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陰湿デバフ持ち、異世界スタート!

どうも、なぜか異世界にいる勇武でーす

HQの紹介が終わったばかりなのだ。

おかしいことに、なぜか日本の一戸建てみたいなのに住んでいる。

まず、感想から言うんだけど、元の世界の家と余りにも変わっていなくて正直に言うと、悲しい。


どういうわけか、一部屋が召喚ルームになっていて、そこだけ浮いている。それ以外は普通に日本でもありそうな家だ。


「おいらのHQ、どうだい?」と、洋画のマットサイエンティストに憧れている異常なオッサンのエルドリックが俺に言ってきた。


「お前にとって、HQっていう言葉がなんの意味あんの?」と、拗ねている俺は俯きながら、ぐすんと言う。


「ん?どういうこと?」


「いや、なんでもない」と、我に返って、エルドリックに質問を投げかけた。「俺を『育て上げる』とか言ってたけど……一体どこで訓練が行われるのか、さっぱり分かんないんだけど……」


「見せようとしてたよ。玄関まで連れてきた理由ちゃんとあるよ。」と言った途端に、力強くドアを開けた。


眼前の風景が眩しくて一瞬真っ白な光しか見えなかった。見えてきたのは日本じゃ見れない麗しい風景だった。


……山頂?こいつマジでどこに住んでんの?


涼しい風が吹く。濃緑色の草が綺麗に生えている。

エルドリックがジェスチャーで『おいで』を伝えようと、俺に向けた手を振った。外に出ると夏の匂いが鼻腔に入り、眼前に広がっている風景を吸収しようと、蒼天を臨んで目を閉じた。


「空を見るのを後でやってくれん?5ヶ月をかけて建ててきたのを見せたいんだから」


令和のJKみたいな喋り方をやめてくれないかな。


「来たばかりだし、少しでも楽しませてくれないか?」と、俺は目を開いて言った。


あまりの感嘆に臨んでいた異世界の蒼天から目を離して、エルドリックの方向に視線を向ける。エルドリックの指がでかい真っ白のビルを指していた。


ん?まさか……俺専用の訓練場では……。


「実は結構前から君を召喚するつもりだった。計画を立てた時に、訓練できる場所なくない?って思って作ったんだ。最先端の技術で備わった最強となる君に相応しい訓練場だ。まだ初日だから休ませてあげたかったな。取り敢えず家の中に戻ろう」


見せる気ないのかよ!?すんごい好奇心を湧かせたのに見せないのひどっ!おっさんのくせに……。


***

2時間後


自分の新しい部屋でごろごろしていると、急にエルドリックから呼ばれる。晩御飯ができた、と。


キッチンに着くと、相当少量の食べ物が並んであった。なんなら、俺が大好きなのだった。エルドリックはラーメンを作ったのだ。芳醇な匂いが漂っていて、胃が反応しようと五月蝿く鳴る。


「お腹空いてたな。今日得意なのを作ってきたぞ。うまいからいっぱい食べて〜」と、エルドリックは微笑ましく言ってくれた。


息子扱いされてるんだけど何とも言わないわ。異世界でラーメンを食べられる時点で、もう相当ご褒美だし。


一口を食べてみると……

目が潤い、涙が込み上げる。本場のラーメンの中でも極上の旨みのあるラーメンに声が思わず出てしまう。


「……激…うま…い」と、鼻を鳴らしながら言った。


しばらくすると、エルドリックに声をかけた。


「エルドリックってさ、くそ料理うまいんだけどなんで?」


「こうやって一人暮らしをしていると自炊できるようにならないと生きていけないから、何百回の失敗の末に、やっとうまいの作れるようになったんだよ」と、自慢げにエルドリックが返した。


努力にも限界があるだろ。


「相当な努力家じゃん、エルドリック」


いつの間にかお互い呼び捨てになった俺らは食べ終わった。離席しようとした時、エルドリックに声をかけられた。

 

「明日9時に訓練場の前で集合するんだ。そっから約束通りに育て上げるぞ」と、エルドリックは笑顔を見せながら言った。


「分かった。疲れてるから先に寝る」


「おいらの話に興味ないみたいな口調やめて〜」と、言ってきて、その気持ちの悪い言葉を無視しようと、自分の部屋に入ってドアを閉めた。やけに地味な部屋だ。隅っこにベッドが置いてあって、隣に机が置いてあった。


目覚まし時計あるじゃん!エルドリックが集合は9時って言っていたから、8時にセットしよう。


そして、だいぶ疲れている俺はベッドで横になった。


まあ、夢じゃない、と確信したな。普通はこんな長い夢なんてないし、全部夢にしては鮮明すぎる。あのおっさんやっぱりいい人だ。最初はやや変わった人みたいだったけれど、ただの復讐おっさんだったみたいで安心した。いいことと言えば、なぜか馴染みのある食べ物と環境があるんだけれども、魔法について何も知らされてないし、めっちゃ歓迎されただけだな。


寝る前に、試したいことがあったが、試す機会が今までなかった。


「ステータスオープン!」と、俺は声を張り上げる。


言った途端に、ぴくっとシステム音がなった。目の前にあったのは、ステータスウィンドウみたいなものだった。

横に細く、縦に長いのだ。

透明感のある白色ステータスウィンドウに情報が多数あり、こう書いてある。


月島勇武

レベル:1

経験値:0/100

生命:50/50

魔素:10/10

STATS

攻撃:1

魔法攻撃:1

技量:1

防護:1

素早き:1


デバフ:陰湿、体力低下、速度低下


……え?陰湿って……おいバグだろ。デバフじゃないだろ、あと俺弱すぎんか?


焦って何回も開け直してみたが、結局レベル1がレベル1のまま。陰湿というデバフも消えなかった。

激怒しようと思ったが、襲ってきた眠気が怒りより激しく、眠りに落ちてしまった。


陰湿だろうがなんだろうが、強くなれば勝ちだろ。

……多分。



最後まで読んでくれてありがとうございます! 次回も読んでもらえたら嬉しいです!

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