16話 ナディア
クレスは女性を抱えたまま小屋の扉に背中を預け、やっとの思いで扉を開けると一直線に寝室へと駆けこむ。濡れたままでは不味いと思い服を全て脱がせたとこでクレスは思い出したかのように顔を赤く染めた。そう目の前に居るのは女性なのだ。それもとても綺麗な・・・湧き上がる欲望を何とか抑えたクレスはタオルで女性の身体を拭きやっとの思いでベッドへと寝かせその上に布団を掛けた。
「ふ~・・・後はホーク達が戻ってからかな?・・・取りあえず確認だけでもしておこうか【解析】・・・貴族だよね・・・」
更に自身を【解析】するとレベルが【6】に上がっていて、【コアの秘術】の【2】に上がっていた。
「え~と【マシン作成】? 馬車に船・・・それに飛空艇? 材料は・・・あ~さっき切り倒した木を持ってくるんだった。失敗したな~」
すると玄関の扉が開く音がする。
「帰って来たか。」
そう呟きクレスは寝室を出る。
クレスが出ていった部屋で女性が目を覚ます。
「ん・・・ん・・・?」
女性は周囲を見渡す
(知らない部屋だわ。それに・・・はっ!)
女性は自身の身体を触り何も来ていないことに気が付き耳まで真っ赤に染める。
(えっ? えっ? どういうこと? もしかして【ゴブリン】に捕らえられ繁殖のために捕らえられている?)
すると複数の足音が近づいてくるのを感じとり
(誰かくる! 落ち着け! 落ち着くのよナディア! す~は~す~は~・・・良し)
呼吸を整え目を瞑るとガチャリと扉が開かれる。
扉を開け入って来たクレスはベッド近くの椅子に座りナディアの顔へ手を添える。
「呼吸は安定しているね。もう大丈夫そうかな?」
「その様ですね。これならいつ起きても可笑しくありませんね。」
「あっだったら何か食べる物を用意した方が良いかな?」
「温かいスープがよろしいのではありませんか?」
「そうだね。ちょっと作って来るよ。ホーク後お願い!」
クレスは椅子から立ち上がるとキッチンへと駆けて行った。
(ばれなかったよね・・・ふ~一応魔物の住処ではないみたいだけど・・・)
ナディアが安心し、警戒を少し下げると不意に頭の上から声を掛けられた。
「起きて・・・起きていますよね? なぜ寝たふりなどしているのですか?」
(うそ! 気づかれてる? どうすれば・・・)
「黙っていては分かりません。私共に敵対する意思があると取りますよ?」
ホークの言葉にナディアは瞳を開け、布団で胸を隠しながら体を起こした。
「やはり起きていましたね。」
ナディアは声のする方に顔を向けその瞳を見開き驚いた。ナディアの視線の先には白い鷹がベッドの縁に止っていたのだから。