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恋
「え、同性はちょっと・・・」
シトシトと雨音が響く静かな保健室で見るのは、決まって昔の暗い思い出の夢だった。
今日、私は、昔と同じように、同性の女の子に告白しようと思う。
失恋したら、雨の低気圧が見せた夢とでも都合のいい解釈ができるからだ。
そして、ついに、中学校の保健室の前の廊下に、好きな人を呼び出して言った。
「好きだよ。付き合って。」
と。
数秒の沈黙が、今の私には何十年にも感じられた。
すると、
「はい、これからよろしくお願いします」
と、嬉しい返事が返って来た。
「はい、こちらこそ。」
ふと、外を見ると綺麗な虹がかかっていて、私達を祝福しているかのようだった。