18話 責任
恥ずかしさのあまり顔を布団で隠すナディアにクレスは笑みを浮かべながら
「冷めないうちにどうぞ。」
トレイに乗ったスープの入った器をナディアの前へと差し出す。トレイを受け取ったナディアがスープを口にし始めると、ホークがクレスの肩から飛び立ちデュエルの肩へと止まり、イージスと供に出ていこうとする。
「僕だけを残して何処へ行くつもり?」
するとホークは振り返り
「後は2人で話し合って決め成され。私共はクレス様の配下でありますれば、どのようなことになろうとそれを支えるまででございます。それと倒した木を回収してきます。」
「・・・ついでに偵察もよろしく。」
「心得ました。」
ホーク達が出ていくと2人は見つめ合い互いに無言となる。
「・・・冷めるよ。お変わりが必要なら持ってこようか?」
クレスが声を掛けるとナディアはゆっくりとスープを飲み干し
「ご馳走様・・・美味しかったわ。」
「どういたしまして。」
クレスはナディアからトレイを受け取りその場を離れようと椅子から腰を上げると
「まっ待って!」
ナディアが声を掛けるとクレスはトレイを棚に置き椅子へと座る。
「・・・」
「・・・」
しばらく無言で時間が流れると不意にナディアが口を開いた。
「・・・返事・・・」
「えっ?」
「さっきの返事まだ聞いてない。」
頬を赤らめ呟かれた言葉はクレスにもその意味が分かっていた。【責任】に対する返事である。
「まだ出会ったばかりだよ僕たち?」
「うん。」
「僕なんかで良いの?」
「貴方じゃなきゃヤダ。」
「・・・」
「・・・」
クレスはため息をつき
「僕の負け・・・かな?」
クレスはナディアの頬に右手を添える。
「うんん。最初に好きになったのは私・・・だから私の負け。」
「「ぷっ♪」」
2人は吹き出し笑い合う。
「良いんだね?」
「うん♡」
2人の顔が近づき唇が重なり合う・・・唇を放しクレスの手がナディアから離される。
「これでお終い。ナディアは疲れているんだから寝て。」
「ディア。」
「ん?」
クレスは分からず小首を傾げる。
「名前、ナディアじゃなくてディア。もう父上も母上も呼ばなくなったけど、親しい人は愛称で呼ぶって母上が・・・」
クレスは照れたように指で頬をかき
「ディディア。」
そう口ずさむと顔を赤く染めた。
「・・・てっ照れるわね・・・クー。」
更にナディアの顔も赤く染まるのであった。