14話 ドーパンの町
2体目の【ゴブリン・アーチャー】を切り捨てたクレスはその場でクルリ、クルリと回り刀を振るう・・・振るわれた刀には風の魔術が纏われていた【竜旋剣舞】・・・振るわれた刀より風の刃が発生して、最後の1体の【ゴブリン・アーチャー】を切り刻みその命を刈り取った。
振り返りデュエルの方へと視線を向けると【アクス】をその手に持った【ゴブリン・ファイター】が3体襲い掛かっていた。
「ちっ! 光よ降りそそげ【ホーリーライト】」
【魔力操作2】を最大に使い通常の3倍の光が【ゴブリン・ファイター】達へ降りそそいだ。降りそそぐ光は【ゴブリン・ファイター】のみへと降りそそぎ、一瞬のもとに【ゴブリン・ファイター】を消滅させる。残ったのは魔石3つ・・・
一気にレベルが上の魔物を倒したことによりレベルがアップしているのだが、クレスは気にせず女性へと駆け寄り抱きかかえると
「デュエル悪いけど魔石の回収お願い! 僕は小屋に戻るからホークたちと合流して戻って来て!」
クレスはそう言い捨てると返事を待たずに駆けだす。1人残されたデュエルは命令通りに魔石を拾い、ホークが居るであろう方へと駆けだした。
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ドーパンの町、領主の館
それほど高くはないが味のある家具やツボが置かれた一室で領主であるその男は立ち上がり声を荒げる
「もう一度言ってくれライラ! ナディアがどうしたというのだ!」
普段は真面目で温厚な整った顔立ちの金髪オールバックの男が取り乱さんと言うばかりに、目の前に居る傷ついた傷ついたオレンジ髪のショートヘアの女性に言い寄っていた。
ライラと言われた女性は血が流れる左腕を抑えながら
「申し訳ありません!」
「良いから説明を!」
「はっはい! 本日早朝、我々ナディア小隊6名見回りの人についておりました。南から東へのルートであります。南は問題なく進み、東へと差し掛かったところで、ゴブリンの群れに襲われていた馬車を発見。我らはナディア様の命で救出に向かいました。」
「それで。」
「それで救出自体はただの【ゴブリン】であったこともあり問題なかったのですが・・・」
そこでライラの顔が悔しさで歪む
「「が」何だ?」
「ハッ! そこへ更に別の群れ・・・いえ別の部隊【ゴブリン・コマンダー】率いる18体の【ゴブリン】の軍団。内訳は【ゴブリン・ファイター】が11体、【ゴブリン・アーチャー】が6体でありました。」
「なっ何と・・・」
領主の男はヨロヨロとソファーへと腰を降ろした。