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第5匹 大脱出!

更新遅くなってすみません。


「それで?君の名前は?」

「テティス……お魚さんのお名前は?」


この少女の名前はテティスというらしい。お母さんとお父さんのことを聞いてみたが、うなだれて押し黙ってしまったので話題を変えるのが大変だった。

多分今の状況と大きく関わっているのだろうが、それを彼女に聞くのは酷というものだろう。


「俺はお魚さんでいいよ。」

「うん…分かった。」

「よし、テティス。俺達は今からここを脱出する。その後は俺はここの1番地下に行くつもりだ。テティスはどうしたい?」

「テティスは……お魚さんの…案内する。」


テティスはそう言うと俺の背びれをしっかり掴み、前を向いた。例えるならば昔見た風の谷の少女のような乗り方だ。そして背びれをクイックイッと左右に動かしてこっちを向いてぐッと親指を立てた。


「ヒレを動かした方に…行ってね。馬車馬のごとく……働いてね。」


案内じゃないよね?

それは俺を案内するというより俺を運転するってことだよね?

恐るべし、テティス。


「いっけー。」


テティスが拳を突き上げ俺のヒレを前に押し出した。

目の前には檻。ぶつかるときっと痛い。多分痛い。確実に痛い。ところてんみたいになるかもしれない。

よし水魔法さんによる水圧ドリル超巨大バージョンを顔の前に作って、突進!

見張りのサメが突進してくる俺達に唖然としてるのが見えた気がするけど、見なかったことにしてそのまま突進!

ドリルで起きた水の流れによってビューンと空の…じゃなくて海の彼方へ何かが飛んでいったのが見えたけど俺は見なかった!うん。






テティスの華麗なハンドリング?で俺は遂にお目当ての謎の場所の手前まできた。

この神殿の入口と同じで暗くて大きな穴が空いている。

途中、怒ったサメ、槍を持ったサメ、逃げ惑うサメ、驚くサメなどに出会ったが全てどこかへ飛んでいってしまった。


「誰だお前ら!へぶっ!」

「首領に伝えぐふぅっ!」

「うわあああアブぇっっ!」


出会いと別れはセットだからな。仕方がない。これも俺達には決して避けることの出来ないデスティニーだったんだ。ぐっばい諸君。


「ここからは…私たちの町……イーリス。今は…サメだらけ…気をつけて…。」


ぺしぺしと体を叩かれ俺は水圧ドリルをゆっくりと止めた。

そうか、ここには町があったのか。"私たちの町"という事はテティス以外にも人魚がいるわけだ。万歳。人魚の町住んでみたい!

よし決めた俺ここに住む。海底神殿の優雅な生活。当たりには鮮やかな人魚がたくさん。字面からして素晴しい。

いや、そうじゃなくて人魚の町なのにサメだらけってどういうことだ。


「テティスは…サメの首領と……戦う。だから…ここでばいばい。」


テティスは俺の背中から降りた。そして、穴に入ろうとした。冗談じゃない。


「ダメだ。テティス。お前一人じゃ勝てない。」


当然、俺はテティスの前に立ち塞がった。

いくら馬鹿でもこんな小さな子がサメの首領とやらに勝てるわけがないのは分かる。


「勝てなくても行かないわけにはいかないの!お魚さんはどいて!」


珍しく声を荒らげてテティスは水魔法をうってきた。その小さな水の刃を俺は同じ水魔法で相殺する。


「お前一人じゃ勝てない。」

「お父さんもお母さんも……あいつに殺された!苦しみながらも2人は私を逃がして死んでいった!私じゃ勝てないのは分かってるけど、何もせずのうのうと逃げるのは嫌!」



"お前だけでも、お逃げ"

"テティス。愛しい私達の子"


大切な今はもういない2人の今際の際の言葉が蘇り、涙を零しながらテティスは怒鳴る。


「テティス。話を聞け。お前"一人"じゃ勝てないと言っているんだ。」


水魔法を飛ばすのをやめたテティスに俺は静かに言った。


「俺も一緒に行く。俺が力を貸す。俺達を閉じ込めたむかつくサメのボスをぶっ倒しに行こう。」


うん、ちょっとかっこつけすぎたかな。自分で言ってから後悔した。ダメだ!恥ずかしい!

バタバタとヒレを動かし、のたうつ俺を見てテティスは涙をぐっと拭うと、子供らしい柔らかな笑顔になった。


「うん。行こう。」



テティスと同時に穴に飛び込む。

前回とは違い渦は起こらず、意識も失わずホッとした。

ふと、明るいところに出る。眩しくて視界が真っ白になった。


「よいしょ。」


光に目が慣れてくると、ここが沢山の海藻の生えた高台にあることがわかった。眼科に町が見えるのがその証拠だ。


町は想像していた通り石造りの建物が並び、カラフルな海藻や岩が町を華やかにしている。その建物と建物の間を忙しそうに人魚たちが泳ぎ回っていて、光を反射する鮮やかな鱗がキラキラと光っていた。


ただし、その人魚達は老若男女関係なく働かされており、サメに槍でつつかれていたが。

遠くから見てももう人魚たちがボロボロなのは分かる。身体的にも精神的にも限界は近そうだ。転生してから信じられないくらい高性能になった耳をすませると会話がぎりぎり拾えた。


「おらァ!ちゃっちゃか働け!そこの坊主倒れるんじゃねえ!そうだ。ちょうどいい、首領の夕飯がまだ用意できてなかったんだよな。」

「そんな!この子は昔から病弱な子で、!どうか、お見逃しを!」

「うるせぇ。首領の役に立てるだけ幸せじゃねえか。ぎゃははははは!」


聴けば聴くほどふつふつと怒りが沸いたので一旦、聴くのをやめた。


「酷い……。」


テティスからこぼれ落ちた言葉と全く同じ感想しか出ない。とりあえずあの子が夕飯として食べられる前になんとか助け出さなければいけないな。


食べられる前に……。

あっ!

いい事思いついた。


「なあテティス。ちょっと聞いて欲しいんだけどーー。」


テティスは俺の目をしっかり見返すとゆっくり頷いた。



突然の微シリアス!

シリアスが下手だということがわかりました。

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