だぞ!」
「良い。話が早くて助かる。依頼を出すのは【ガフ傭兵団】だ。」
「それなら俺も聞いた覚えがあります。【ディーネ族】の凄腕の傭兵団がいると。」
アルトが目を輝かせながら言葉を発した。
「そう、その傭兵団だ。それと軍を動かす。」
後から発せられた「軍を動かす」の言葉にその場にいた者たちが驚きの表情を見せる。
そんな中ナハトは気にも止めずに言葉を続ける。
「辺境伯であるアドルト殿、更に侯爵たる俺がいて防げないとなれば・・・」
「他国が黙ってませんね。特に【魔族国】は・・・」
レフトの言葉にナハトは頷く。これによりアルトを初めライトやアゼルも事の重大さが分かり表情を硬くする。




