恋セヨ乙女
――いっそ嫌いになれたら楽になれるんだろうか。
女子校というのは特殊な場所だと思う。だからみんなが集まる食堂で大っぴらに恋バナなんてしちゃうんだ。
「結、あんた彼氏つくんないの?」
「咲妃ちゃん……またその話?」
煮物をつつきながら唐突に切り出してきた親友の間倉咲妃ちゃんに、私、榎本結の笑顔は引きつった。
「この間も言ったけど、そんな簡単に彼氏なんてできないから」
第一、女子校に通ってたら出会いなんてないんだもの。まぁ、咲妃ちゃんには彼氏いるけど。
「だから紹介するって」
「うん、ありがと。でもいいや」
咲妃ちゃんの提案に私は静かに首を振る。そしてごちそうさま、と手を合わせてから食べ終えた食器の乗ったトレイを持った。
「私これからバイトなの。またね」
一言添えてから私はトレイを返却口へと持って行く。一度、食堂を出る前に振り返ると、軽く手を挙げてくれた咲妃ちゃんに私は手を振り返した。
私を心配してくれてる咲妃ちゃんがそう言ってるんだってことは分かってる。
半年前、私にも彼氏がいた。高校の時のクラスメイトで、大学に入ってから付き合いだした。
けど彼は突然、私に「ごめん」という一言を残し姿を消した。
後から風の噂で聞いたのは彼の家庭事情。父親の暴力から逃れるために母親と一緒に引っ越したらしい。
私は初めて聞いた彼の事情にショックが大きかった。
何の説明もなくいなくなったことよりも、そこまで追い詰められてた彼の辛さに気付けなかったことが悔しかった。私は彼女だったのに。
彼とはそれきりだから俗に言う"自然消滅"なんだろう。でも、私は未だに気持ちを引きずっていた。
だから咲妃ちゃんが心配して私の顔を見る度に「彼氏つくれ」って言うんだろう。でもね、本当に出会いがないんだ。
学校は女子ばっかだし、バイト先もそう。だからってお客さんとなんて有り得ないし、ナンパやら合コンなんてものにも縁遠い。
私は地味で取り柄がない。そんな私を好きになってくれる人は恐らくもういないと思う。
……違うかな。
私は未だに彼が好きなだけ。言い訳ばっかりして彼氏をつくろうとしないのは、やっぱりどこか期待してるんだと思う。
無駄だって分かってても、好きな気持ちは止められなくて。馬鹿げてるって分かってても、私は彼を待ってるんだ。
いっそ嫌いになれたら良かったのに。そしたらもう泣かなくてすむのかもしれない。
いっそ忘れてしまえたら良かったのに。そしたらもう胸が張り裂けそうに痛むこともなくなるかもしれない。
でもね、やっぱり無理なんだ。
嫌いになんてなれないの。だって毎日考えちゃうくらい好きなんだもの。
忘れるなんてできないの。だって彼との約束を未だに私は守ってる。
辛いけど、寂しいけど、それでもね。私はきっと、ずっとあなたを好きでいる。
【END】
ここまで読んでいただきありがとうございます!
めっちゃまとまってない小説ですみません(-_-;)
会話文、最初だけだし
言いたいことつめこんでみたらこんな感じに……
今の私にはこれが限界ですorz
ハッピーエンドじゃないし、軽いバッドエンド?な感じですね
久々の投稿がこれって……
もっと頑張ります